「上司」と呼ばれる立場になると、部下にいろいろな目標や業務を分担させないといけません。上司自身が部門から目標を言い渡されるだけのストロー状態ならいいのですが、通常は自分で課題を見つけてきて、それに対して部下が行動できるレベルにして、部門の目標と整合とっていかないといけません。昇進して一番悩むのはこのあたりなのかもしれません。
いままでは、業務との言うのは上司から与えられる立場だったので、「○○をやれ」という形だったのが、「会社にとって良い貢献をしろ」という指示に変わります。自分と自分のチームができることと、「貢献」が具体的になっていればいいのですが、それをもやっと理解しているだけだと、途方に暮れます。
本日は、仕事のテーマの見つけ方についてご紹介します。
■「テーマ」を見つけるための3つの方法
テーマはすなわち「何を達成するのか」ということです。テーマは「英会話を上達させる」といった漠然としたものより、「英語ネイティブな人とビジネスができる」といった具体的で、達成した時の状態がイメージできるものである必要があります。ではどうすればテーマを具体化できるのでしょうか。それが以下の3つの方法です。
◆正早安楽(せい・そう・あん・らく)
これは業務改善の用語で、業務はより「正しく、早く、安価に、楽に」行われることを目指すべきであるという考え方です。この4つのキーワードは業務改善だけでなく、あらゆる場面で利用できます。例えば部屋の掃除をするときに正早安楽を当てはめてみましょう。
・正:よりきれいにする。
・早:より時間をかけずにきれいにする。
・安:よりお金(あるいは手間)をかけずにきれいにする。
・楽:より体や頭を使わずにきれいにする。
もちろん全てのテーマに正早安楽が当てはまるわけではありませんが、業務改善と性質が似ているテーマであれば高い効果を発揮してくれるはずです。
今の業務やプロジェクトに当てはめて考えてみてください。その業務のあるべき姿(正)はなんでしょうか?
◆影響分野発見法(自己否定法)
これは「○◯をしなかったらどんな問題が起きるか?」という切り口からテーマを具体化する方法です。たとえば、電話対応の仕事で考えると
自分が電話応対をしなかったら、
お客様からの連絡が必要な人に届かなくなり、会社の信用が失われる
だから電話応対ができるようになろう。
これを一般化して書くと
○○ができなかったら(やらなかったら)
△△の業務に支障が出る(△△の処理ができなくなる)
だから○○ができるようになろう。
◯◯の部分に見て見ぬ振りをしがちな自分の問題を入れ込むと、改善・解消のための具体的なアクションにつながるテーマが見つかるかもしれません。
◆プロセスチェック
今の自分が当たり前のようにこなしてしまっている仕事を、より良くしていくときに効果的な方法です。例えば「もっと睡眠の質を上げよう」というテーマを思いついたとします。
しかし今の生活のどこをどうすれば睡眠の質が上がるかがわかりません。そんなときに仕事から帰ってきてから寝るまでの、自分の行動の流れ(プロセス)を洗い出すのです。
すると寝る前にスマホをいじっていたり、入浴後に近所のコンビニにお酒を買いに出ていたりといった、睡眠を妨げる行動が浮かんでくるでしょう。この場合、具体的なテーマは「寝る前はスマホを置いて本を読む」とか「入浴後には家から出ない」といったものになっていきます。
■「達成度」を正しく設定するための視点
達成度は基本編での達成基準のことです。達成度は具体的であるほど効果的ですが、だからといって無理に数値化すると目標が目標でなくなってしまいます。その典型が「ゼロかイチかの数値化」です。例えば次のような達成レベルを設定したとしましょう。
・今年は無駄遣いを0にする。
・今年は絶対に毎週3回ジムに行く。
「0にする」「毎週3回」という目標は、非常に強い言葉で目標としては良いように思いますが、一度でも無駄遣いをした瞬間に、あとはどれだけ頑張っても「目標未達」になってしまいます。もともと解決しようとしていた問題は解決できずに、ただ「今年も目標を達成できなかった」という自己嫌悪だけが残ることになります。
「100%達成する」「完璧に達成する」という目標もひとつのミス・失敗のせいですべてが水の泡になって、達成できる可能性は低くなります。逆にこのタイプの目標が達成できた場合、それはたいてい「特別努力しなくても当たり前にできたこと」を目標にしているだけなのです。
重要なのは実現可能で、かつ少し努力が必要な達成度を設定すること。「ゼロかイチかの数値化」の罠におちいらないように達成度(達成基準)を設定する必要があります。この際、若干のミス・失敗は挽回できるような方策がある目標を選ぶことです。たとえば、上記の例で言えば、「今年は無駄遣いを0にする」ではなくて、「小遣いの1割までとする」というような設定の仕方です。
■ベンチマーキング
「ベンチマーク」とは、「指標・基準」という意味を持っており、ライバルや競合他社を目標に設定する方法のことです。簡単に言ってしまえば、ライバルや競合他社の真似をしながら、自分・自社の改善策を見つけ出す目標設定の方法です。
そのため、ライバルや目標とする人物がいる場合、などでは有効な方法です。
ベンチマーキングの実践方法は、目標とする人部の分析から始めます。
◆情報収集・分析
ベンチマークとなる人の情報収集をします。
情報をもとに、自分とベンチマークとの現状のギャップを洗い出していきます。
そして、ギャップが生まれる原因を分析していくのです。ようするに、自分との相手との差異分析です。
◆統合・目標設定
分析結果から、今度は目標を設定します。
分析によって、なぜライバルや競合他社とギャップが生まれるのかの仮定が出来上がります。その過程に基づいて、ギャップの要因となる項目をベンチマークと同等あるいはそれ以上のレベルになることを目標とします。
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