何かの問題や課題(これは別物ですよ)の対策を上司や関係者にプレゼンする機会って、よくあるかと思います。そのときに、あまり突っ込まれずに自分のやりたいことを通す方法があります。
まあ、ある一つの手法だけでうまくいくことは少ないですので、他のいろいろな手法と合わせてやらないといけないですが、これをないといろいろ突っ込まれて、「再検討」になってしまう場合が少なくありません。
その方法とは、「比較効果」という心理効果を使います。
■比較効果
「比較効果」とは、単純に言えば、論点をずらしてしまう方法です。
過去記事で
提案は松竹梅でする
という、私が勝手に「松竹梅戦略」と呼んでいるものを拡大したものです。
たとえば、「ディズニーランドとユニバーサルスタジオどっちに行きたい?」と聞くようなものです。
これを、「ねえ、ディズニーランド行かない?」と聞くと、「行く・行かない」の選択から始まります。そうすると、その人がディズニーランドが行って楽しいかどうかという絶対基準での判断になります。その時の比較対象は、行かなかったときに得られるであろう楽しさと比較されます。
相手がその日にやろうとしていたことと比較されると、ちょっと不利です。
これが、「ディズニーランドとユニバーサルスタジオどっちに行きたい?」と聞かれると、楽しいかの絶対基準ではなく、両者の比較になるんですよ。
この時点ですでに、「行く・行かない」という選択肢ではなく、「どっちがいいか」という比較になってしまっていて、「行かない」という選択肢は排除されてしまっています。これがワナだったりするわけ。
■コントラスト効果を出す
比較効果で自分のやりたいことに誘導するためには、コントラストが必要です。
要は、
対策は、3案あります。案1は××で△△というメリットがある代わりに、長時間かかります。案3は短期間でできるのですが、効果は限定的です。この中間として案2があります。
みたいに説明すると、たいていの人は、「じゃあ案2で行こう」となります。ちょっと欲張りな人なら、「とりあえず案2で手を打っておいて、その間に案3を準備しよう」みたいになりますよ。
案を出すときには、最低でも3つくらいは出さずに
この問題の対策は○○をすることだと考えます!
って言い切っちゃうと、その対策の内容に議論がいきます。
所詮人間がやることなので、良いところも悪いところもあります。その悪いところを針小棒大に言う人もいるんですよ。そうなると議論は沸騰したり、その悪いところの対応案を考えることになって、「継続検討」っていうオチが待っている。
ただし、複数案を出したときに、自分がやりたくない案も含めて提示しないと、「全部ダメ」みたいな結論になりかねませんので、そこは注意して案を考えないといけません。
結論として自分がやりたくない案を選ばせないようにする方法が、コントラスト効果です。
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●比較させることでイエスと言わせる説得の技法「コントラスト効果」
「コントラスト効果」と呼ばれる心理現象があります。
お寿司屋さんの一人前メニューに、「松 2200 円・竹 1500 円・梅 1200 円」などとあると、竹が最も注文としては多くなるものです。
松はちょっと高いな、でも、梅は一番安いけど、貧乏くさいかな――などと見栄を張るからだったり、真ん中を選べば、まあ、当たり外れも少ないだろう――という安心感もはたらくからです。
不動産屋さんに、賃貸物件を案内される場合も、最初に見せられる物件は、希望の条件と同価格帯であっても、古くてあまり見栄えのしない物件だったりします。
最初に見た物件で、この価格帯ならこういう水準ですよ――といった先入観を刷り込まされるわけです。
次に不動産屋さんのイチオシ物件を見に行くと、最初の物件よりも、はるかによい物件に見えますから、こちらを選んでしまう――というわけです。
相手にイエスと言わせたい場合には、条件をひとつだけに絞って、ストレートに回答を求めるより、ダミーとしてそれより高い条件のモノか、劣悪な条件のモノも一緒に提示して、比較させるようにしたほうがよいということです。
神岡真司(著) 『思い通りに人をあやつる101の心理テクニック』
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これのいい例が、車や家を買うとき。
コンビニでおにぎりを買うときに、120円のおにぎりにするか、ちょっと贅沢に200円のおにぎりにするか迷ったりしません?(私だけ?)
ところが車を買うときに、10万円のオプションはちょっと考えますが、1万円のオプションなら、「ああ、付けといて」って軽く言うでしょ。
300万円の買い物について考えているときに、1万円なんて誤差なんですよ。
一方でコンビニで1万円を誤差だとは考えないですよね。
こんな大雑把に買った車でも、ガソリンが1円安いからと10kmも先のガソリンスタンドまでわざわざガソリンを入れに行ったりして。
■提案は3〜5個提示する
何かの提案をするときや、何かを設計するときには、かならず3〜5個の提案を作ります。
そしてある案(自分がやりたいもの)が極端に良いようにみえる評価軸を自分の都合のいいように決めて、その軸に沿って評価した結果を付けて提示しましょう。
議論が、その案そのものではなく、他の案との比較(それも自分にとって都合いい)になって結局誘導しやすくなります。
もちろん、その場での定時のテクニックや議論の引っ張り方のテクニックも必要ですが。
提案の件数は必ず3〜5個です。それ以下だと議論が案そのものになったり、話が発散したりします。だいたい全体を記憶できるのは3以上5以下なんですよ。
■参考図書 『思い通りに人をあやつる101の心理テクニック』
![]() ![]() | ▼どうしたら思うように相手を動かすことができるのか? 本書に関心を寄せていただいた読者の方は おおむね次のような不満を抱えているのではないでしょうか? ――どうしたら、部下が自分の思うように仕事をしてくれるのか? ――どうしたら、苦手な上司や取引先をラクラク攻略できるのか? ――どうしたら、気になるあの人に振り向いてもらえるのか? ――どうしたら、営業のクロージングでNOをYESに変えられるのか? などなど・・・ 「いったいどうしたら、相手を動かすことができるのか! ?」 人を自由にあやつることができれば、 私やあなたの毎日は楽になることでしょう。 しかし、そう簡単にはいかないのが現実です。 人生の成功者たちは「コミュニケーションの巧拙」が 地位や年収に結びついていることを、体験的に知っています。 人間同士で構成されるのが人間社会です。 人間心理を制するものが人生を制するのです。 ▼即効性の高い実践心理テクニックを101本収録! 相手を「動かす」「あやつる」という行為は けっして相手を「だます」ということではありません。 自分も相手も、狙った方向に気持ちよく向かわせ、誘導する。 そんな魔法のような心理技術が、この世には存在するのです。 そこで本書は冒頭に掲げたような不満を解消する心理技術を 厳選して計101本取り上げました。 心理学で検証・確立された理論をベースにした きわめて実践的で即効性の高い心理テクニックです。 ※決して悪用しないようにしてください。 ぜひ、ご一読いただき、すぐにでも実践すれば その効果のほどをたちまち実感されることと、保証いたします。 この101のテクニックを駆使しさえすれば 思うようにならないさまざまな人間関係のイライラから解放されます! ↓特設Facebookページへお越しください http://www.facebook.com/shinri101 |
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