リモートワーク中心のPM理論







■PM理論


「PM理論」という、マネジメントに関する理論があります。まあ、個人的には、「理論」なんて大げさに言う必要はいような気がしますが、こう呼ばれているのが一般的みたいなのでそのまま使います。

これはマネージャーやリーダーの行動や役割を2つの方向に分けて考えるというものです。

◇――――――――――――――――――――――――――
マネージャーやリーダーの役割は、

P:Performance :目標達成機能(または能力)
M:Maintenance :集団維持機能(または能力)

の2つに分類され、個人によってそれぞれの強度が異なる
――――――――――――――――――――――――――◇


簡単に意訳してしまえば、これだけのものです。


前者のP機能は進捗を確認したり、部下を鼓舞したりする感じで、後者のM機能は部下の悩みを聴いたり、職場の和に気を配ったりするもので、短期的に業績を上げるにはP機能が強いだけでもいいのですが、長期的に業績を上げるためにはM機能の方が重要なのだそうです。まあ、なんとなくわかりますね。


そして、この2つの機能がどれだけ働いているかで、マネージャー・リーダーを4つのタイプに分けることができます。

  Pm型   PM型
  pm型   pM型

小文字だとその機能の働きが弱く、大文字だと働きが強いというふうに読んでください。




■個人差と状況による変化


最初のPM理論のところでも書きましたが、これには個人差があります。まあ当たり前だと思うのですが、さらに私個人としては、「○○さんはpM型」などとラベリングするのはあまり良くないと思います。他にもいろいろな性格分類みたいなものもありますが、個人的にはこの分類に当てはめる考え方というのは好ましくないと考えています。

というのは、誰でもこの2つの要素を持っているし、人によってどちらが強いかという指向も当然あります。でも、状況や環境しだいでそれぞれの機能の強弱は変化するのです。なので、単純にこうしたラベリングによって人を判断すると、結果として間違うことが少なくないという経験が少なからずあるからです。

所詮、これらの分類は、特定の観測状況(ある人から見た状況)における傾向性に過ぎないわけです。


逆に言えば、それぞれの機能を補強したり、必要に応じて使い分けたりすることもできるわけです。


たとえば、何を「タスク」と捉えるかによって、マネージャーやリーダーの行動は変化します。

たとえば、「仕事の進捗を確認する」ことを(上司が)自分のタスクとして計画・実行するとP機能を高められますし、「部下をケアする・成長を促す」ことに寄与するタスクを計画・実行すればM機能を高められます。この両方を別のタスクとして書いている人もいます。

■リモートワークのマネジメントで不足する「M機能」


在宅勤務で仕事をしていると、コミュニケーションは質・量ともに不足するのが普通です。

もちろん、それは悪いことばかりではありません。質の低い(ムダな)コミュニケーションが減ったおかげで、自分の仕事に集中しやすくなり、効率が上がったという話もよく聞きます。一方、コミュニケーション不足が明らかに悪い方向に影響している状況もあります。
これも前述の、なにをどのように観測するか(だれが、どのように評価するか)によって変わってくるのですが、それはまた別のお話で。

そこで問題になるのがM機能の不足です。P機能は、評価しやすい(できたか・できなかったか)のですが、
  モチベーションが高いか、低いのか
  やるべきことに集中しているか否か
  体調管理はできているのかどうか
みたいにM機能の方は評価指標がないのでつい疎かになりがちになるのです。

つまり、リモート環境は(リアル環境と比較して)M機能が圧倒的に不足するのが当たり前、ということですね。
まあ、結論だけを言ってしまうと、巷で言われていることと同じですね。

■M機能を意識する


ですから、リモートワーク中心の職場では、マネージャーやリーダーはM機能のタスクを意識的に増やす必要があるのです。

たとえば、1対1のミーティングを定期的に行うようにするわけです。
ただこの場合、リーダーの負担はそれなりに大きくなります。

仮に部下が8人いるとして・・、1人あたり15分話すとすると、計2時間。それを毎週1回やると、1週間の仕事時間 8時間 × 5日 で計算すると、5% です。それによってチームの集団維持機能、いわゆるモチベーションが維持できるのであれば、安いものだと考えるのは私だけでしょうか?




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書籍説明
「管理職に必要な知識ってなんだろうか?」
このような事で悩んだことは必ず1度はあると思います。

私は現在、医療現場で管理職として働いております。
入職当初は現場での医学的な知識を突き詰めたいという希望と「良い管理職=現場での知識が優秀な人」と考えておりました。

そして学んだのが「マネジメント論」です。
その結果、組織を理解できるようになり、スタッフへの指示が的確になり生産性が向上しました。

本書は以下の人に向けて執筆しました。
・組織マネジメントをまず知りたい
・スタッフへの指示を的確にしたい
・上司の指示の意図を的確に理解したい

そのため、特に重要な19選についてまとめました。

この19選は基本でありながら非常に有用なため、組織マネジメントをする上で大きなインパクトがあります。是非ご活用ください。

目次
マズローの欲求5段階説
X理論・Y理論
PM理論
エンパワメント
リーダーシップとマネジメント
メラビアンの法則
レビンの組織変革プロセス
ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生要因)
SECIモデル
7S
カッツ理論
キャリア・アンカー
フォロワーシップ
パワーと影響力
ジョハリの窓
集団の発展段階(タックマンモデル)
組織文化
ハロー効果
ティール組織

著者紹介
野田政誉士(ノダマサヨシ)
理学療法士として病院に勤務し… 以上まえがきより抜粋こちらは電子書籍を元にプリント・オン・デマンド化したものです。文字のレイアウトやカバーデザインなど一般の書籍とは異なりますのでご注意ください





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組織マネジメントの教科書 まず知るべき19選 マズロー・PM理論・レビンの組織変革プロセスなど。 (20分で読めるシリーズ)
著者 :野田政誉士, MBビジネス研究班
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