プロジェクトの課題管理の方法3:問題点リスト・課題リスト・タスクリストのちがい




前回の記事で

 課題管理表には課題を書く
 問題点管理表には問題を書く
 タスクリストにはタスクを書く

と、しごく当たり前のことを書きましたが、実際にこれらが区別して使えているかというと、結構怪しい人が多いのではないかと思います。

前回記事で、問題点管理表と課題管理票の違いは書きましたので、本日は課題管理表とタスクリトの違いについて、私が意識している違いを書き出しておきたいと思います。




■課題には時制がある


まず、課題管理の目的は

 過去に起きた、あるいは現在起きていること
 未来におきるかもしれないこと

の2つを解決するための管理の仕掛けです。

後者はいわゆるリスク管理です。したがって、それをやらなくても、実際にリスクが発生しなければ、対応は不要になります。
つまり、「やらなくてもいいかもしれないもの」です。一方で、過去に発生して将来(今後)解決していかないといけないものは、絶対にやらないといけないことです。

課題の管理をする上で、それがリスクなのか必須なのかはちゃんと判断する必要があります。

つまり、課題には時制があって、未来の時制のものは、やるかやらないかを判断する必要があるということです。




■課題管理表とタスクリストの違い


で、本題の課題管理とタスク管理、課題管理表とタスクリストの違いですが、

 課題は事象に着目している
 タスクは作業に着目している

と書くと定義になるでしょうか。

すなわち、課題とはゴールとなる事象を明確にするためのもので、そのプロセスが記述されたものです。
タスクとは、何をするか、どうやってするかが記述されたものです。

ですので、課題は複数のタスクを含みますが、タスクが課題を含むことはありません。

よく例え話でするのですが、

 じゃあその問題に対応するために、これから右手を上げるのか左手を上げるのかを説明してください

と聞かれたときに答えるのはタスクです。
※場合によっては、ToDoとも言います。私は個人的にはタスクとToDoは別物として扱っているので、タスクリストとToDoリストを管理しています。ここらへんはどこまで具体的にしたいのかによって、人によりやり方は異なると思います。

一方で

 どうやって解決しますか?

と聞かれたときに答えるのは課題です。

たとえば、前回出した例で言うと、

 ドキュメントの作成が遅れている

という問題があったときに、「納期を延ばしてもらう」という解決策を考えたとすると

 顧客に「納期を延期してもいい」と言ってもらうために、業務に差し支えないような暫定ツールを提供する
 納品方法を一括納品から分割納品で納得してもらう

ことが課題になるわけです。

ですので、課題では「には?」という文章をくっつけて詳細化する必要があります。

 納品方法を一括納品から分割納品で納得してもらう}には?}

となるわけです。

で、それを詳細化し、アクションにまで落としたものが、タスクリスト(他にも、アクションリスト、ToDoリストと呼ばれるものも含まれます)になるわけです。

■まとめ


非常に長い文章になってしまったので簡単にまとめておきます。

・課題とは、目標・目的を達成するために解決すべき事柄
・プロジェクトを進めるためには、課題を管理すること
・課題には5つの状態がある
 1.不明確・不正確な状況
 2.関係者が「課題である」と合意できている状況
 3.課題対応の具体的タスクが検討されている状況
 4.課題に対してアクションが起こされている状況
 5.課題が解決済である状況
・課題管理表と問題点管理表、タスクリストを混同・混用すると問題の解決はできない

■ただし書き


文章の都合上、かなり言い切りに近い書き方をしましたが、これが唯一の定義というわけではないと考えています。人によって異なる考え方もあるでしょうし、もっと良い考え方・やり方があるかもしれません。

ですので、これが絶対の真理ではないことを最後にお断りしておきます。



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