「チャンスの女神は前髪しかない」とはよく言われます。だからといって、その前髪を掴むことが成功とイコールなのかというと、そうは言いきれません。
そんなことをしたら先進的なことをやった人はすべて成功者になっているはずですから。
■チャンスの女神はカツラをかぶっている
▼『PMBOKが教えない成功の法則[本園明史](B073W5FPVN)』P86〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●前髪が力ツラである場合も
前髪をっかむのは確かに大切である。ただつかんでみたらカツラであるケースもあるので注意が必要だ。
「この予算を使って○○事業を推進するために、補助金を申請してほしい」。大学は自治体からこんな打診を受けた。「お金を使ってほしい」という要求を断る理由はなさそうだが、大学は迷っている。これまで「補助金を出すから」という誘いに応じて様々な事業を手がけてきたが、トラブルが起こると必ずと言っていいほど自治体は逃げてしまい、尻拭いを押しつけられてきたのである。
この話をべンダー社が聞きつけてきた。その事業は社が得意とする分野であリ、大学に対して「ぜひやるべきだ」とたき付ける。当然、社がその事業を受託することを見込んでの提案である。
しかし、大学は慎重な態度を崩さない。補助金は一時的なもので、継続して出るものではない。ひとたび事業を始めたら、補助金がどうであれ続けていく必要がある。事業を継続するための運営や維持管理にかかる費用をどう捻出するかは、大学が自ら考えなければならない。
補助金申請の締め切りが迫り、社は必死に説得を続ける。事業継続が可能かどうかを心配する大学に対し、方法論やノウハウを提供すると約束。申請書を代理で書くことも申し入れた。
そんなとき、社は大学から別件の相談を受ける。相談というよりも、作業の手伝いの依頼といったものだ。契約も何もなく、タダ働きとなるのが目に見えている。内容も社が推していた事業とは無関係で、社として引き受ける筋合いはない。にもかかわらず、社は大学の依頼を引き受け、きっちりと仕げる。成果物の品質に対し、大学からお褒めの言葉をもらった。しかし結果として、大学は補助金の申請をせず、社の頑張りは無駄骨に終わる。
大学が申請していれば、この事業を社が受注したに違いない。そうなれば、億単位の金額が社に入ってくる見込みだった。だからこそ、原価が100万円を超える規模のタダ働きも、進んで行ったのである。
事業化が約東されていないなかで、自腹を即決で切ってまで積極的に動いた社の行動は、まさに女神の前髪をつかみにいくものだった。
ただ残念ながら、その前髪はカツラだった。
前髪をつかみさえすれば必ず成功するのであれば、誰もためらったりしない。それでもためらうのは、見送ったほうが正解であるケースも多いからである。
どんなときに、前髪をつかみにいくべきか。ここは教科書やマニュアルが通用しない世界だ。自分の勘を100%信じられる人だけが、この問題をクリアする権利を与えられる。
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本書にあるように、チャンスを捉えようといろいろな活動をしたときに、それが成功する確率はじつは高くはありません。
当然、成功本などに言われるように、先行者利益を上げるためには、数少ないチャンスをものにする必要はあります。ただし、成功本などに乗っている事例は成功した人の結果に過ぎません。
「数少ない」と言われるだけあって、それだけの多くの人が失敗をしているわけです。
99%の人が失敗する中で、1%の成功者だけを取り上げて、「こうすれば成功する」なんて法則を語ってくれても、そんな法則なんかで成功するようなら、世の中大金持ちだらけになってしまいます。ほとんどの人が失敗する中でほんの少数の人が成功するから成功者と言われるわけです。
■安全な地場とほんの少しの挑戦
サラリーマンとしては、全財産や今まで培ってきた全ての資産を総賭けして新しいことにトライする意味はそう多くありません。
サラリーマンとしてやれるのは、99%の安全な状態を築き、1%のトライをすることです。当然リターンは小さなものになりますが、そのリターンで少しづつ掛け金を増やしていけばいいだけのことであって、ハイリスクハイリターンはサラリーマンであることを選んだ以上、望むべくはないことなのです。
安全安心、ちょっとだけ冒険あたりがまぁイチ庶民としては妥当な線なのではないでしょうか。
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