前年度末に売上目標のため無理をした結果、今年度は期首から大幅な目標未達。
マネジャーが「自分がやった方が速い」と仕事を抱え込む結果、部下が育たず悪循環。
会議では有力者の発言ばかりが目立ち、それに疑問を示せる雰囲気ではない。
思い当たるフシがありませんか。「学習する組織」のアプローチが役に立つかもしれません。
『学習する組織』から、5つのディシプリン(構成要素)を引用してご紹介します。本日は第5回。チーム学習について。
■限界なき学習
私の手元に『限界なき学習』という古い本があります。
これを書くに当たり、アマゾンで探してみたのですが、古書としてはありましたが、さすがのアマゾンでも売ってないみたいです。同じく楽天にもありませんでしたので、もう手にはいらないのかも。
私がどうしてこんな古い本を持っているかも不明。
多分買ったのではないので、だれかにもらったのかも。
まあ、いずれにせよ、ここに面白いことが書いてあります。
本書『限界なき学習』では「個人は社会が要求しているほど学習をしていない」と位置付け、変化への適応のための「現状維持型学習」を越えて、社会が抱える、またはこれから抱えるだろう問題に対応できる考え方、解決方法を自らが学んでいく「革新型学習」が必要である、と。
ここで言うところの「社会が要求している学習」というのは、現在の地球環境の危機のようなマクロな問題から、身近な自分自身の会社から要求されるスキルの向上のようなミクロな問題を含みます。
更に個人だけでなく、集団で学ぶ組織的学習についてもふれられています。
Wikipediaでも「学習」という項目に
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●一般的な学習
一般的には、経験を通じて行動に持続的な変化が生じる、ないし行動パターンが変化する現象のことを学習と定義する。学びと呼ばれることもある。学校における学習は、広く明示された教育目的や教育目標などに基づいて教員が支援するものであり、学習者が主体となって進められる。
行動パターンの変化には、学習以外にも、疲労や動機づけによる一過性の行動変化や成熟による発達による行動形成などがあり、学習はそれらと分別される。
●学習と教育
学校における学習は、教師の視点から見れば教育であるが、学生生徒の視点から見れば学習である。 独学の場合は学習である。
教育については教育学という学問が確立されている。それに対して、近年認知科学(認知心理学)や脳科学をベースにした学習科学という分野が起こりつつある。
●集団レベルでの学習
ローマクラブ(1970年設立)の第6報告書「限界なき学習」(1980年)刊行後、学習は個人単位のものだけでなく、集団・社会・国家などの単位でも行われる活動であるという考えが広まっている。集団でも過去の失敗や先例から学習することがあるし、また、学習できるはずであり、国際的な民族、国家間の紛争や経済支援も互いにその原因と背景を学ぶことにより解決の方途を探ることができると考えられるようになってきた。今日、国際連合やOECDなどの報告の中には、この意味で用いられた教育・学習という単語が散見されるようになっている。こうした見方は、国際理解教育(World Studies)という名前で小中学校の教育活動にも一部取り込まれている。
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と、学習には個人で行うものと、集団で行うものの2つが書いてあります。
本書『限界なき学習』が書かれてから40年近くが経っています。
いまこの時代はあらゆるものが超速で変化しています。
特にIT系は技術革新のスピードが凄まじく速く、「限界なき学習」で問われていた「革新的学習」の必要性が当時よりも遥かに高まっていると感じます。
というわけで、相変わらず前置きが長いですが、第5回の今回は、チームの学習をテーマにします。
■チーム学習
仕事を勧めていけば、メンバーは様々なことを学んでいきます。業務上で経験した成功、失敗、組織として必用なスキルなどなど。仕事をしていればある程度自然に学習が進みます。
個人の学習と成長については多くの書籍やさまざまなメディア(このブログも含めて)で紹介されていますが、チームの学習については、個人のものと比べれば少数です。
チームはどのようにして学んでいけばよいのでしょうか?
『学習する組織』の著者センゲは、本書の冒頭で以下のように述べています。
注記:私はここまでの文章で、「組織」と「チーム」をあまり区別せずに書いてきましたが、『学習する組織』における「チーム」とは、組織と違う意味で用いられていることにも注意して読んでみてください。
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●チーム学習
個々の知能指数(IQ)が 120 を超える献身的なマネジャーの集まるチームが全体としては IQ 63 になってしまう、ということがどうすれば起こり得るのだろうか?
