「3分間スピーチ」とか、「今日の一言」とかやっている職場もあります。ある程度職位が上がってくると、みんなの前でちょっと話をする機会が増えてきますし、宴会などで一言なんて場面もあります。
こんなときに、ちょっと気の利いた一言を話せるといいのですが、これがなかなか…
■気の利いたスピーチはメッセージとストーリー
いろいろ調べてみると、こうしたスピーチのには2つの要素があるそうです。
メッセージ:なにを言いたいのか
ストーリー:言いたいことにどうやってたどり着くのか
まあ、説明を書いてしまうとこれだけのことなのですが、なかなか奥が深い。
ちゃんと勉強しようと思ったら、この本がオススメ。
『神話の法則』
本書では、映画や小説などのストーリーを構成するときにこういう構成にすると読者を引き込みやすいという法則性が書いてあります。
1.日常の世界
2.冒険へのいざない
3.冒険の拒絶
4.賢者との出会い
5.第一関門突破
6.敵との戦い・仲間との出会い
7.最も危険な場所への接近
8.最大の試練
9.報酬
10.帰路
11.復活
12.帰還
それぞれを説明しだすととっても長いので(そりゃ本が一冊かけるくらいだから…)、詳しくは本書を読んでもらうとして、ポイントは主人公がなにげない日常から何かの事件に巻き込まれて、師匠を得て成長し、事件の根本的な問題と葛藤して最後は勝利を収めて、ふたたびなにげない日常に戻っていくというのがストーリーの作り方なのだそうです。
もちろん、スピーチでそんな長い話をするわけにも行かないので、これをかなり端折り・切り取りしてストーリーを作るわけです。
その根本になるのが、「なにを言いたいのか」というメッセージ。
■メッセージを作る
スピーチをするまえには、まず、「なにを言いたいのか」をはっきりさせないといけません。これがないスピーチは、単に「しゃべっているだけ」状態です。
また、「あれも話したい」「これも伝えたい」という思いがあるのかもしれませんが、これも同じく悪いスピーチの代表になりかねないものです。
キーになるメッセージは1回のスピーチで一つだけが大原則。そして、それをキーになるメッセージは1文にするのも同じく鉄則。
ただ、いきなり格好いいメッセージが作れるわけではありません。
私の場合、即興でこういうのができないので、スピーチの前にはノートを前にウンウンうなりながらスピーチを作ります。
※酒の席など、どうせ誰も聞いてやしない、って時にはぶっつけで行くことがありますが、それでもキーになるメッセージは必ず決めてます。
メッセージを作る方法ですが、私の場合は、ブレーンストーミング法を使います。
つまり、その場に最も適したようなキーワードは何か?をノートに思いつく限りあげていきます。
目標は最低でも 20。できたら 50 を超えるくらいまで。
そのなかで、「これにしよう!」というキーワードを一つだけ選び出します。
どうやって選ぶかというと、
・自分がその場で言うとして最も適切そうなもの
・頻繁に出てくる同じ意味の単語
です。同じ意味の単語がたくさん出てくるというのは、それをかなり意識しているということです。
だからそれについて話もしやすいです。
そうして、たったひとつの単語を選んだら、それを文章にします。
1文で。できたら、主語+述語+形容詞+名詞という非常に単純な文がいいです。複雑な文になるとしゃべれませんので。
また、場の雰囲気や、自分が言うにふさわしいかどうかにも十分注意してください。
お酒の席のスピーチで「職場のコミュニケーションが悪い」などと言ったらまずいですよね。平社員が「会社の売上向上の基本方針」なんてのを朝礼で話すのもおかしいですよね。
■ストーリーを作る
で、つぎはこれに向かってストーリーを作ります。『神話の法則―ライターズ・ジャーニー (夢を語る技術シリーズ 5)』にあるように、あるいは「起承転結」でも構いません。
これに必須なのは、イベントとエピソード。
イベントとは、『神話の法則―ライターズ・ジャーニー (夢を語る技術シリーズ 5)』にあるような12の区切りのどれかです。あるいは「起承転結」のブロック構造の最後の部分だと思ってもらえればよいです。一般には、これがキーとなるメッセージのサブメッセージであることが多いのですが、そうでなくても構いません。とにかく聞いている人が「区切り」だと思えるものなら何でもありだと思います。
たとえば、この記事も「見出し」が書いてあります。こういう見出しを作るのですが、文章の見出しはブロックの最初に置きますが、スピーチの見出しは最後に置きます。
つまりこんな構造にするわけ。
(はじめのエピソード→イベント)
↓
(次のエピソード→イベント)
↓
(次のエピソード→イベント)
.
.
.
(最後のまとめ)→イベント(テーマとなるメッセージ)
よくスピーチで失敗するのが、このブロックの区切りを明示しないで、次のブロックに移動してしまうこと。聞いている人は全体がわからないので、ひとつの長〜い話に聞こえてしまい、飽きてしまいます。
これがうまいなあ、と思うのが
<
さすがはジョブスですね。
「3つの話があります」→「まとめ」
の構造になってまして、さらにその3つの話の中に、エピソードどメッセージが含まれてます。
■エピソードは自分の経験を
多くの人が苦労するのが、その小ブロックのメッセージのエピソードが繋げられないことです。ただ実はこれ、ちょっと練習すれば簡単にできるようになります。
別記事
人の発言にはウラがある
で書いたように、こじつけてしまえばなんとでも言えるんですよ。
たとえば、「水滴が落ちるのを見た」→「努力をつづければなんでもできる」なんてのもこじつけのカタマリですね。
もし、どうしても思いつかないようなら、その単語(メッセージ)でググってみてください。いろんなエピソードが見つかると思います。それをヒントに同じような経験が自分にもないかと探すことです。
多分見つかると思いますよ。
ポイントは、メッセージ(ブロックのサブメッセージやイベント、キーメッセージ)につながる「言い方」をすることです。
文章は一度書き出してみて練りましょう。
■まとめ
スピーチは、最初にキーとなるメッセージをブレストで決めます。
そのつぎに、そのキーになるメッセージを引き出すブロックを作り、ブロックの最後にイベントをおきます。
そのブロックには、ブレストで出したキーワードをもとにエピソードを入れます。
こうして構成したスピーチは、結構聞きやすい、印象に残るものが作れます。
いずれにしても、事前に準備することが大切です。
■参考図書 『神話の法則―ライターズ・ジャーニー (夢を語る技術シリーズ 5)』
シナリオ・テクニックの世界的なベストセラー!「ライターズ・ジャーニー」日本語版。本書は心理学の巨匠カール・G・ユングと「ヒーローズ・ジャーニー」のジョーゼフ・キャンベルの深遠なるコンセプトを発展させた人生という旅のガイドブックでもある。 |
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神話の法則―ライターズ・ジャーニー (夢を語る技術シリーズ 5) 著者 :Christopher Voglar | 楽天では見つかりませんでした | DMMでは見つかりませんでした |
●本書を引用した記事
部下はストーリー分析で育成する
良いスピーチのポイントはメッセージとストーリー
●このテーマの関連図書
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