DIPSとは何か8:スケジューリング5つの定理




私の仕事のやりかたの基本は GTD と DIPS から勉強しました。GTD は多くの情報がありますが、それに比べると DIPS はちょっと情報が少ないみたいです。

DIPS の参考図書としては、

 『知的生産性向上システムDIPS(ディップス)
 『DIPSとは何か―知的生産性向上システムの全ノウハウ

の2冊を読めばわかると思いますが、本記事では『DIPSとは何か―知的生産性向上システムの全ノウハウ』のキーポイントをご紹介します。

いままでの記事でタスクのブレイクダウンの方法について、DIPSで推奨する方法について説明してきました。次はタスクをいつ実行するかという問題です。




■スケジューリングの5つのPの定理


これは、スケジューリングの際に、どの業務をいつ実行すべきかのプライオリティ(優先順位)を判断するための5つの基準のことです。

さっそく、5つのPについてご紹介します

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  Ryoukai 了解の P    すべての仕事はその仕事の依頼人やユーザの了解が一切に優先する
  Setuyaku 節約の P    同時に処理できる仕事はないか、2度手間にならないように仕事のやり方が変えられないか
  Time 時刻の P    すでに決定しているスケジュールは必達
  Umekomi 埋込の P    スケジュールの空白部分を活用する
  Value 価値の P    業務の優先順位をその価値で判断する

小林忠嗣(著) 『DIPSとは何か―知的生産性向上システムの全ノウハウ
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●了解の P



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まず「 R (解)の P 」。

すべての仕事は、その仕事の依頼人や、ユーザーの了解が一切に優先するという定理です。ここではやや逆説的に、お客様や上司の了解さえ得られるならば優先順位をどのようにでも変更できるという意味に使っています。

したがって、効率よいスケジューリングで動くために、すでに決定してしまっている子定を変更したいと考えることがあった場合は、その子定がたとえ顧客や上司との間のものであっても遠慮せず、変更の了解がとれないかどうか、まずあたってみなければなりません。

これは納期や面談予定の変更のときばかりでなく、これから取り組もうとする作業の品質を決定するときも用いることができます。

突発業務のために当初子定していた作業ができそうにないとき、すでにある資料などで取り急ぎ代用することはできそうだ、と考えられれば、まず依頼者たる上司に、次善の策で了解してもらえないか確認してみるべきなのです。

小林忠嗣(著) 『DIPSとは何か―知的生産性向上システムの全ノウハウ
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●節約の P
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「 S (節約)の P 」。

一つの作業をしようとするときに、同時に処理できる仕事はないか、二度手間にならないように仕事の仕方を変えられないかと考えるのが「節約の P 」です。

たとえば、五人の相手に同じことを説明しなければならない仕事があれば、何らかの方法で五人に集まってもらい、一度に済ませることはできないかと考えたり、どうしても出張せねばならない仕事があるときには、将来発生しそうな用事まで同時に片づけることができないかと考え、準備するという考え方が「節約の P 」です。日頃からそういう態度で仕事をしていると、驚くほど多くの仕事が能率よく消化できることにお気づきになるでしよフ。

小林忠嗣(著) 『DIPSとは何か―知的生産性向上システムの全ノウハウ
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●時刻の P
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「 T (時刻)の P」 。

すでに決定している時刻や納期は最優先で守られなければならない、という定理です。

至極当然のことですが、見方を変えれば、だからこそ自分のスケジュールを決めるときは、必ず実行できるように慎重にならねばならない、ということもできます。

たとえば、よく会議の時間を「一時から」と決めることがありますが、これは慎重さに欠ける決め方です。こんなことをすれば、メンバーの中には、「お客様とのミーティングがずれ込んで、昼食を食べる時間がなくなった」「昼一番に部下に指示する用があった」という理由から十五分ほど遅れてくる人が必ず出てくるものです。

そうした人が会議の重要人物であった場合、他のすべてのメンバーは十五分間ただ待たされることになります。もし会議のメンバーが 10 人いれば、150 分のロスが生じるのです。

できるだけ守りやすい時間を決め、決められた時間は必ず守らねばならない、という認識をすべての人が持たなければ、組織の生産性向上を望むことはできなくなってしまいます。

