組織に普遍的な3つの生産性を下げている要因とは#2





いろな社内組織の業務改革のお手伝いをしています。組織運営で、経験的にほとんどの組織で当てはまる無駄というものがあります。
業務改革をお手伝いするときに、最初に着目するのはこの3つです。

  ・管理の無駄
  ・是正の無駄
  ・相談の無駄

そして、これを変えていくと、ほとんどの組織の生産性はものすごく改善します。
なぜ、私がちょっとお手伝いするだけで、そんなに簡単に変われるのかというと、ほとんどの人がそれを良いことだと信じてやっているからです。逆に言えば、それが「悪いこと」だと認識できれば改善する方策が見つかるのです。




これらは、建前的にはやったほうがいいことばかりなのです。だから否定できません。「頑張ってやる」になってしまっています。その結果、個人や組織としての生産性や活力が下がっていくのです。

長文になったので、3階に分けてお送りします。本日は第2回。「是正の無駄」についてお送りします。




■是正の無駄


多くの改革の施策にみられる特徴的な視点に「是正」があります。

組織でも個人でもそうなのですが、短所・失敗については、誰でもわりあい簡単に気がつくのです。
悪いところを上げろといわれれば、「いくらでも」とは言わないまでも、ぽんぽんと意見が出てくるのではないでしょうか。

◆パフォーマンスが低い人に対する是正


特に、人に関する問題についてはそれが顕著になります。「意識が低い」「成果を出さない」「スキルが不足している」など、いわゆるパフォーマンスが低い人達に関する評価です。2:6:2の法則でいうなら、下位の2割が課題の焦点になるのです。

では、下位の2割が是正されれば、会社は良くなるのでしょうか?
答えはNOです。下位の2割の是正ができたら、また新しい下位の2割ができるだけです。
さらに下位の2割の是正のためには、人の行動に何らかの制約を加えなければいけなくなり、それは上位の2割の人の行動も制限するということにほかなりません。

◆問題の是正


たとえば、会社単位、部署単位で、あることをルール化し実行しようとしたとします。ところが2割の人がそのルールを守らないために問題が起こってしまった。そのとき、よくあるのは、一部の人が起こすルール違反をなくそうとして、ルールそのものを全体的に強化する、具体的には多重チェックを入れるなどというケースです。
リスクマネジメントなどによく見られるのですが、問題が出るたびに規定やルールを厳しくしていって、気がつくと現実離れした重装備の対応策になっている。これが短所を是正することによる無駄につながるのです。

本来ならば、少数の人が起こしたルール違反は個別に対処すべき問題です。
それが少数にとどまらず、5割の人が守れないようであれば、ルール自体の背景や方針が伝わっていないのかもしれません。その場合は、あらためて目的や意味を共有する機会を設けるなどの手立てが必要です。
もし、そのルールを守れない人が8割もいるであれば、仕組み自体に不具合があるのかもしれないという想定で、そのルールを根本的に見直し・改善していく方向での対応が求められます。

つまり、ルールや仕組みを見直すのは、半分以上の人がそれに従わないときに限定して使うべき方策なのです。

このように状況を事実ベースできちんと捉えて、信頼を基本にした適切なアプローチをしないと、ハイパフォーマーをはじめ全体としてのエネルギーを浪費することにもなるのです。

◆失敗の是正


たとえば、視力検査の C の文字を思い浮かべてください。ほとんどの人は欠けている部分に着目します。
つまり、短所というのは気になりやすいし、失敗は是正対象としてまず安易に思いつくのです。

それ自体は良いことなのですが、多くの場合「再発を防止する」=「ダブルチェックをする」みたいな結論に飛びつきがちです。こうすると、作業に習熟しても手順としてダブルチェックをするというルールが残るので、作業工数は減りません。増えていくだけです。

これは過去に実際にあったのですが、過去の失敗を繰り返さないようにチェックリストを作ったのですが、それでも失敗したので、チェックリストを詳細にしていったらチェックをしている工数のほうが、成果物を作る工数よりも多くなってしまったということがありました。さらにそれでもミスが出たのでチェックリストのチェックしたかをチェックするチェックリストを作った、というジレまでありました。ここまで来るとなにをしているんだかよくわからないですね。

また、短所を是正するということは、それが完璧に作用したとしてもマイナスの要素をゼロにするということでしかありません。つまり生産性が増えることはないのです。それよりも、長所を伸ばしたり活用したりするすることによって、より大きなプラスを得ることのほうが効果が大きい場合が多いのです。

例えば、前述の2:6:2の法則でいうなら、上位の2割の人の事務/雑務作業を下位の6:2=8割の人に移動して、上位の人はより成果の出る作業ができるようにしてしまったほうが、全体としては成果が上がるのです。

チェックリストの例でいうと、根本的にやり方を変えて同じ問題が発生しないようにして、チェックリストを全部廃止してしまったことで、全体の工数が3分の1になったという例もありました。

◆是正には絆創膏は使わない


短所の是正で最も問題になるのは、その是正のために絆創膏を使うことです。つまり、一時的で安易な対策をしてしまいやすいということです。
絆創膏を貼ってみて、また別のところに出血が見つかったら、またそこにも絆創膏を貼っていると、全身ミイラ男になります。それでは素早く動けるはずもありません。

ただ、根本的に対策するというのは相当考えないといけないですし、人間としては楽をしたい方向に流れやすいので、どうしても、「××をしない」という対策になりがちです。否定文の対策はたいていチェックリストみたいなものに流れます。その結果、是正措置の是正措置みたいな、あとで「そもそも」という点で考えてみると妙な対応策になってしまうのです。

短所をなくす、失敗を防ぐのような方策にせずに、失敗がおきないプロセスはなにか、そもそもなにが・どこまでできればいいのかに集中するように考え抜く必要があるのです。



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