年初に業務の目標を立てるのですが、なかには目標がうまく立てられないという人もいます。上司に言われた目標をそのまま丸写しにした目標を立てる人や、上司からは具体的な数字がなかったので、それを適当に埋めておいて、上司から「なぜこの数字?」と聞かれて返答に困る人、上司の指示とは全く異なる目標を立てる人、、、色んな人を見てきました。
実は良い目標の立て方というものにはセオリーがあります。これを覚えてしまえば目標の設定はそれほど難しくありません。
■目標の要素から考える
目標というのは、
?目標項目
?達成基準
?期限
?達成計画
の4要素が必要です。
■目標項目の設定
目標項目は「何を達成するのか」を指します。これには4つのタイプがあります。
●向上・強化タイプ
現状で問題のない状態ですが、よりレベルアップさせていこうという目標項目です。該当するのは以下のような目標です。
?去年は英会話スクールに通って英語に自身がついたから、今年は実際に海外に行って英語を使ってみよう。
?去年、営業で売上5000万達成したので、今年は8000万を目指そう
●改善・解消タイプ
現状で問題や課題があって、それを改善したり解消したりしようという目標項目です。該当するのは以下のような目標です。
?去年の新規顧客獲得数は5件で部内最下位だった。今年は部内平均の10件を目指そう。
?去年は仕事ばかりでプライベートの時間がほとんどとれなかったから、今年は仕事を効率化して自分の時間を確保しよう。
●維持・継続タイプ
現状を維持すること、今までやってきたことを継続すること自体が難しい場合は、それも目標項目に設定できます。該当するのは以下のような目標です。
?去年の特許出願件数は10件だった。今年もこれを維持しよう
?去年は毎週時間をとってセミナーや資格の勉強をしてこれたから、今年もこれを継続しよう。
●創出・開発タイプ
新しいことを始めようとするときの目標項目です。1?3のタイプに比べると失敗や未達成のリスクが高くなりますが、同時に達成したときの充実感や自分の成長度合いは大きくなります。該当するのは以下のような目標です。
?去年は上司に言われるまま目標を設定したので、ことしは自分の意志を入れて目標を設定しよう。
?いままで社内での人脈しか作ってこなかったので、今年は異業種交流会などに参加して、社外の人脈を作ろう
どれか1つのタイプに絞って目標項目を設定してもいいでしょうし、タイプごとに設定して失敗や未達成のリスクを分散してもいいでしょう。
とくに私達にとって考えやすいのは、去年の失敗や課題から、それの対策として考える方法です。人は往々にして反省すべき点については、記憶しちゃっているものですし(トラウマになる場合もあるくらいですから)、痛い思いをしたということは、それをなんとかしたいというモチベーションも高くしやすいので。
■達成基準の具体化
次に達成基準、つまり「どれくらいできるようになれば、ゴールなのか」を具体的に設定します。いわゆる「数値化」です。しかしあらゆる目標項目が数値化できるわけではありません。そのため目標に応じて以下の3つの基準を使い分ける必要があります。
絶対数値の基準:「毎月50kmのジョギングを継続する」「TOEIC 600点」など
状態の基準:「英語で日常会話ができる」「現地スタッフと食事に行ける」など
スケジュールの基準:「計画の日程遵守」など
比較の基準:「前年比30%」「職位××級相当」など
達成基準は具体的であるほど効果的です。
■期限の具体化
これはサラリーマンにとっては選択肢がありません。基本的には会社で決められた半期・四半期・年間などで決めざるを得ません。ただし、これを「期末」と考えると失敗します。たとえば、10月1日が期の切り替わりであれば、9月30日が目標の最終日になります。
しかしながら、上司との面談を気中に終わらなければならないときに、上司は評価期間を考慮して2週間位前には面談をするでしょう。であれば、目標期日は9月15日以前にするべきです。そうすると、もし何らかの理由で遅延が発生しても、上司には、「あと2週間で達成予定」と報告できます。
この上司への報告タイミングと目標日程のバッファ日数は、目標の難易度、計画の複雑さ、期間によって調整しないと、活動途中のトラブルに対応できません。計画にはトラブルがつきものだという前提で考えると失敗しません。
さらに、この期限までに達成する目標として、上記の達成基準が妥当なのかどうかをじっくり考えないと、無理・無意味な計画ができてしまいます。
プライベートな目標であれば、日程は自由に決められます。このときに注意するのは、「年末までに」のように曖昧な言葉を使わないことです。「12月31日までに」というと、思い出したときに切迫感が出ます。
■達成計画の具体化
ここまで説明してきた3つの要素だけでは目標達成のために行動が起こせません。準備ができていないと手をつけたくなくなるのは人の常。目標達成をするには「どうやって達成するか(達成計画)」を考える必要があります。これが先に上げたSMARTにおける「Achievable(現実的)」に相当するものです。達成計画書を書き、それが自分から見て「やれそう」と思えるまで、行動に分解する作業をします。
この達成計画は達成基準同様、具体的であるほど目標達成への効果が高まります。頻度や手段、活用ツールなど、あらゆる角度から具体化していきます。
基本的には、WBS(Work Breakdown Structure)という方法がおすすめです。
WBSは目標を達成した状態を要素に分解し、その要素を目標としたときに、更にその要素を分解していって、最後にできた小さな単位の要素を現在を基準に確保できる工数を長さとして時系列に組み立てていくと、目標が達成できる計画ができるという考え方で作られています。
この最終的にできた一番小さな単位が「タスク」になります。どこまで分解するといいのかについては、目標やその人の持っているスキル、環境などによって様々ですが、一般的には、その作業工数が1〜2週間の単位くらいまで落ちていて、それが具体的な行動に結びつくものであれば問題ないでしょう。
例えば英語力のレベルアップを目標項目にするのであれば、「とりあえず海外に行く」ではなく、「××航空でマイレージを登録する」「旅行先を決める(6回/年)」「第1回旅行では現地の人と英語で10分立ち話をして、旅行1回毎に立ち話の時間を倍にする」「相手の連絡先を教えてもらい、帰国後メール・電話などで週1回のコンタクトをつづける」のように具体的な行動がイメージできるレベルがタスクとしては適当です。
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