会議についてもう少しご説明すれば、開始時刻でなく終了時刻も重要です。二時間で終わると決まっているものを、三十分も一時間も延長すればその日の参加者のスケジュールはガ夕ガ夕になってしまいます。

一度決めた時刻を守るために、たとえば発言者の発言時間を区切って要領よく話すよう参加者を意識づけるとか、議題についての説明時問を短縮するために予め資料を配布し、事前に読むことを義務づける、といった準備をしておかねばなりません。

このような「時刻の P 」なくして「了解の P 」ばかりを振り回されては、仕事の生産性を高めることなど水久に不可能だと申し上げてもよいでしょう。

小林忠嗣(著) 『DIPSとは何か―知的生産性向上システムの全ノウハウ
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●埋め込みの P
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「 U (理込)の P 」。

スケジュールの確定した時刻と時刻の間にできる空白部分を有効に使おう、といつのがこの定理です。たとえば、一時半から会議の予定なのに、一時から体が空いてしまったとしましょう。

この程度の時間ではまとまった仕事はできません。

しかし、たとえば名刺の整理とか、経費の精算といった用事を済ませるには適当な長さだといえます。急がないけれども、いつかはしなければならない・・といった作業を、予め中途半端な空き時間に処理するようリスティングしておき、20 分、30 分という空白の時間に適宜埋め込んで片づけていくのが「埋込の P 」です。

列車の乗り継ぎのためにできてしまった待ち時問や、訪問先で面談の相手に「前の打ち合わせが延びているので、もう十分ほど待ってほしい」と言われたときの空き時間などを有効に活用するときも、この「埋込の P 」が活躍します。

小林忠嗣(著) 『DIPSとは何か―知的生産性向上システムの全ノウハウ
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●価値の P
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「 V ( 価値)の P 」。

いままで述べてきたような四つの P を用いても、その時間帯の業務の優先順位が決められないときには、それぞれの業務の価値で判断しようとする定理です。たとえば、月末の締切日が近づいているときに残りの営業日を新規開拓の訪問に使うべきか、既存顧客の深耕活動に使うべきかといった選択をせねばならないときは、

 ・より価値が高いと思われる仕事を優先する。
 ・より価値の実現が確かだと思われる仕事を優先する。
 ・より価値の実現が早いと思われる仕事を優先する。

という三つの価値( v )について判断し、 P (プライオリティ)を決定するという定理なのです。

したがって、同じ状況におかれたセールスマンであっても、彼の属する会社や組織の状況によって、「価値の P 」は異なった結論を出す可能性もあります。

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■優先順位の考え方


ここで書いた優先順位の5つの定理は、DIPSが推奨しているもので、決してすべてが私の基準と合致しているわけではありませんが(過去にご紹介したように)、どれも無視していいものでもないと考えています。

大事なのは自分の判断基準を明確にしておくことで、状況や他人の意見に振られずに自分のポリシーとして判断ができるということです。

それで失敗したのであれば、自分のポリシーとして反省と改善を加えればいいですが、状況で適当に判断したり他人の判断に任せたりしてしまえば、それは反省も改善も生まれません。永久に今のレベルに足踏みをすることになります。

「それは避けたいな」というのが自分のポリシーだったりする。





■参考図書 『DIPSとは何か―知的生産性向上システムの全ノウハウ




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DIPSとは何か―知的生産性向上システムの全ノウハウ
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●本書を引用した記事
 Pマトリックスで優先順位を判断する
 DIPSとは何か13:DIPSの効果が期待されるプロセスとDIPS運動
 生産的であるために2:ハック編
 DIPSとは何か9:RRASTICなアイディア出し
 DIPSとは何か10:作業の効率化と学びを促すTBシート
 DIPSとは何か12:根回しのタイプとターゲット明示の原則
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 DIPSとは何か8:スケジューリング5つの定理
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●本書を引用した記事
 生産性を改善するヒント(「1440分の使い方」より)
 Pマトリックスで優先順位を判断する
 自分の集中できる時間は限りがある
 集中と弛緩を制御する(マックスIIの原則)
 DIPSとは何か13:DIPSの効果が期待されるプロセスとDIPS運動
 生産的であるために2:ハック編
 DIPSとは何か9:RRASTICなアイディア出し
 DIPSとは何か10:作業の効率化と学びを促すTBシート
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