仕事をする上で、知識は絶対に必要です。どのような知識が必要なのかは、仕事の種類によりますが。
イメージとして、いくつもの山が連なっている連山をイメージしてください。
多くの人が仕事で使っている知識というのは、この連山のように、知識レベルが高いところや低いところがあります。
ただし、仕事では常に一定のレベルの知識が要求されるので、知識低いところ(「谷」の部分ですね)では、Webで調べたり、人に聞いたりしないと、仕事が進みません。
■知識の不足は効率化を阻害する
でも、必要な知識や技能が不足していると、つねに Web や他人の助けが必要になって、効率的に進められません。
たとえば、手書きでレポートを書くとすれば、「漢字が思い出せない」と言っては PC の IME で確認しながら書いていたら、すごく時間がかかりますし、「漢字を調べる」という行為をすることによって、このあと何を書こうとしていたかを忘れちゃうので(私だけ…?)、またちょっと前から読み返して思い出さないといけなくなるわけです。
本書『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル』では、この知識の谷の部分を知識の隙間と呼んでいます。
■知識の隙間
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●知識の隙間
得意分野に力を集中させることはまったく悪いことではないが、弱点をそのまま放置しておくと、キャリア、あるいは入生全般でそれが制約要因になる場合がある。
私たちはみな、弱点を抱えている。私たちはみな、知識のなかに隙間を抱えており、そのために効率を最大限に引き上げて仕事をすることができないでいる。
ういった隙間をたくさん見つければ見つけるほど(そして潰せば潰すほど)、長期的にはよくなる。
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:(中略)
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●隙間の見つけ方
知識の隙問というものは、すべて簡単にわかるわけではない。
それどころか、ほとんどのものは、仮にわかっていたとしてもぼんやりとしかわかっていないものだ。
自分が知らないものに気づくのは難しいことが多く、隙間は簡単に無視されてしまう。
作業効率を下げている知識の隙間を見つけるための方法のなかでも特に優れているのは、作業にもっとも時問がかかりているところはどこか、繰り返し行っていることは何かを意識することである。
そのようなところでは、完全な理解ができていないために、何かをしくじっている可能性がある。
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:(中略)
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同じことが作業の反復にも言える。繰り返し行っていることがあるなら、知っていれば作業効率が上 がるのに知らない事項がないか徹底的に調べてみるべきだ。
ショートカカットキーについて考えてみよう。あるアプリケーションを繰り返し使っているのに、手作業でマウスを延々とドラッグして、クリックしなければならないがために、効率よく作業ができていない。これは、ショートカットキーの知識に隙間があるからかもしれない。
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:(中略)
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自分がわかっていないこと、はっきりしないことに気づくよういつも注意するのも、知識の隙間を見つけるためのテクニックのひとつだ。
調べなければならない事項やはっきりわからない事項のリストを作り、同じテーマが何回出てくるかをチェックする。
リストがどんどん大きくなるのに驚くだろう。しかし、自分に正直にならなければならない。わからないものが出てきたとき、すぐに学ぶ必要はないが、少なくともリストにその事項を追加して知識に隙間があるのをはっきりさせておくことはできるだろう。
このテクニックは、採用面接の準備をしているときや、何を勉強しなければならないかを知りたいときに役立つ。
面接で尋ねられそうな採用面接の質問できる限りたくさん見つけておこう。
たとえば Java 開発者の求人に応募する場合には、Java の採用面接での質問リストを探してくるだろう。
すべての質問を読み、わからない概念や確信を持って答えられない問いをリストに追加していこう。
この作業が終わったら、勉強すべきテーマをまとめたすばらしい、そして長いリストができあがっている。
このように言うと単純で当たり前のことのように感じられるかもしれないが、採用面接の準備をしている多くのソフトウエア開発者は、何を勉強すればいいか、どうやって勉強すべきテーマを見つけてくるかがまったくわからないでいる。
ジョン・ソンメズ(著) 『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル』
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■知識の隙間を探す
過去記事でも何度か書いてますが、私はメモ魔です。とにかく何か思ったらメモする。PCであれば、日誌がいつも開いていて、ちょっとWeb検索したら、その結果を書き写すとかしてます。
一度、これを記録に残してみませんか?
・××さんに○○について聞いた
・Webで、○○について調べた
こんなことを日誌でもなんでもいいので、一か所に残してみることです。1週間位でも良いかと。
多分後で見ると驚くことになります。同じようなことを何度も調べています。
これが「知識の隙間」です。
これを埋めれば、「調べる」「聞く」という時間が劇的に減ります。
もちろん、なくなることはありません。
知識が増えたら増えたで、別のところに「谷」ができるだけなので。
ただし、そのときの谷は、最初の海抜ゼロメートルではなく、1000メートルくらいの高さにある谷になっているかもしれません。
自分の知識で欠けているところ、他の知識に対して、十分ではないところを発見するには、事実に基づいて対象を絞り込むようにすると、思い込みのバイアスが排除できます。また、「やりたいこと」ではなく「やらないといけないこと」が絞りこめるので、学習効果が高くなります。
■参考図書 『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル』
![]() ![]() | 「より良い人生」を送るためのノウハウ・スキルを網羅した、生き方バイブル本です。 ソフト開発者向けに書いてありますが、そこで言われていることはあらゆるビジネスパーソンに通じることばかり。 良い人生を送るためには、技術習得法やキャリア構築法といったノウハウに加え、対人的な交渉・指導・意思疎通などをうまく行える能力や知恵、すなわち「ソフトスキル」が不可欠です! 本書では、キャリアの築き方、自分の売り込み方、技術習得法、生産性の高め方といった仕事で成功する方法だけでなく、財産の築き方、心身の鍛え方、恋愛で成功する方法など、「人生全般をより良く生きる方法」を具体的に説明します。 ●「解説」から抜粋 本書はソフトウェア技術者向けの書籍ではありますが、いわゆるテクノロジーのことはほとんど書いてありません。しかし、「成功者」になるために必要なそれ以外の多くのことが書いてあります。(中略)今こそ私たちがもっと成功に貪欲になれるチャンスなのではないでしょうか。 ●「訳者あとがき」から抜粋 全体を読み通して感じたのは、人の弱さを十分に意識して書かれていること、率直であること、上からではなく同じ高さから話しかけてくることでした。 (中略)校正のために読み返してみると、株や栄養や腹筋のことなど、「何かで読んだんだけどさあ」という枕で出てくるような話の多くを本書で覚えたことに気づきました。無意識のうちにいろいろな影響を受けているようです。この本、ただものではないですよ。 ●目次 第1部 キャリアを築こう 第2部 自分を売り込め! 第3部 学ぶことを学ぼう 第4部 生産性を高めよう 第5部 お金に強くなろう 第6部 やっぱり、体が大事 第7部 負けない心を鍛えよう 付録A コードを書けるなら金融は理解できる 付録B 株式市場の仕組み 付録C 食事と栄養の基礎:ガラクタを入れればガラクタが出てくる 付録D 健康な食事の方法:ピザは食品群ではない |
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