私の専門であるプログラムの開発だけではないと思いますが、オフィスワーカーは生産性の差がかなり激しく結果に出ます。なので、私などは「生産性を高めたい」と思うわけですが、これが、全くその気がない人もいます。
ところが、生産性が低いプログラマほど残業時間が長くなって、給料が高くなっています。
これって生産性を高める目標が自己満足になっているんじゃないかと疑問になることも、たまにはあります。
■生産性が低い人が給料が高い理由
生産性が低いプログラマの場合、スケジュールに間に合わせるために、割り振られたプログラムを休日出勤や残業によって開発しなければなりません。1本目の開発が遅れて休日出勤や残業を重ね、疲れが取れないまま次の開発へ。そうしてさらに進捗遅れが生じます。
開発現場ではよくある光景かもしれません。
結果、生産性が低いプログラマは長時間残業を重ねて給与の支給額が増えていきます。
そもそもプログラム開発は給与格差が少ない若手が担うケースが多く、生産性が低い社員が生産性の高い社員よりも給与が高くなる傾向にあるみたいですね。
だからといって、生産性で給料を決めるわけにも行かないわけです。
労働基準法では「労働時間に対して賃金を支払うこと」を前提としています。
社員が残業すれば、企業はその時間分の残業手当を支給しなければならないのです。休日出勤も同様です。
つまり、「時間いくら」で働いている以上、長時間働けば給料はたくさんもらえる仕組みになっています。
本来これは工場のワーカー、つまり、時間あたりの生産性がそれほど差がない人たち向けに考えられた仕組みかからなのかもしれません。
■生産性が高い人の評価は
では逆に生産性が高い人はどうやって評価されるのかというと、「昇進・昇格」です。
上司としては生産性が高い人のほうが能力評価を高くします。当然成果評価も高くなります。評価が高いのなら昇進・昇格させるという流れにつながります。
このため、長い目で見ると生涯給与という目で見ると、生産性が高い人のほうがトータルとしてはお得になると考えてます。
ただし、昇進していくためには生産性が高くてもダメです。
昇進していくと、交渉力とか発想力、提案力のような生産性とは直接関係ない能力が問われるようになります。その能力が低ければ結果的には評価が下がり、昇進は停止します。
つまるところ、生産性を上げるというのは昇進のためのトリガであって、昇進のための要件ではないわけです。
これはいろんなシステムやツールと同じです。
いま、生産性向上システムやら AI やらいろいろなものがあります。ネジを締める作業ひとつとってもドライバで締めるのか電動ドライバで締めるのかによって生産性は違いますが、それを導入したからと言って、会社の売上が上がるわけではありません。
それを使って、有益な作業をするから利益が上がるわけです。
そのためには、そのツールを何に使うかが重要で、「どう使う」かは大した問題ではないわけです。
「何に使うのか」を考える力がなければ、いくら効率的にネジを締めることができても役には立たないわけですね。
■20代は生産性の考える、それ以降は忘れていい
個人的には、「生産性を上げる」ということを考えるのは、20代まででいいと思っています。
それ以降は、自分の生産性をどのように活用するか(会社で「役に立つ」と思われるようにするか)に注力すれば、相応の結果がもたらされると思います。もちろん、自力で解決できない問題もありますが。
「生産性を向上させる」ことに意識を集中する必要はなくなるわけです。
ただし、20代でそれを徹底的にやれば、それが習慣になってます。「生産性」に意識が行かなくても、自然にやるようになります。
プログラミングを例に取れば、言語仕様を覚えるとか、キーのタイプ速度を上げるみたいな部分は20代で完成させておいて、30代になったら、どんなプログラムを作ればユーザが喜んでくれるのかという大きな意味での生産性に意識をシフトしていくのがいいと考えます。
そういう意識の方向の変革をしていけば、結果として給料はそれに見合ったものになっていきますよ。多分。
ある程度「運」「時流」みたいなものもありますけど。