人の知能には2種類あるのだそうです。それが、結晶性知能と流動性知能。
これは キャッテル という人の学説だそうで、
・結晶性知能
正式には「結晶性一般能力」とよばれるそうで、言語性の知能のことです。
つまり、過去の経験が土台になる、いわゆる経験知です。
過去の経験による知能なので、年令を重ねるほど強化されていき、加齢による能力低下が高くないものだそうです。
・流動性知能
正式には「流動性一般能力」とよばれるそうで、具体的には推論力・思考力・暗記力・計算力などを指しています。
これらの能力を使って、初めて経験するような場面でも、「どのように行動したらいいか」「どう対処すればいいか」を導き出すことができるそうです。
これらは、結晶性知能に比べれば、加齢によって能力が低下する傾向があるそうです。
相対的に「加齢に伴う能力低下」に差はありますが、60台前半までは大きく低下することはないらしいです。
■何歳まで働き続けるのか
経営者であれば、何歳まで働き続けるのかは本人の自由です。基本的に。
ところがサラリーマンには、定年という制度があります。
まあ、この制度の良し悪しについては、いろいろ議論もあると思いますが、30年前の60才と、今の60歳では随分違いがあることは、おそらく同意いただけるのではないかと思います。
もちろん、60歳でリタイアして、あとは趣味で悠々自適、晴耕雨読の日々というのもひとつの理想ではありますが、私みたいに「時間管理」「費用対効果」みたいな事を言い続けて来た人が、ある日突然、「好きなことに好きだけ時間を使っていい」と言われてもきっと困るだろうなぁ、と。
じゃぁ、「トシを取ってヨボヨボになってまで、働かないといけない」と言われても困ると思いますが。
このあたりの線引きをいまから考えておかないと、実際そういう問題に直面したときに困る事になりかねないかと思っています。
つまり、何歳まで働き続けるのか、あるいは働き続けることができるのかという点です。
経営者は、今の仕事を延長していけばいいですが、サラリーマンは、
一般職→管理職→シニア
と年令によって大きく求められる要素が変わります。
管理職にならない人でも、一般職時代に求められたことと、シニアになってから求められることは同じにはなりません。
それまで自分が占めていたポジションは、後進に譲ることになるので、新しい自分のポジションを作っておかなければいけません。
そのゴールが、60歳、65歳あたりに来ます。
■結晶性機能を強化するために流動性知能を発揮する
トシをとれば、上記の知能の2分類「結晶性知能」「流動性知能」のうち、相対的に流動性知能は弱くなります。
新しいことに対する柔軟性、発想力みたいなものが低下するわけです。
一方で、キャッテルの学説どおりであれば、結晶性知能は低下しません。
やり慣れたことであれば、若いものに負けないくらい力が発揮できることになります。
ただし、これは過去の蓄積、ようは貯金をどのくらいしたかにかかっているので、若い頃から貯金をしておかないと、若い人に何もかも入れ替わられてしまって、にっちもさっちもということになりかねません(会社から「もういらない」と言われる…)。
統計的なお話が、個人個人にどのくらい適用できるのかについてはわかりませんが、傾向としては似たような傾向にあるとすれば、入社後最初のうちは流動性知能を強化し、流動性知能を使う中で結晶性知能を作り込んでいく、というのが理想なのではないかと思っています。
そのために、若い頃はちょっとチャレンジャブルなことを、だんだん年齢が上がるに連れて、自分の得た経験値を結晶にしていく活動を並行させるようにしたいと勝手に思っています。
「結晶にしていく」というのは、具体的に言えば、それを色んな場面で使えるように一般化することや、それを人に教えることを通じて、その効果を検証していくことなのではないかと。
もうひとつの結晶性知能として「対人関係力」も持っておくと良いと考えます。
つまり、初対面の人でも重要な交渉ができるとか、関係を調整するという力です。
これは、多分人には教えられないものですし、当人の固有スキルになってくれるものだと思いますので、いろんな難しい場面や難しい相手をどのくらい経験しているか、それらの関係をどのくらい主体的に動かしていくのかがポイントかと。