プロジェクトの課題管理の方法2:課題は5つの状態に分類できる




前回の記事で課題管理とは課題の集合体の}状況}のコントロールであると書きました。私は「状況」を5つに分類しています。

 1.不明確・不正確な状況
 2.関係者が「課題である」と合意できている状況
 3.課題対応の具体的タスクが検討されている状況
 4.課題に対してアクションが起こされている状況
 5.課題が解決済である状況

です。このうち1の状況を3・4と誤解してしまうと、課題の解決はできないけど、それがうまく判断できていない人がいる、という事例として、「ドキュメントの作成が遅れて、実装の時間が取れない」という例を挙げました。これは課題ではなく「問題」だからです。




■問題を課題として扱ってはいけない


問題の解決策としては、「時間が足りなければ増やせばいい」という結論になってしまいます。

増やす方法としては、納期を延ばしてもらうか、仕事時間(残業時間)を増やすくらいしか方法はありません。

よく見かけるのが、「計画が遅延した」→「スケジュール見直し」っていう対策が書かれた進捗報告書です。

進捗にすらなっていないし、「見直しって何をすることなの?」とついツッコミたくなります。

同じような例だと

 「品質が悪かった」→「ちゃんとやる」
 「できない」→「頑張る」
 「失敗した」→「気をつける」

みたいな事例もあります。
※さすがにここまでひどいことはないのですが、言い方はちがうにしろ、結局一言でいえば「次からちゃんとやります」とかになっちゃうような対策が堂々とプレゼン資料に書かれていると、ため息が出ます…。

この根本的な問題は、問題を課題として扱っているということです。

問題は課題に変換しないと解決しません。

そのためにはまず、発生している事象である「問題」と、解決に向けた行動を促す「課題」は別物であるという認識をもたないとできないわけです。




■課題管理表には課題を書く、問題点管理表には問題を書く


すごく当たり前のことですが、

 課題管理表には課題を書く
 問題点管理表には問題を書く

これだけで上記のような問題は解決します。

どちらに書けばいいか迷うということは、この2つの区別がついていないか、「課題になっていない」上記の1の状態だからです。

つまり、1の状況にあるものは課題管理の対象にはしてはいけないということです。

では、どうしたら2以降の状態になっているか判断できるかというと、

 関係者が「じゃあこれ、あんたの担当ね」と言われたときに「はい。これから取り掛かります」といえる状態になっているか

です。GTDなどにおける Next Action のリストが出来上がっていて、何をすればいいのか、どうなればいいのかが理解できている状態を指します。もちろんやる人の技術力によって、作業時間はかかりますが、何をしたらいいかを迷うことはない、という状態です。
あるいは、そのやる人を指導する人が、「できた?」→「できました」→「ん。OK。じゃあつぎこれやって」とドンドン、タイムラグなしに具体的な作業を指示できるようになっていることです。

で、そのやることのリストが、課題管理表なんです。

ね。簡単でしょ。

そう考えると、

 残業時間を増やす
 ちゃんとやる
 頑張る

は課題でも何でもない、と思えたりしませんか?

■これじゃあ「タスクリスト」じゃん


ここまで読んでいただいた方は、気が付かれたかもしれません。

 「課題管理表はタスクリストかよ!?」

いいえ、違います。
構造が同じでも扱うものが違うのです。

………ということで、また長くなったので次回に続く……



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