ヘッドハンターを信用してはいけない







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ところが、それから2年ほどたったころ、へッドハンターから別のコンサルティング会社で、電機会社担当のパートナーを探しているという話が舞い込む。
Cさんの勤めるコンサルティング会社でパートナーに昇進するためには、あと2回昇進しなければならず、それには少なくとも4、5年の時間を要する。それも2回とも昇進できてはじめて、パートナーの座をつかめるという厳しい道のりだ。
コンサルティング会社で次のレべルに進めるのは、せいぜい半分ぐらいである。アップ・オア・アウトといって、昇進できない入は退職しなければならない。2回の昇進というのは、簡単なことではない。Cさんは、いろいろと考えた結果、2回目の転職を決意する。まだ、40歳になる前にパートナーの座をつかんだ。

ところが、仕事をはじめてみて、なぜ自分が雇われたかがよくわかった。

このコンサルティング会社は電機会社のクライアントをまったく持っておらず、当時、世界で大きなマーケット・シェアを持っていた日本の電機業界の開拓をCさんに託したのだった。考えてみれば当たり前だ。もしその会社がCさんの担当する業務でうまくいっていたのならば、外から人を雇ったりはしない。周りの人に聞いてみると、自分の前任者も3年足らずしかつとまらなかったそうだ。その人は、結局、電機業界の開拓に失敗し、去っていったという。
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植田統    『45歳からの会社人生に不安を感じたら読む本
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ヘッドハンターが何を持って評価されるかというと、企業が要望する人材を見つけて転職させることです。なるべく高い地位の人を移動させた回数で評価されます。
その人材がその後どうなるかには責任をもっていません。

もしあなたが転職市場に一度でも名前を出したことがあるのであれば、ヘッドハンターは「転職経験者は落としやすい」と考えて接触してくることもあります。
一度も転職したことがなくても、接触してくる場合もあります(私の経験はこちらでした)。

この時、当然ながら「待遇が今より良くなる」のがヘッドハンターの言い分でしょうが、その代わりに何かを失うリスクを考慮しないといけません。
つまり、あなたに

 ・その待遇を受けるだけの能力があるのか
 ・それに伴うリスクを受け入れるだけの覚悟があるか

という点です。




◆自分の能力を測る


どうしても過去に実績を出してきた人は、それを自分の能力と思い込む傾向がありますが、それはもしかしたら、今在籍している会社という看板や業界の成長度合い、経済環境に影響されただけかもしれません。

自分の業績が本物かどうかは、中途採用面接の経験があるなら割合簡単にできます。
自分で履歴書を書いて、しばらくたってから、それを転職希望者の履歴書だと思って読んで評価してみてください。その人を自分の同僚あるいは上司として迎えたいですか?
客観的に見て、その人の実力で結果が出ているでしょうか?

もし答えが"YES"ではなければ("NO"または"保留")なら、あなたは転職に失敗する確率が高いと考えたほうがいいです。

もし中途採用面接の経験がなければ、おそらく正しくは評価できないので、全く関係ない転職コンサルタント(転職会社の営業ではいけません)に見てもらうことを推奨します。

簡単な自己診断としていかに私が中途採用の経験から得た、能力の有りそうな人のポイントを書いておきます。

 ・文章が論理的で日本語記述としてわかりやすい
 ・自分の能力が抽象化表現として書き表されていて、それの具体的行動が明確化されている
 ・プロジェクト遂行においてキックオフとターニングポイントとなったポイントが明確化され、その2つのポイントに指導力を発揮したのが本人である
 ・プロジェクトのリスク発生を事前に予測できていたか。そのリスク回避の方策として複数の選択肢が挙げられていたか

ただし、「有りそう」というだけで本当のところはわかりません。

◆転職で企業規模が大きくなって役職・給与が上がることはない


転職先の企業規模が大きくなる場合に、役職や給与が上がるのはなにかフェイク(いわゆる「ウラ」)があると思ったほうがいいです。
一般に規模が大きくなればなるほど内部人材が豊富になるので、外部から招聘するメリットは小さくなります。それでも外部から招聘(ヘッドハント)しようとしているのは、「相当の理由」があると思っていいです。
それが、あなたに調べられないのであれば、おそらくその「相当の理由」はあなたにはクリアできないと思ったほうが安全です。

逆に企業規模が小さくなる時には、役職が上がることはありえます。
しかし、相応のリスクも有ることは確かです。企業規模が小さくなれば、社長やオーナーの権限が拡大します。その結果、「使ってみてダメそうならチェンジ!」みたいなことが簡単に行われます。




■参考図書 『45歳からの会社人生に不安を感じたら読む本





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45歳はキャリアのターニング・ポイントだ。45歳になると、それまでの20数年におよぶキャリアの答えが出てくる。

よくがんばり結果を出してきた人、部下の使い方がうまい人、人望のある人には、取締役や執行役員になり、腕をふるうチャンスが訪れる。

そうでなかった人はポストを外され、転身を迫られる。
 
あなたの45歳からのキャリアは、それまでにあなたがどういう準備をし、どのような経験をし、どういう人脈を作り、どういうスキルを身につけてきたかで変わる。

だから、45歳までに周到な準備が必要になる。

本書は、45歳になって途方に暮れないために、今のうちに読者の皆様が心がけておくべきこと、取り組んでおくべきことを、30のポイントに分けて解説する。





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著者 :植田統

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●本書を引用した記事
 成功の秘訣
 成功者のストーリ
 45歳からの会社人生に不安を感じたら読む本
 過去と相手は変えられない
 ヘッドハンターを信用してはいけない
 1年未満の転職はキャリア上マイナスになる
 選択肢を多くしておく
 ちょっと前向きになれるアドラーの指針
 会議にパワーポイントをむやみに使うな
 部長ならできます

●このテーマの関連図書


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