道教の言葉で、「有之以為利、無之以為用」という言葉があります。読み下し文で書くと
有の以て利を為すは、無の以て用を為せばなり
ちょっと直感的にはわかりにくいですが、私はなにかを新しく作ったり、それを活用する方法を考えたりするときに、いつもこの言葉を思い出します。
■「有之以為利、無之以為用」
これを知ったのはこの本から。
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道教において老子は、 「有之以為利、無之以為用」と論じている
この思想は、実在するもので目に見えるものが私たちに基本的な機能を提供しているが、使用する用途によっては隠れたスペースなどが無限の可能性を広げているというものである
「有]とは見えること、実在することであり、他の実体と差別化している。「無」は見えずに隠れているが、無限の存在を提供する可能性のことである。
「用」は有用な空間を有効に活用できる有用性のことである。
例を挙げると、人は家に住むことができるが人が本当に使用しているのは家を形作るセメントやレンガではなく、家の内部の空問である。その空間の中で起きている喜怒哀楽が暮らしになる。家に住むそれぞれの家族にはそれぞれの暮らしがある
一般的な人にとって、家を買うこと自体は目的ではなく、家を買うことで、快適な空間と質の高い生活を得られることが目的である。
ジェイ・リー(著) 『インダストリアル・ビッグデータ-第4次産業革命に向けた製造業の挑戦』
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まあ、つまり、本書の例に書いてあるようなことです。
別の例えをすると、コップを思い出してください。
コップはガラスの円筒の一端を閉じた形をしています。ただこの形自体が役に立つわけではなく、コップの形で切り取られる空間に水を入れることで役に立つ(水が飲めるようになる)わけです。
で、コップという「有」が自分に役立つのは、コップのなにもないところ「無」があって、そこに水を汲むという用をなすからである。と言えるわけです。
つまり、コップの円筒部分がすべてガラスで埋まっていたら役には立ちませんよね。あそこが凹んでいるから初めて役に立つわけです。
同じことは、メモ帳やノートでも言えます。
ノート自体が役に立つことはなくて(暑いときにパタパタすると風を送るという役に立つ場合もありますが)、ノートには空白があるから、そこに何かを書き込めるわけです。びっしり隙間なく書き込まれたノートにはもう何も加えることはできません。それはもう、「書き込む」という役には立たないわけです。ましてや、インクで真っ黒に塗られたノートには、もうなにかの情報を表示することすらできませんね。空白があるから文字が浮き彫りになって、そこに書き込めるからノートとして役に立つわけです。
「もの」は空白があるから「用」を成すわけです。
■空白を作れ!
で、私は一つの教訓というかポリシーを作っています。
空白を作れ!
です。
イメージとしては「空白」より「余白」にちかいです。つまり、「なにもない」ではなくて「何かがちょっとある」という状態です。ノートで言えば、何かのテーマとそれに付随する情報がちょっとだけ書いてある状態なのですが、「余」という漢字がどうも「おまけ」みたいなので、やっぱり「空白」ということにしてます。
つまり、水の入っていないコップでは利益(喉の渇きを癒やす)に立たないけど、凹みのないコップも役に立たないですね。
凹みの中にちょっとだけ水が入っていると、追加するのも飲むのもできるようになります。
もうちょっと具体的な活動でいうと、こんな感じ。
・ノートには、1見開き1テーマ、3割は何も書いてない部分を作る。1行しか書いてなくてもテーマが変われば新しくページを作る
・マインドマップの要素同士の間隔を要素の大きさの3倍以上を取る
・机の上には、作業をしているときでも机の天板の3割以上が見えるようする
・メモは大きな付箋に1枚1テーマ、数行で書く
・スケジュールは、「空き時間」というスケジュールを入れまくる
・PCのハードディスクは容量の3割以上には入れない
■参考図書 『インダストリアル・ビッグデータ-第4次産業革命に向けた製造業の挑戦』
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