転職や昇進面接などの面接官をするときに、相手の受け答えを見て「自己分析が十分できてないかも」と思える方がいたときに、ある質問をするようにしています。
その質問とは
「あなたが、まだ足らないと思っているものはなんですか?」
という質問です。
「あなたの欠点について教えてください」
という質問は、よく面接の Q&A に出てきますが、「欠点」とは言いません。「足らないところ」が質問です。
これに「欠点」で答える人は、そもそも質問を聞いていないと判断します。
さらに「足らないと思っているスキル」でも「能力」でもなく、単に「もの」と言っていることに注意。質問を広くすることで、候補者の意識のある方向を探ろうとしています。
■足るを知り、不足も知る
「自分にはなにができるのか」というのは、面接の場ではアピールするのは当然ですので、候補者は事前に準備してきます。
なので、「自分にはこんなスキルがあります」「こんな能力があります」というアピールはできて当然。
じゃあ、今後どのような能力をのばしていこうと思っているのか、あるいはどのような能力が足らないと考えているのかについては、わりと抽象的なことを答える人がいます。
でも、そういう人は、本当にその能力を伸ばそうとしているのか、疑問な行動を取ることも少なくありません。
何かをやろうとする時、自分が今持っている力や知識だけではできないことがおおいのが、世の中、なかなか都合よく行かないところ。
それをどうにかして補っていかないと、当人の成長もありませんし、仕事として成果も出ません。
とくに、管理職の候補であれば、突出した専門スキルだけでなく、その他のスキルでも決定的に足らないところとかあると困るわけです。
一方で一般職であるスキルだけ非常に高い人というのは、管理職がうまく他の人を使って補ってあげれば突出した成果が出せます。
ただし、管理職候補としてはいつまでも、他の人に補ってもらう訳にはいきません。どこかで自分で補えるようにしないといけないわけです。
■欠点ではなく不足
もう一つのポイントは、「欠点」ではなく「不足」であることです。
欠点は「マイナス」です。これに対して「不足」プラスだけど、期待値より少ない状態です。つまり、頑張れば期待値に達することができるものです。
欠点はうまく裏返せば長所になりますが、「不足」裏返したらマイナスになっちゃいます。何かを足すしかないんですよ。
その「不足」をどのように認識して、これからどのように延ばしていこうとしているかが、その人の成長に対する意欲になります。
足らないところをちゃんと理解してどのように補うのかの方法論や将来構想がある人というのは安心感があるのですよ。
■足りないことを意識する
この「不足」は、自分の能力をイチ/ゼロ/マイナスで判断していると見えてきません。
自分の能力が客観的に見てどの程度なのかが判断できている人でないと、「あなたが、まだ足らないと思っているものはなんですか?」には答えられません。
当然、質問に答えたら次の質問が続きます。
「では、今それをどのように伸ばそうとしていますか?」
ようは、不足を知った以上、それを今後どのようにして伸ばすのか、方法論と実践結果がなければいけないということです。
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前置きが長くなりました。なにが言いたいかというと、転職面接でも「足りない」ということを意識するのは、とても大切だということです。
みなさんもそうだと思うのですが、商品をいいことずくめでまくしたてられ、ススメられても、逆にウソくさくみえて引いてしまいます。
提案や営業場面でも客観的にきちっと商品の説明ができるかどうかがいま非常に求められています。クレームの急増や消費の冷え込みなど、消費者の立場が強くなっているのも一つの原因です。
転職活動にも、同じことが言えます。
自分のことを主観ではなく、客観的に証明できるかど、つかがポイントなのです。
たとえば応募先の企業に入った時に、この能力は活かせるけれども、ここはまだ足りない。だからちゃんとその能力を身につけていかなきゃいけない、ということを意識しておく。
この「意識しておく」というのが大切なのです。
足りないうえに意識もしていなければ、それは単に「能力がない人」です。面接官はそう判断します。
逆に、「足りない」ということをきちんと意識している人には、面接官は主体性と信頼感を持ちます。
すべてを兼ね備えたスーパーマンを求めているわけではないのですから、それはけっしてマイナス評価にはつながらないのです。
その企業で即戦力として働くうえで、いまはまだ不足しているところがある、とあらかじめ客観的に自己分析できていると、「自分で考えて行動できる、主体性や成長意欲がある人物だ」と受け止められるのです。これはむしろ、高評価です。
実際に、あるソフトウエア開発会社は「自分になにがいま足りないか」を認識してしっかり語れる人を評価し、比較の際は優先して採用しようとしています。
細井智彦(著) 『転職面接必勝法』
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本書を読んでみて、この部分はたしかにそうだと思えました。
「自分にはこういう能力があります」
ではなく、
「自分にはこういう能力がこのくらいあります」
と言ってもらえたほうが、面接官としては能力の高低を判断しやすいでしょう?
その言葉自身をうのみにすることはありません(高低自身は面接官がその実例から判断します)が、「自分を客観的に判断しようとしている」というところは見込みがあると思えるポイントだと思います。
■参考図書 『転職面接必勝法』
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