ほとんどの人は、「自分が重要人物でありたい」という願望を持っています。
『人を動かす』では、「自己重要感」という言葉でかなりのボリュームを使って繰り返し説明しています。
前回の人を動かす:チャールズ・シュワップの給料を決めたたったひとつの技術では、シュワップの逸話をご紹介しましたが、今日はその続きで、「お世辞」についてのくだりをご紹介します。
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もちろん、お世辞は、分別のある人には、まず通用しないものだ。
お世辞というものは、浅薄で、利己的で、餓意のかけらもない。それが通用しなくてあたりまえだし、また、事実、通用しない。
もっとも、餓死寸前の人間が草でも虫でも手あたりしだいに食べるように、何もかも鵜のみにしてしまう讃辞に飢えた人々も世のなかにいることは事実だ。
英国のヴィクトリア女王でさえ、お世辞を喜ぶ傾向があった。
時の宰相ディズレーリも、女王に対しては、お世辞をふんだんにいったと、みずからいっている。彼のことばを借りれば、 「こてで塗るように」お世辞をいった。
彼は大英帝国歴代の宰相のうちでも、まれに見る洗練された社交の天才である。
ディズレーリが用いて有効な方法も、われわれが用いれば、かならずしも有効とはかぎらない。
結局のところ、お世辞というものは、利益よりはむしろ害をもたらすものだ。
お世辞は、偽物である。偽金と同様、通用させようとすると、いずれは、やっかいな目にあわされる。
お世辞と感嘆のことばとは、どうちがうか?
答えは、簡単である。後者は真実であり、前者は真実でない。後者は心から出るが、前者は口から出る。後者は没我的で、前者は利己的である。後者はだれからも喜ばれ、前者はだれからも嫌われる。
:
:中略
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英国王ジョージ五世は、バッキンガム宮殿内の書斎に、六条の金言をかかげていた。そのひとつに、「安価な賞讃は、これを与えることなく、また、受くることなきを期せよ」とあった。
お世辞は、まさに「安価な賞讃」である。また、お世辞の定義について、つぎのように述べた本を読んだことがある。
「相手の自己評価にぴったり合うことをいってやること」。
これは、心得ておいてよいことばだ。
デール・カーネギー(著) 『人を動かす』
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つまり、とにかく何でも心にもないことを言うのではなく、相手が聴きたいと思っている言葉を話してあげるというのが重要ということのようです。
これはプレゼンや会話でもすごく重要な事で、よく言われるのが、
「相手が聴きたいと思っていることを話しなさい」
というもの。何かについて説得しようと思ったら、自分の言いたいことを言っても相手は聞いてくれません。それがどれほど論理的に正しいものであっても。
相手が「なぜ?」と聞いたら、相手は「自分(相手のこと)にどのような影響があるのか」を聞こうとしていることに注意しないといけません。自分がやりたいことを説明しても相手には響かない。
同じことが「お世辞」にも言えて、「いつか社長になりたい」と思っている人には「社長の器ですね」と言えば響くということですかね。
「相手の自己評価」を知るというのがすごく難しいことでもあるのですが…
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