「私の知る限り」ですが、自分の所属する組織の業務分掌を覚えている人は非常に少数派です。たぶん、部長や課長が自分の部や課に対しても怪しいかも。
会社組織である以上、それぞれの部や課には「業務分掌」が存在します。
「業務分掌」って言葉自体を初めて聞く人は
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逆に言えば、これを知っているというのは、交渉のときの武器になります。
これは会社として定められた、その組織の担うべき業務を定義したものなので、「業務分掌に照らせば、○○はあなたの部門が担当すべきじゃないの?」という論理が通りやすくなります。
それだけではなく、その業務分掌を具体化して毎年の目標に置き換えたものが部門目標になるので、その部門に所属している人は、明確に意識せずとも、その範囲で活動をしています。
ようするに、相手がどのようなことに興味があって、どのような仕事を持っているのかを知る手がかりになるということです。
■相手が望んでいることは何か
交渉や説得の手段として強力なのは、「相手の望むもの」を相手に見せることです。
自分の希望が目の前にぶら下がっていれば、人参をぶら下げた馬みたいに走り続けることはなくても、ちょっと手を伸ばしてみたくなるでしょう。
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●他人が望んでいることを考えよう
人とうまく接するためのポイントは、自分の立場から考えるのを止めて、相手にとって大切なこと、その人が望んでいることという観点から考えるようにすることである。
マインドセットをこのように切り替えると、その人が軽んじられていると感じてしまうことを避けたり、その人を批判しそうになることを減らせるだろう。
そして、その人はあなたに対して好意的になりやすくなり、あなたのアィデアを尊重するようになるだろう。
同僚や上司と初めて対話するときには、話題の中心を自分ではなく相手に持っていくようにしよう。
相乎の視点から物事を考えるように努めるのである。
この対話から相手が得ようと思っていることは何だろうか。
彼らにとって大切なことは何だろうか。相手が言うことを熱心に聞き、自分が話す番になったら、相手の気持ちに触れるような話し方をしようくそれだけではなく、このシナリオをあらかじめリハーサルしておくべきだ。
対話がどのように進むか、事前に準備しておくのである。
自分がある機能をある特定の方法で実装したいと思っている理由を上司に言ってもいいことはない。
自分が提案する方法でその機能を実装すると、上司にとってどう有用なのかを提案をする方がはるかにいい。
この方法ならソフトウエアが安定したり、期限内に出荷できる可能性が高くなったりするというような具合である。
ジョン・ソンメズ(著) 『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル』
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仕事として、人とうまく、長く交流を続けるためには、相手の望むものを自分が提供できると相手に思わせることなのですが、}難しいのは、「相手が何を望んでいるかを知ること」}です。
■業務分掌を知る
その第一歩になるのが、相手の所属する組織の業務分掌です。
もし、相手が自分の上司なのであればもっと簡単です。自分の組織の業務分掌を調べましょう。それはあなたの上司のミッションです。明文化されているので、間違いようがありません。
そこから、相手の利益を類推し、それを話題にすることです。
それを話題にすれば、相手は勝手に自白してくれます。なにも隠しておくべきことではないはずなので(機密情報を扱っている人は別)。
私も含め、人間、自分のことが大好きです。自分の利益になることであれば、受け入れしやすくなりますし、自分の利益には興味があるので、話にも乗ってきやすいです。
※アドラー心理学でも、「あらゆることは自分の利益になるから行なっている」と言われているそうな。たとえば、不登校で「学校に行けない」のは「行かないことで自分の利益になる」から行かないそうです。理屈として認識しているかどうかは別物ですが。
ただ、これが難しいのは、自分は相手の利益に興味がないこと。
自分の利益が一番なので、相手の利益になるかどうかは二の次です。どうしても自分の利益に走りがちです。そこをぐっとこらえれば、提案は割と簡単に通るようになりますし、仕事も勧めやすくなります。
最終的に自分の利益になるような相手の利益をテーマにすればいいのです。
■参考図書 『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル』
![]() ![]() | 「より良い人生」を送るためのノウハウ・スキルを網羅した、生き方バイブル本です。 ソフト開発者向けに書いてありますが、そこで言われていることはあらゆるビジネスパーソンに通じることばかり。 良い人生を送るためには、技術習得法やキャリア構築法といったノウハウに加え、対人的な交渉・指導・意思疎通などをうまく行える能力や知恵、すなわち「ソフトスキル」が不可欠です! 本書では、キャリアの築き方、自分の売り込み方、技術習得法、生産性の高め方といった仕事で成功する方法だけでなく、財産の築き方、心身の鍛え方、恋愛で成功する方法など、「人生全般をより良く生きる方法」を具体的に説明します。 ●「解説」から抜粋 本書はソフトウェア技術者向けの書籍ではありますが、いわゆるテクノロジーのことはほとんど書いてありません。しかし、「成功者」になるために必要なそれ以外の多くのことが書いてあります。(中略)今こそ私たちがもっと成功に貪欲になれるチャンスなのではないでしょうか。 ●「訳者あとがき」から抜粋 全体を読み通して感じたのは、人の弱さを十分に意識して書かれていること、率直であること、上からではなく同じ高さから話しかけてくることでした。 (中略)校正のために読み返してみると、株や栄養や腹筋のことなど、「何かで読んだんだけどさあ」という枕で出てくるような話の多くを本書で覚えたことに気づきました。無意識のうちにいろいろな影響を受けているようです。この本、ただものではないですよ。 ●目次 第1部 キャリアを築こう 第2部 自分を売り込め! 第3部 学ぶことを学ぼう 第4部 生産性を高めよう 第5部 お金に強くなろう 第6部 やっぱり、体が大事 第7部 負けない心を鍛えよう 付録A コードを書けるなら金融は理解できる 付録B 株式市場の仕組み 付録C 食事と栄養の基礎:ガラクタを入れればガラクタが出てくる 付録D 健康な食事の方法:ピザは食品群ではない |
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