採用面接で、大きな配点を持っているスキルにリーダーシップというものがあります。
面接官は直接的には言いませんが、この「リーダーシップ」があるかどうかを、聞き出そうとしていろいろな質問をします。
ところが、あまり満足行く回答をもらったことは多くありません。
回答から推察するに「リーダーという役割」と「リーダーシップの発揮」というものが混同されているように感じます。
そこで、『採用基準』という本にあった「リーダーがなすべき4つのタスク」という章から、リーダーシップについて考えてみたいと思います。
初回にご紹介したように、本書『採用基準』で挙げられているリーダーシップのある人が取るべき行動(タスク)は次のとおりです。
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●リーダーがなすべき4つのタスク
リーダーとは、成果を達成する人だと書いてきましたが、では成果を出すためには具体的に何をする必要があるのでしょう。実はリーダーがなすべきことは極めてシンプルで、突き詰めれば次の4つの行為に収束します。
1.目標を掲げる
2.先頭を走る
3.決める
4.伝える
伊賀泰代(著) 『採用基準』
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採用面接においては、年齢にもよりますが、30歳を超えたら「この人は将来管理職になれる器だろうか?」という要件が重要視されます。いろいろな形で質問がされると思いますが、結局聞きたいのは、この点、すなわち「あなたはどのくらいリーダシップを発揮できますか?」という点に集約されていきます。それが質問の真意です。これを念頭に答えを用意する必要があるわけ。
そのときに、以前の会社や学生時代に「リーダーをした経験がない」と思い悩む必要はありません。ここで紹介したように「リーダーシップを発揮した経験」があればいいわけですからね。
■マッキンゼーの採用基準
ただし、上記の4つのタスクは本書『採用基準』において、マッキンゼーの採用基準として紹介されているもので、実際には会社によって、あるいは面接官によってどのように判断するかは異なります(と思います)。
本書に書かれているように、日本人は全般にそういう行動が苦手なのかもしれませんが、理屈上は会社としては、「リーダーに相応しい人を採用したい(昇進させたい)」と思っているので、そこが判断基準になるわけです。
■管理人が考えるリーダーシップ
本連載の最初に、管理人(私)が考えるリーダーシップとは
やりたいことを人を巻き込んでやり遂げる
ということかと思う、と書きました。
つまり、もし私ゴトキが、本書にコメントするなら、「関係する人を巻き込む」というところが、本書にはないことでしょうか。
上司から「○○の活動のリーダーをやってくれ」と言われるのは、すなわち上司から権威を与えられることです。人は権威がある人には、(内心はどうあれ)従います。
一方、自分で「○○がやりたい」と言い出し、上司の裏付けなしに関係者を巻き込んで活動することが、もっともリーダーシップの発揮される場面といえるのではないでしょうか。
ですので、私はこの4つのタスクにひとつ加えて、関係する人を巻き込むということを「いの一番」にあげたいですね。
ここで言う「関係する人」と言うのは、上司(や上司の上司)も含みます。
全ての人を自分の思う方向に引っ張っていく。
権威の裏付けではなく、目標の共有によって。
こんなイメージで、リーダーシップを捉えてます。
※私の得意なのも、上司の承認が薄いところでの「ゲリラ戦による実績作り」だったりするのですが、詳しくはまたそのうち。
■今からでも「リーダーシップ」を発揮する
今、転職を考えていない人も、このリーダーシップの考え方は学ぶべきことが少なく無いと思います。
上司から「××プロジェクトのリーダー」に指名されるのを待つのではなく、自分が「○○がしたいので、協力してください」とメンバー(協力者)になりうる人に声をかけてみることです。
特に、いままで派遣で働いていた方が、転職面接に臨むときにいちばん困るのが、この「リーダー経験」ではないでしょうか。
派遣先で、責任のある活動のリーダーに指名されることはまずありません。
しかし、ここまで述べてきたようなリーダーシップなら、派遣・正社員かかわりなく発揮できるスキルです。
とうぜん、転職面接で要求されるスキル(コンピタンスかも)は、昇進昇格の時にも問われます。
部門の都合で年長者が多ければ、リーダーになれる場面は少なくなります。
しかし、こういう「リーダーシップ」ならその気さえあればいくらでも発揮・経験できますね。
今からでも、やってみてはいかがでしょうか。
多分、最初のうちは、抜け漏れだらけの論理で説得しようとするので、あっちこちで跳ね飛ばされると思います。それでもあきらめずにやり続けていると、いろんな視点や思考力が身についてきますよ。
実際にリーダーとして活動できるかどうかは別として、これは確実に身につきます。
■参考図書 『採用基準』
マッキンゼーの採用マネジャーを12年務めた著者が語る!
マッキンゼーと言えば、ずば抜けて優秀な学生の就職先として思い浮かぶだろう。
そこでは学歴のみならず、地頭のよさが問われると思われがちで、応募する学生は論理的思考やフェルミ推定など学んで試験に挑もうとする。
しかしマッキンゼーの人事採用マネジャーを10年以上務めた著者は、このような見方に対して勘違いだという。
実はマッキンゼーが求める人材は、いまの日本が必要としている人材とまったく同じなのだ。
だからこそ、マッキンゼーは「最強」と言われる人材の宝庫の源泉であり、多くのOBが社会で活躍しているのだ。
本書では、延べ数千人の学生と面接してきた著者が、本当に優秀な人材の条件を説くとともに、日本社会にいまこそ必要な人材像を明らかにする。
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書名 :採用基準
著者 :伊賀泰代
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