「努力する」というのは簡単なのですが、どこまでやったら「努力した」といえるのか、みたいな問題は簡単には答えが出ません。
今の社会なら『努力不要論』みたいなのがマッチしているのかもしれません。
■『努力不要論』
本書をとっても簡単に要約してしまえば、
努力すること自体を目的にするのではなく、結果を出すような正しい努力をしなさい
ということなのですが、このイメージは過去記事
結果が全てじゃぁない
で書いたように、結果が伴わない努力は、たんなる「徒労」であって、それを会社として高く評価することはない、ということに近いと思います。
ただし、本書はそれで終わるのではなく、「努力を上手にすることで結果を伴わせる」ようにしようということが書かれています。
■『努力論』
今から100年近く前に上梓された本ですが、幸田露伴が書いた「努力とは」について書かれています。
幸田露伴は、明治時代の小説家で『五重塔』『運命』などが有名ですね。
おそらく、名前は聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。
この本は青空文庫でも読むことができます。
努力論:青空文庫
ただ、文語体で難しい四時熟語なども多くて、とても現代人が好んで読める本ではありませんね。
私は昔ちょっとトライしてみたことがありますが、半分もわからなかった…。
先日、AMAZON をあさっていたら、これの現代語訳(意訳?)の本を見つけました。
『超訳努力論』
ということで、早速読んでみましたが、「なるほど〜。そう言っていたのか」とちょっとだけ、理解できたような気がします。
■直接の努力、間接の努力
露伴は、努力には二種類あると言っています。
「直接の努力」
「間接の努力」
「直接の努力」とは当面差し迫っている事柄に全力を尽くすことで、たとえば、テスト前に徹夜で勉強したりすることです。
「間接の努力」とは、将来に向けてその基礎を強化していくような努力です。
■努力する方向
露伴は、さらに、努力する方向についても述べています。
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●努力の方向を間違えてはいけない
人間はある程度努力すれば、それに見合った結果が得られるのが普通だ。
しかし、努力したにもかかわらず、よくない結果に終わることもある。
なぜそうなるのか。それは、努力の方向が悪かったからか、そうでなければ、間接の努力をせずに、直接の努力だけをしたからだ。
自分にとって無理な願望に向かって努力するのは、努力の方向が悪いということだ。
しかし、無理だと思えないような願望なのに、それに向かって努力してもよい結果が出ないとすれば、それは間接の努力が欠けているのだ。
幸田露伴(著) 『超訳 努力論』
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と、ここらへんは、『努力不要論――脳科学が解く! 「がんばってるのに報われない」と思ったら読む本』と同じですね。
■努力する人は、努力していない
そして、「努力している」人はこうバッサリ。
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●「努力している」と思っているうちはまだダメだ
努力することは素晴らしいことだ。しかし、自分が努力していると思っているうちは、まだまだダメだ。
そこにはまだ自分の中にやりたくない気持ちが残っていて、それでも無理にやっているという不自然さがある。
努力している、あるいは、努力しようとしているという意識をもたず、自分がやっていることが自分にとって自然であると感じられるような努力をしよう。それこそが努力の真髄であり、醍醐味なのだ。
幸田露伴(著) 『超訳 努力論』
―――――――――――――――――――――★
たしかに、たとえばコンピュータのハッカーたちは、すごく勉強してますが、それは学ぶことが楽しいからであって、苦行をしているつもりは全くなさそうです。
まあ、そんなことには遠く及びませんが、私も年間に結構な量のビジネス書や仕事関連の本を読みます。しかし、これは努力しているからではなく、楽しいからかな…、とちょっと思い出したりしました。
あなたが今努力しているけど、「努力している」という意識ではないことってどんなことがあるでしょう?
考えてみると、ちょっと楽しくなるかもしれません。
■参考図書 『超訳 努力論』
立ち読み可 | 『五重塔』「風流仏』といった小説で有名な、明治・大正・昭和を生きた大文豪・幸田露伴だが、 明治末に書いた人生論である『努力論 (岩波文庫)』は当時から現在まで、多くの人に愛読されてきた。 本書は、自らも数え切れないほど読み返し励まされてきたという編訳者が、 『努力論 (岩波文庫)』の最も重要な箇所を選び出し、 現代では馴染みが薄くなった言葉や表現を思い切って超訳、 読みやすくわかりやすい形でお届けする。 |
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■参考図書 『努力論 (岩波文庫)』
「努力している,もしくは努力せんとしている,ということを忘れていて,我がなせることがおのずからなる努力であってほしい」.何かをなそうとしても,ままならぬことの多いこの世の中で,いたずらに悩み苦しまずに,のびのびと勢いよく生きるにはどうすればよいか−人生の達人露伴の説く人生論.(解説=中野孝次) |
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