『学習する組織』から、5つのディシプリン(構成要素)を引用してご紹介します。本日は第3回。
前年度末に売上目標のため無理をした結果、今年度は期首から大幅な目標未達。
マネジャーが「自分がやった方が速い」と仕事を抱え込む結果、部下が育たず悪循環。
会議では有力者の発言ばかりが目立ち、それに疑問を示せる雰囲気ではない。
思い当たるフシがありませんか。「学習する組織」のアプローチが役に立つかもしれません。
■メンタルモデル
ドラッカーは、その著書の中で下記のように言っています。
自らをマネジメントするためには、強みや仕事の仕方とともに、自らの価値観を知っておかなければならない。組織には価値観がある。そこに働く者にも価値観がある。組織において成果を上げるためには、働く者の価値観が組織の価値観になじまなければならない。同一である必要はない。だが、共存できなければならない。さもなければ、心楽しまず、成果も上がらない。
自分自身のメンタルモデル、いわゆる「自分自身の思考のクセ」を認識しない限り、それを克服することはできません。
■エニアグラム
個人的に、このメンタルモデルというのは、幾つかの分類方法があります。その中で「エニアグラム」と言うものがあります。
この「エニアグラム」とは、その人の育ってきた環境や性格などから形成されたその人の「こだわり」に着目した分類方法で、9種類に分類されます。
これは
(1)完全でありたい人
(2)人の助けになりたい人
(3)成功を追い求める人
(4)特別な存在であろうとする人
(5)知識を得て観察する人
(6)安全を求め慎重に行動する人
(7)楽しさを求め行動する人
(8)強さを求め自己主張する人
(9)調和と平和を願う人
の9つで、よく心理学などで「アンカー」などと表現されます。
私は、(5)に相当するみたいなのですが、割と簡単な質問に答えるだけで数字として評価できるそうです。
詳しくは『9つの性格』を参照していただきたいですが、テストは以下のページでも公開されています。
エニアグラム無料診断
簡易タイプ診断
ネットで探せば似たようなページはいっぱい出てきます。
■メンタルモデルを理解する
センゲは著書『学習する組織』でメンタルモデルについて以下のように紹介しています。
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●メンタル・モデル
メンタルモデルとは、私たちがどのように世界を理解し、どのように行動するかに影響を及ぽす、深く染み込んだ前提、一般概念であり、あるいは想像やイメージでもある。
私たちは自分のメンタルモデルや、それが自分の行動に及ぼす影響に意識的に気づいてはいない場合が非常に多い。
たとえば、ある同僚が上品な服装をしていると感じると、「彼女は上流階級の出身だ」と心の中で思うかもしれない。
みすぼらしい服装の人のことは、「彼は他人からどう思われるかを気にしない人だ」と思うかもしれない。
さまざまな経営環境で何ができ、何ができないかについても、やはりメンタルモデルが深く刻み込まれている。たとえ新しい市場や時代遅れの組織慣行について洞察をもっていてもその多くが実践に移されないのは、強力な潜在的メンタルモデルと刈立するからである。
たとえば、1970 年代前半、ロイヤル・ダッチシェルは、隠れたメンタルモデルの影響がいかに広範囲に及ぶかを最初に理解した大組織の一つとなった。世界の石油ビジネスにおける前例のない変化の時代「石油輸出国機構( OPEC )の設立、原油の価格や供給力の板端な変動、ついに起こったソビエト連邦の崩壊ーにあった 1970 年代から 80 年代にかけてのシェルの成功(七大石油会社の中で最も弱小な企業から、エクソンと並ぶ最大手へと上り詰めた)は、変化の準備をするためのディシプリンとして、マネジャーのメンタルモデルを浮かび上がらせ、それに立ち向かう方法を学習したことに負うところが大きい。
80 年代にシェルのグループ・プランニング・コーディ不ーターであったアリー・デグースは、変化し続けるビジ不ス環境において継続的に適応し成長できるか否かは、組織としての学習にかかっていると言った。
組織としての学習とは、経営陣が会社や市場、競合企業について自分たちが共有するメンタルモデルを変えるブロセスである。それゆえ、私たちは副画を学習と考え、企業計画を組織としての学習と考えるのだ。
メンタルモデルに働きかけるというデイソプリンの第一歩は、鏡を内面に向けることである。
つまり、私たちの内面の世界観を掘り起こし、それを浮かび上がらせ、厳しく精査できるように保持するのだ。
また、このディンプリンには、探求と主張のバランスがとれた「学習に満ちた」会話を続ける能力も含まれる。そのような会話では、人々は自分自身の考えを効果的に表出させ、その考えが他の人の影響を受け入れるようにする。
ピーター・M・センゲ(著) 『学習する組織』
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本書では「メンタルモデルを克服しなさい」とは書いてないですけど、一般にはよく「メンタルモデルを克服する」という言い方がされるみたいです。
どうも「克服」というと、今のメンタルモデルが間違っているような感じを受けてしまうのは私だけでしょうかね?
本書を読んでみると、おそらくメンタルモデルというのは、克服する対象ではなく、自分自身の考え方が「どのように偏っているか」を理解し、その偏りをうまく補正したり利用したりすることなのではないかと思います。
「誰かの行動を見て腹が立った」みたいな経験はあると思います。たとえば、「並んでいる列に割り込まれた」とか。
ちなみに今は割と少なくなったような気がしますが、中国では、割り込みなんて当たり前です。だれもそんなこと気にもしません。
そうしたときに、自分の中のメンタルモデルを知るチャンスなのかもしれません。
■参考図書 『学習する組織』
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●本書を引用した記事
努力と成果は比例しない。その1
社長は君のどこを見て評価を決めているのか2
学習する組織:マネジメントを学ぶよりも「話す」ことが効果がある
問題発見力養成講座:システムシンキングの6つのメリット3
問題発見力養成講座:階層を意識してレバレッジポイントを見つける1
学習する組織:「学習する組織」に最終目的地や最終的な状態はない
学習する組織:マネジメントの一般的体系
目標は自分だけが管理できる
勉強好きはどのように昇進・昇格に影響する
昇進・昇格のウラ話
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「学習する組織」入門――自分・チーム・会社が変わる持続的成長の技術と…
U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流自己変革の理論と実践
学習する学校――子ども・教員・親・地域で未来の学びを創造する
マンガでやさしくわかる学習する組織
最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か
■参考図書 『9つの性格』
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●本書を引用した記事
定期的に性格診断をする
中途採用:SPI「性格診断」の落とし穴
行動原理を知ると人の行動が読める
多重人格者になる
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