自分が考えたアイディアを実現しようとしたときに、反対する人がどうしてもいます。前回の記事で、その反対する人を4タイプに分けました。
1.客観的データしか信じられない論理・分析タイプ
2.自分の経験外は理解できない固定観念タイプ
3.当事者意識の欠如した放置プレータイプ
4.決断力に乏しい保守的責任者タイプ
今回は、「4.決断力に乏しい保守的責任者タイプ」のアイディア攻撃者への対策についてご紹介します。
■仕事の成果は上司次第
仕事を勧めたり、あたらしいアイディアを具体化したりするのに、いちばん重要なのは、上司の協力です。なにしろ、あらゆることは上司の承認なくしてはできませんし、上司が反対していては、他の部門に提案にいっても、「それはそっちの部署の総意ですか?」と聞かれたら返事に困ります。
上司を説得する上で、上司が「××だからダメだ」とはっきりいってくれればありがたい(対策の立てようがある)のですが、「それ、大丈夫なの……? 心配だからやめようよ」みたいに、保守的、懐疑的な人だと、具体的に課題を指摘してくれるわけではないので、対策の立てようがありません。
で、何度かやり取りしているうちに、「あ〜、も〜面倒くさい」になって、提案する気もおきなくなってウヤムヤに…というのが、実際の上司の狙いだったりして。
「オレが全責任を取ります!」
なんてテレビみたいなセリフを言っても、こういう上司には効きません。上司としては、結局部門としてどう評価されるのかを心配しているので、部下が失敗しようが、自分が失敗しようが同じことです。
■小さく・目立たないように
私の少ない経験から言わせてもらうと、こういう上司には、
「ちょっと部門内だけでやってみましょうよ」
みたいに、うまく行かなくても、上司の評価には全く影響しない状態を作ってあげると、わりあいすんなり認めてくれます。
つまり、アイディアはなるべく小さくして、数人が片手間でできる程度の大きさにしてしまうことです。
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●決断力に乏しい保守的責任者タイブには、撤退オプション付きで承認をもらう
すぐに実行でき、新たなコストがかからないような提案であれば別ですが、社内のリソース(人的資本、金融資本、時間)をかけて大きな勝負に出るのは、なかなか勇気のいるものです。
オーナー企業であればいざ知らず、大きな決断は事なかれ主義の上司には辛いでしよう。
そうした決断力が不足している状態においては、提案の中にフィジビリティ・スタディ(実施前に実行可能性を検討するために行う試験販売やマーケット調査)や撤退オプションを入れておくことです。
すぐに実行に移すのはリスクが大きいため、まずは調査してみましよう、というのがフィジビリティ・スタディですが、定量的なマーケット調査では自黒つかない場合も多いので、一番良いのは「エリア」「分野」「部署」などを限定して、一部の人員でテスト的に実行してみることです。
そうすれば、その成果を元に制限を解除していき、本提案を実行することもできますし、万一かんばしい結果が出なくても貴重な反省材料を手に人れることができます。
会議のテープルに並んだエクセルデータだけではアイデアのパワーは推し量ることができません。
また、いきなり本番に移行する場合でも、撤退オプションをつけておくことで、 上層部が決裁しやすくなるということもあります。
これは、ターゲットとなる数値に達しない場合、それを解決する明確な方法が見つからない場合は、一旦、撤退するというような条件を入れておくことです。そうすれば、リスクは最小限で収まるので、同意を得やすいでしよう。
永田豊志(著) 『発想フレームワーク55』
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■タスクを極限まで小さくする
たとえば、
みんなが効率的にタスクがこなせるようにタスク管理ツールを導入しよう
と言ったとしても、全社導入になれば、会社の規模にもよりますが数百〜数千万のコストがかかります。そのパイロットプロジェクトをやるとしても、いろんな部門の人の意見を聞くためには、各部門にテスト導入の了承を得なければいけないわけです。
もし、それがうまく行かなかったら、「ITの専門部門でもないのにでしゃばりやがって…」と自分の悪口を言う、他の部門長の声が、その上司にはありありと聞こえるわけです。
そうなれば、もう認めてもらえることはないので、
最初は、
EXCEL でタスクの管理ができるようなシートを作ってみました
私の週次報告はこれをベースに報告していいですか?
と聞くわけです。
これなら、うまく行かなくても「やっぱりやめろ」というのは一瞬で済みますし、他の部門長や、自分の上司に知られることはありません。
■未来をプレゼンしては不安を煽るだけ
このとき注意しないといけないのは、「最終的にはこうしたい」というのを、ある一定の期間は上司には言わないようにしておくこと。
上司が「やれる」と確信する状態になるまでは、事実だけを積み上げていくことに集中することです。事実が積み上がって、ある程度実績になってしまい、上司もそれの必要性と実現性を認めてくれれば、穏やかにではありますが賛成してくれるようになります。
そのあとは自分の頑張り次第。
■参考図書 『発想フレームワーク55』
![]() ![]() | 本書は、ビジネスパーソンにとって、これからの時代のもっとも重要な知的ウェポンとなるクリエイティビティを磨くための発想力、アイデアを生み出すためのフレームークを提供するものである。 ロジカルシンキングや地頭力はもちろん重要だ。しかしそうした「左脳型発想術」だけでは、改善はできても大きな成果は望めない。八方ふさがり状態であってもブレイクスルーを起こし、大成功を引き寄せるには、前例や従来の固定観念をくつがえす「右脳型発想術=第六感発想術」が必要だ。 従来のアイデア生成の本は広告関連など元々クリエイティブな仕事をしている人向けが多数だった。そのため、アイデアづくりが日常業務となる専門職以外の読者にとっては、もっと短時間で実務に使えるアイデア発想方法が切望されてきた。 本書は、一般のビジネスマンやOL、経営者や勉強に熱心な読者に対して、フレームワークを駆使した「短時間」で「最大の成果」を生むためのアイデア作成方法を解説する。 |
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