チーム学習のディンプリンはこの矛盾に対峙する。
チームが学習できることを私たちは知っている。
スポーツや芸能、科学、ときにはビジネスにも、チームの英知がチーム内の個人の英知に勝ることや、チームによって協調的行動の驚くべき能力が生み出されることを示すめざましい例が存在する。
チームが真に学習するとき、チームとして驚くべき結果を生み出すだけでなく、個 々 のメンバーも、チーム学習がなかったら起こり得ないような急激な成長を見せる。
チーム学習というデイシプリンは「}ダイアログ}」で始まる。
それは、チームのメンバーが、前提を保留して本当の意味で「共に考える]能力である。
ギリシャ人にとって、「ディアロゴス」は、「個人では得ることのできない洞察をグルーブとして発見することを司能にするような、グループ全体に自由に広がる意味の流れ」を意味した。
興味深いことに、ダイアログという習慣は、アメリカ・インディアンの文化のような、多くの「原始的な」文化の中で守られてきたが、現代社会ではほぼ完全に失われている。
今日、ダイアログの原則と習慣が再発見され、現代の状況に適用されている(ダイアログは、より一般的な言葉である「ディスカッンョン」とは異なる。
「ディスカッンョン」は、「叩打(パーカッション)」や「衝撃(コンカッション)」を語源としていて、文字どおり、勝者がすべてを得る競争の中で考えを圧いにぶつけ合うことである。
ダイアログのディシプリンには、学習を阻害するチーム内の相互作用のパターンに気づく方法を学ぶことも含まれる。
防御のパターンが、チームが機能する仕組みの中にしばしば深く根づいている。それに気づかないでいると、学習が阻害される。それに気づき、創造的に浮かび上がらせれば、学習を加速することができるのだ。チーム学習はきわめて重要である。
なぜなら、現代の組織における学習の基本単位は個人ではなくチームであるからだ。
肝心なのはここである。チームが学習できなければ、組織は学習し得ない。
ピーター・M・センゲ(著) 『学習する組織』
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「チーム学習」をよく表しているものが、ここで引用した
個人では得ることのできない洞察をグルーブとして発見することを司能にするような、グループ全体に自由に広がる意味の流れ
という部分です。
こうした、集団で行う学習によって、知識の少ない人は見識の高い人から学び、見識の高い人は異なる始点からの課題発見の気づきを得ます。
■チームワークとは?
幾つかのドラマやアニメで、万年最下位チームが何かのきっかけで目標意識に目覚めて全国制覇みたいなストーリーがありますが、ここで行われているのがチーム学習です。
マンガネタで恐縮ですが、「ワンナウツISBN=B00BCY4UJA」という本で、主人公が参加したプロ野球チームのメンバーに
「チームワークとはなにか?」
と尋ねます。メンバーは異口同音に
「チーム1人1人が力を合わせてより強い力を出す。野球は1人じゃできないから仲間を助け合い、信じ合えばそれが大きな力になる」
と答えて、「不正解!」と言われるシーンがあります。
さて、正解は何だったと思います?
※読んだことのある方は、印象的な解釈だったので多分ご記憶かと。もし読んでない方は、ちょっと立ち読みでもしてください。
※……ってここまで紹介してきた流れから大体わかりますね。
私はこれを読んだときに、逆に、センゲの「チーム学習」という言葉を思い出しました。
■参考図書 『学習する組織』
「学習する組織」とは、組織の進化をシステム思考をベースに5つの原則(Five Deciprines)にまとめたもの。組織的学習と組織のあり方の集大成といえる一冊。自分の部下を持ったらまず最初に読むべき本の一冊。 |
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学習する組織 著者 :ピーター・M・センゲ | 楽天では見つかりませんでした | 学習する組織 検索 :商品検索する |
●本書を引用した記事
社長は君のどこを見て評価を決めているのか2
努力と成果は比例しない。その1
評価されるポイント
問題を大きく捉えると、仕事の成果を増すことができる
やりたい仕事についてはいけない
「なぜそう考えるのか?」を考える2
付加価値を意識する
魚の目―フローを見る力4:貯めと開放、3つの力を活用する
勉強好きはどのように昇進・昇格に影響する
学習する組織:「1.システム思考」の考え方の基本
●このテーマの関連図書
「学習する組織」入門――自分・チーム・会社が変わる持続的成長の技術と…
U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流自己変革の理論と実践
学習する学校――子ども・教員・親・地域で未来の学びを創造する
マンガでやさしくわかる学習する組織
最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か