断片を組み立てても問題は解決しない



なにかの問題に対して、その対策を説明するときなどによく使う方法は、ほとんどが

 扱いやすい大きさにまで分解する

というやり方を基本にしてます。

よく論理思考などで出てくる

 ・MECE
 ・ロジックツリー

などはその典型です。




■割れたガラスのかけらを集めて窓ガラスは作れるか?


こうした論理を分解・組み立てする方法がよく用いられるのは、それが効果があるからでしょう。
そうした面を否定するつもりもありませんし、普段私も論理を構築するときにはよく使っています。

ただ、世の中それだけでは解決しないのですよ。残念ながら。

そのために

 ・ラテラルシンキング
 ・システム思考
 ・TOC(制約理論)

みたいなものがあるのですね。こうしたツールは知っておいて絶対に損にはなりません。

最初に紹介した論理的方法というのは、「部分は全体の一部である」という認識から出発しますが、後者は「部分を集めても全体は語れない」という認識から出発しています。

私が問題の捉え方を間違えている部下に指摘するのに使う比喩で、

 「割れてしまったガラスを組み立てると元の窓にはめることができるか」

という言い方をします。全体が部分の集合体であるならこれは成り立つはずですが、実際には割れてしまったものはどんなに完璧に破片を集めて組み立てても、元の1枚のガラスには戻りません。

一度溶かしてもう一度作り直す必要があるんですね。

ネタバラシをすると、こちらから。




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私たちは幼いころから、問題を細かく分けよ、世界を断片化せよと教えられる。分けることで複雑な課題や対象が扱いやすくなるのは明らかだが、私たちは目に見えない莫大な代償を払うことになる。

自分の行動の結果がどうなっているかが見えなくなるし、本来私たちに備わっている、より大きな全体とつながっている感覚が失われてしまうのだ。

そして「全体像を見よう」とするときには、その断片を頭の中で再び組み立て、すべての要素を並べて一つにまとめようとする。

だが、物理学者のデヴィッド・ボームが謡うように、これは無駄な作業だ。

割れた鏡の破片をつなぎ合わせて真の姿をそこに映そうとするようなものだ。

そのため、しばらくすると、私たちは全体を見ようとすることをすっかりあきらめてしまう。

ピーター・M・センゲ(著) 『学習する組織
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本当はガラスではなく、鏡なのですが…

■問題の本質を見抜く方法


分解して再構築する論理思考ではこうした問題の本質に迫るようなストレートな方法は難しいです。
そこで、問題が

 「良いことをした結果」
 「取るべき行動を取った」
 「無理難題な要求をなんとか実現しようとした」

ようなことによって生まれるようなものであるときに、私がよく使う方法をご紹介します。

ひとつは、「システム思考」。
これは、特定の機能に分解された行動の相互関係で、「今なにが置きているのか」を知るための方法です。

もう一つは「TOC(制約理論)」。
これは、好ましからざる結果を多数あげ、その相互影響関係を明らかにすることによって、活動のボトルネック、すなわち悪い結果を出している行動のうち、もっとも成果を出すことを制約しているものを探し、解決するための方法です。システム思考が相互関係に着目しているのに対して、こちらは依存関係に着目しています。

3つ目が「ラテラルシンキング」。
これは今ある現象を追うのではなく、その前提になっているものを変化させられないのかという、イノベーションというか、結構「あっと驚く」ようなことを探していく方法です。

それぞれの方法を具体的に説明すれば、本が何冊もかけちゃうし、そんな筆力はないので省略です。
本を読んでセミナーなどで実際にやり方を教わってみると良いと考えます。





■参考図書 『学習する組織




「学習する組織」とは、組織の進化をシステム思考をベースに5つの原則(Five Deciprines)にまとめたもの。組織的学習と組織のあり方の集大成といえる一冊。自分の部下を持ったらまず最初に読むべき本の一冊。





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学習する組織
著者 :ピーター・M・センゲ
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●このテーマの関連図書


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posted by 管理人 at 05:04 | Comment(0) | 知的生産術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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