プロジェクトを任されたら制約条件を探る




あなたが上司からなにかのプロジェクトの遂行を依頼されたとします。

まず何をしますか?

若いころよくやった失敗が、上司に

 「どういう作戦で臨みましょうか?」
 「どう進めますか?」
 「どういう方針で臨みますか?」

とかの聞き方。大体答えは決まってます。

 「それを考えるのがお前の仕事だろうが!」




■方針を聞いてはいけない


自分がそれを言う側の立場になって気がついたのですが、あるプロジェクト、例えば「職場の風土改革」などを立ち上げようと部下に指示した時に、上司は

 ・どんなゴールなのか
 ・どういう作戦・戦術で臨むのか

を具体的には考えてません。もやっとしたイメージがあるだけですので、「具体的にどうすればいいですか?」と聞けば、答えられないに決まってます。で、結局「お前の仕事だろうが!」という答えが帰ってくるわけです。
ちゃんと考えている上司ももちろんいます。その方には大変失礼ながら、私の知っている範囲では、私も含めて、大体は深くは考えてません。

もしあなたが何らかのプロジェクトの推進を上司に指示されたら、

 「どうやってやるか」を上司に聞いてはいけません




■上司には制約を聞く


ただし、勝手に考えた作戦を展開すると、最悪上司から、「そんなことは言ってない」「やり過ぎだ」とかストップがかかって構想していたものが実現できなくなります。でもストップをかけたのは上司でも、結果としてやれなかったのは担当の部下の責任ですので、期末の評価で「あのプロジェクト、完成しなかったよね」と言われて評価ダウン。なんていうことにならないようにしっかり上司の意向を引き出しておく必要があります。

どうするかというと、

 1.そのプロジェクトの具体的方針をいくつか作る
 2.その方針を極端にした時にどの様な状況になるか、あるいはどの様な作戦があるかを考える
 3.それを上司に「どう思うか」聞いてみる

というやり方が一番良さそうです。

 「○○みたいなのは、アリですか?」

と聞くわけです。質問の形は、「クローズドクエスチョン」すなわち「YES/NO」で答えられる質問です。

これなら大して考えてなかった上司も具体的にその状態を想像して、自分が望んだものなのかどうかをYES/NOで判断できます。
そうすると、上司のイメージがだんだん具体的になってきて、

 ・ここまではOK
 ・ここからはNG

みたいな線引きが出来るんですよ。

それで上司の思っている着地点(着地領域?)を形にしていくんですね。

ちょうど盲目の人が象の形を触ってみるかのように、

 「鼻が長いですか」
 「足は太いですか」
 「体長は2mくらいですか」

みたいに外堀を明確化していくイメージといえばいいでしょうか。それともWindowsのゲームにあるマインスイーパみたいに、ちょっとづつ地雷のある位置を聞き出していく方法、とでも例えるとわかりやすいでしょうか。

上司の言う曖昧な指示を、具体的な成果物にしてこそ、能力があると判断されるようになります。
しかし、その成果物が上司の気に入るものでないといけません。何が気に入るかは、直球では教えてくれません。外側を調べながら進めるわけですね。
そのためにも、進捗に合わせて、ホウレンソウをしながら、上司の意向を上手に聞き出しましょう。




■同じテーマの記事

生産的であるために4:対人関係編、もの編、計画編、食事・健康編の詰め合わせ

最近、生産性向上だの働き方改革だのいろいろかしましいですね。まあ、いろいろな方策があり、それを実現する手段もいろいろあり、それぞれの会社の特徴や従業員のレベルによっても取らないといけない方法は千差万別。中でも、個人の生産性向上というのは、結局会社の方針ではどうにもならず、個人の意識に依存しがちです。もちろん、会社で「やるぞ!やるぞ!!」と意識改革(言い換えると洗脳ですが)をすることも必要なのですが、個人として「向上していくんだ」というモチベーションはやっぱり個人の中に..

あなたのビジネスの基礎力を測定するチェックリスト2

考える力は、他人が出した結論を見るだけでは絶対に付きません。自分の頭で考え、それを整理し、行動してそれをさらに最初の考えにフィードバックするというループによってのみ強化されます。本カテゴリでは、さまざまなテーマを設問としてご紹介していきます。そのテーマについて、ノートに自分の考えを書き出して、それから導き出される結論に基づくアクションを決定して行動してみてください。その結果自分の考えがどのように変わったのか、一度このノートをを見..

「チーム作業」をすると人数効果が出る

あなたが何かのプロジェクトのリーダーをしているのであれば、以下の考え方が役に立つかもしれません。分担作業ではなく、チーム作業をする仕事に複数の人がかかわると、さまざまな面でロスが発生しやすくなりまづそれでも私たちがチームを組んで仕事にあたるのは、個人でできることに限界があると知っているからです。ただし、1+1 が 2 になるという力の合わせ方では、相手がい..

あなたのビジネスの基礎力を測定するチェックリスト1

考える力は、他人が出した結論を見るだけでは絶対に付きません。自分の頭で考え、それを整理し、行動してそれをさらに最初の考えにフィードバックするというループによってのみ強化されます。本カテゴリでは、さまざまなテーマを設問としてご紹介していきます。そのテーマについて、ノートに自分の考えを書き出して、それから導き出される結論に基づくアクションを決定して行動してみてください。その結果自分の考えがどのように変わったのか、一度このノートをを見..

「どうでもいい」という解答がある

巨人たちのお言葉シリーズをお送りします。本日の巨人:寺田寅彦本日のお言葉:ある問題に対して「どーでもいい」という解決法があるお言葉の出典:『心のポケットに入れておきたい名言手帳』寺田寅彦寺田 寅彦(てらだ とらひこ、1878年(明治11年)11月28日 - 1935年(昭和10年)12月31日)は、戦前の日本の物理学者、随筆家、俳人。吉村冬彦(大正11年から使用)、寅日子、牛頓(“ニュートン”)、藪柑子(“..

新しい技術、プロセスについて試してみる

社内では結構トシ上の部類ですが、私は自他共に認める新しもの好きです。社外でちょっと小耳に挟んできた程度の技術を「やってみようよ」とあちこちに声をかけて有志を募るし、部下には「このやり方ってどう」ってやったことがないやり方を試させるし、案外いい迷惑かも…逆に、過去のやり方に非常にこだわる人も結構います。以前からこういうやり方をする事になっている各部門のコンセンサスが必要会社組織が大きくなると、どうしてもこういう官僚..




posted by 管理人 at 18:39 | Comment(0) | 知的生産術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: