目標の立て方(応用編)





今週は、目標の立て方について、私の理解範囲で解説をしています。
ここまでで目標の立て方の基本は理解していただけたかと思います。ここからは更に踏み込んで、応用的な目標の立て方をご紹介します。




■期中設定


「期中設定」は、目標設定までの期日に目標が明確にならないときに使う方法です。

つまるところ、目標を設定するまでには前述したように、どのような目的を持つか、その達成は現実性があるか、目標となる数字と自分がなすべきことの整合は取れているかなど、様々な検討が必要です。
一方で目標は、次の期が始まるまでに設定できていなければいけません。サラリーマンにとっては、目標を決めるという目標が勝手に決められているわけです。これに間に合わないような場合に、この「期中設定」という方法を使います。

身も蓋もない言い方をすれば、目標を決めるという目標を目標にすることで、期初の目標設定を乗り越えてしまおうということです。当然、「今期は目標を設定します」では部門としての成果はありませんので、目標を決める期限は、「期末」ではなく「期中」、つまり期の途中に成るので、こう呼ばれています。

この方法が使われる理由としては、上記のように目標設定までの調査の時間がないような場合もありますし、新しいことにチャレンジするために、その技術的要素の検証を先にするという場合もあります。

とりあえずやってみて、進めていく途中で目標を調整していきます。




■ランクアップ法


目標設定の方法には、ランクアップ法があります。
これは、「改善」「代行」「研究」「多能化」「普及」「高度化」の6つから、目標項目を設定していく方法です。

ランクアップ法はこれまでに説明してきた方法と組み合わせることで、質の高い目標設定ができるようになります。そのため、質の高い目標設定をしたい方におすすめの方法です。

◆改善


現状のマイナス点に注目し、その部分を改善することを目標項目としていきます。
具体的に、どのような点がマイナス要素となっているのか、そしてその要因は何なのかを考えて目標項目の設定するのがポイントです。

◆代行


自分よりもランクが高い人の仕事を「代行」できるようになることを目標項目の設定に利用する方法です。ランクが高いというのは、先輩や上司にあたります。
イメージとしては、仕事ができる先輩・上司の代わりに特定の作業ができるようになるための目標項目の設定をするということです。

◆研究


ある手法や技術を取り入れることができるのか、さらに取り入れることでどのようなメリットがあるのかを「研究」して目標項目を設定します。
新しいことを始める際の目標設定で利用しやすいのが特徴です。

◆多能化


「代行」では自分より上位の人を目標としましたが、こちらは、自分と同等あるいはそれ以下の人で自分にないスキルやノウハウを習得することを目標項目の設定です。
製造業ではよく「多能工化」といって、特定の工程に習熟したら、隣の工程の作業も習得することで、突発的な変動に対して強い作業員を育成することを目標にすることがよくあります。組織の中でそのスキルが必要であれば、多くの人がそのスキルを発揮できれば、業務が重なったり、忙しくなったときにも相互に補完しやすくなります。

また、他のスキル・ノウハウは、違う視点を得ることができるため、自分に成長に役立ちます。

◆普及


自分が保有するスキル・ノウハウを第三者が習得できるようしたり、それを教えることを目標項目とします。
後輩がいる方は、後輩育成のためにも、ノウハウをまとめておくのがおすすめです。
ノウハウをまとめることで、新たな気づきを得ることもあります。

◆高度化


スキル・ノウハウを専門家レベルまで高める目標項目の設定です。たとえば、大学で博士号を取る、学会での発表をするなど、会社の中での第一人者、社外でのその能力の認知が目標になります。

■KGI×KPI×KDI法


KGI×KPI×KDI法とは、最終目標達成指標(KGI)・重要目標達成指標(KPI)・行動目標達成指標(KDI)の3つの数値を使った目標達成指標の設定方法です。

最終目標達成指標(KGI)とは、最終的にどの様になりたいかのいわゆる最終目標をどのくらいのレベルで達成したかを表すものです。たとえば、「英語が上達したい」という目的に対してのKGIは「TOEICで800点を取る」というようなものです。

重要目標達成指標(KPI)は、KGIを達成するために絶対に必要な要素の達成度です。つまり、KGIのサブ目標といえるものですが、そのなかでも必須(あるいは非常に重要なもの)をいいます。たとえば、上記「TOEICで800点を取る」の例で言えば、「リスニングでの正解率70%」のようなものです。

行動目標達成指標(KDI)は、KGIを達成するために、何をするのかを決めたことをきちんと守ることを指標とするものです。「TOEICで800点を取る」の例でいえば、「半年以内に問題集を3回全問正解するまで繰り返す」というように取るべき行動を指標化したものです。

■NLP式目標設定法


NLPとは「神経言語プログラミング」の略です。リチャード・バンドラーと言語学の助教授ジョン・グリンダーによって開発された心理学であり、言語学であり、心理療法です。
人間の認知能力に訴えるようなやり方で、目標を設定していきます。

NLP式目標設定を簡単に説明すると、言語的・心理的に目標達成後の自分を具体的にイメージするための方法です。

「イメージ」がポイントとなっており、達成後のイメージをすることで、モチベーションを高め、目標達成につなげることができます。
とは言え、これは本を読んだ程度ではなかなか難しいため、カウンセラーに指導を受けて実践していかないと正しく成果は出ませんので、ここでは、名前の紹介だけにしておきます。



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posted by 管理人 at 08:44 | Comment(0) | 知的生産術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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