「リーダー」というと、よく例えにでてくるのが、織田信長や徳川家康、松下幸之助。歴史的にも有名ですし、事実として実績を残したリーダーです(私が語るのはおこがましいですが)。ただ、ちょっとまって……と思ったりすることがあります。
たとえば、突然アニメや小説みたいに、自分の人格が織田信長に入れ替わったりしたら、ものすごい実績を残せるのでしょうか?
■強いリーダーには2番手、3番手リーダーがいる
「リーダーシップ」というと「自分がなにをするのか」で語られることが多いのです。もちろん、リーダーシップの意味というのは、そういうことだと思います。ただ、組織を率いていく「リーダー」となると、どれほどその人に力があるからと言っても、組織力が高くなるかというとそういうわけではなさそうです。
たとえば、織田信長には、佐久間信盛、柴田勝家、丹羽長秀、村井貞勝、明智光秀、柴田勝家、佐々成政、羽柴秀吉といった家臣がいました。もちろん、彼らを縱に使ったのは織田信長の才能だったのでしょうけど、織田信長に足軽ばかりがいても、多分戦国に覇を唱えることはできなかったでしょう。
ここでいいたいのは、リーダーの下にはリーダーの言葉を翻訳して下に伝えてくれる2番手、3番手のリーダーがいる、ということです。
世の中では、これをフォロワーと呼ぶそうな。
「羊に率いられた百匹の狼」対「狼に率いられた百匹の羊」のたとえがありますが、個人的には、どちらも成立しないかと。「羊に率いられた10匹の狼と百匹のネズミ」なら成立するかもしれない、というのが今日の結論。
■フォロワーが組織を作る
フォロワーとは、リーダーとメンバーの橋渡しを担う人で、チームを動かすレバレッジポイントになる人です。
それを顕著に感じるのが、リーダーとメンバーとの間で物事の捉え方にずれがあるときです。
※というか、ずれがないときのほうが少ない…
同じ仕事をしていても、リーダーとメンバーとでは見ている景色が違います。
フォロワーはリーダーに近い視点で物事とらえられるとともに、実際に活動するメンバーにも近い視点を持っています。
なので、リーダーが言わんとしていることを理解し、それを実際に活動するメンバーに、こんどはメンバーの視点で話してくれます。
たとえ リーダーとメンバーの間に「溝」があってもリーダーの考えをメンバーにわかるように説明してくれたり、リーダーの代わりに一体感あるチームづくりを助けてくれたりする。つまり、両者のよき理解者になります。
そうしたフォロワーの立場をリーダーが自覚し、フォロワーにもしっかり説明して、協力をお願いする、「助けてくださいフォロワーさん」というスタンスが必要なのではないかと思ったりします。
逆に、フォロワーがリーダーの悪口ばかりを言っていたら、リーダーはリーダーシップを発揮できません。フォロワーの影響を受けた他のメンバーたちは、同じ態度をリーダーに取ります。
フォロワーがリーダーのやりたいことを支援している場合ならリーダーはリーダーシップを発揮できます。まさに、フォロワーの思考と行
動レベルが、チーム全体のレベルを決めている、極論しちゃえば、リーダーの仕事は、フォロワーに助けてもらって初めて成り立っている、と。
■フォロワーを育てるのがリーダーの最初の仕事
なにかの組織を率いていく立場になったら、優秀な社員を部下にほしいと思うはずです。しかしその前に、優秀なフォロワーを探したほうが、組織の長としては、より大きな成果を出せるようになるのではないでしょうか。
もちろん、リーダーの仕事を全面的にフォローしてくれるフォロワーがいればそれにこしたことはありませんが、ある分野についてはこの人、別の分野については別の人、でいいと思っています。そういうフォロワーはよそから引っ張ってきた人より、生え抜きの人のほうが適任です。もちろん、その人に力がなければいけませんが。
フォロワーに「この分野では自分がリーダーだ」と思わせるような組織運営をすると、リーダーは全体の組織運営が楽になります。
たとえば、
・事前にフォロワーには方針を十分周知させておく
・フォロワーに相談して方針を決める、フォロワーに決めさせる
・みんなの前でフォロワーを否定しない
・「彼の言うとおりだ」という発言を繰り返す
などです。