皆さん、持ってそうで持ってないのがキャリアの目標。
ウチの会社では、すべての社員には上司とのキャリア面談というのが義務付けられていて、毎年、目標面談のときか、または別途時間を取ることになっています。
ここで、5年後にどういうポジションでどのような仕事をしたいのか(上司から見ると「させたいのか」)について上司と部下で話し合いをします。
それに基づいて今年度どのようなことを勉強していくのかを決めることになっています。
ところが、ここに書かれていることが結構やっつけ仕事みたいになっている場合があります。
まあ、人事部からの押しつけ、というか「キャリア面談」をすることが目標になってしまっていて、やむを得ないという側面もあるのですが。
■目標を決めずに出発するのか?
よく MBO などの説明で、「ゴールがどこにあるのか知らないマラソン」みたいなたとえ話がでてきますが、これもそのひとつ。
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帆船で大海原を横断するときのことを考えてみよう。
ほとんどの人がするように、船に乗って帆を上げてもいい。しかし、目的地を明確に定めた上でその方向に進む手順を踏まなければ、目的もなく海に滑り出していってしまう。
おそらく、どこかの島か大陸に偶然にもたどり着くだろうが、どこに行きたいのかを決めるまで、しっかりと全身進することはできない。
しかし、ひとたび目的地を明確に決めたら、あらゆる手段を思うがままに使い、その方向に船を積極的に動かすことができる。
そうすれば、きっと目的地に着けるだろう。
このことは当たり前のようにも感じられる。それなのに、キャリアの目標を決めているソフトウエア開発者はほとんどいない。
なぜだろう。
ジョン・ソンメズ(著) 『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル』
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■だれでも希望通りのキャリアが積めるわけではない
いまどき、ソフトウエアと何ら関係ない製品(や製品の設計・製造プロセス)を探すほうが難しいくらいなのですが、多くの会社ではソフトウエアは売り物ではなく、自分たちの業務をサポートするためのツールに過ぎません。
ですので、特にソフトウエア開発者の昇進の道というのは選択肢はそう多くありません。
やっぱり会社の収益源になっている製品やサービスを直接的に担当している人のほうが、会社からは大切にされます。ソフト屋なんてその補助要員の補助をするのが仕事だったりします。
※私は「元ソフト屋」なので、やっかみも込めて…
つまるところ、会社の本流にのっていない人は、あるところで昇進が頭打ちになります。
極論を言ってしまえば、本流にのっている人というのは、会社全体で見れば2割位で、のこりは「外注でもいいけど、社員の方が安くつくし、小回りもききやすい」ていどの認識しかされません。
そういう傍流の人たちに、「将来のキャリアビジョンを描きなさい」というのも困った話ですね。その人達が、「社長・役員になりたい」「会社にとって重要なプロジェクトの責任者・リーダーになりたい」といっても、その人の能力も関係しますが、それ以前にキャリアとして経験を積めないところにいるわけです。
■目標はないよりあったほうがいい
私は個人的には、最初は目標なんてなくてもいいと思っています。
建前を言えば、目標を持たずに航海に出るのは論外なのですが、そもそも自分が何者であるか、なにができるか、なんて最初からわかっていたら、人生つまらんでしょ。わからないのにその目標が妥当であるのか無謀であるのかなんて理解もできません。
ただ、30歳や40歳すぎても「自分に何ができるかわからない」というのはちょっと…、ですよね。
つまり、最初は、「今やれることを一生懸命にやる」ところに視点を置きながら、将来のぼんやりした「得たいもの」を描き、それを活動を通じて徐々に明確にしていく(なっていく)というのが、まあそこそこ凡人のたどり着けるいいセンなのではないかと。
目標というと、なにか明確で言葉にできるものや測定可能なものがないと行けないみたいに感じますが、長期的なビジョンなんてその程度の扱いでいいのでも死にゃあしないよと。
ただし、少なくともぼんやりした言葉に出来ないものであっても、そのイメージを持っていないと、本書を初めいろいろな自己啓発書にかかれているように、頑張ったけどなんにもならなかった、という事になりかねないのかもしれません。
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推測することしかできないが、ほとんどのソフトウエア開発者は、キャリアの長期的なビジョンに踏み込むことを恐れているのではないだろうか。
どれかひとつの道を選んでその道をずんずん進むのが恐いため、あらゆるオプションを選べるように残しておきたいのだ。
選んだ道が間違っていたら、どうしよう。行った先が気に人らなかったら、どうしよう。実際、これは恐ろしいに問いではある。
そういったことをまったく考えたことのない開発者もいる。自分で道を切り開いていくのははるかに困難を伴うので、そんなことはしないのだ。
代わりに与えられた最初のポストに飛びつき、もっといいチャンスが転がり込んでくるか、解雇される(つまり、クビになる)まで、そのポストにしがみつくのである。
自分のキャリアの目標を決めない理由が何であれ、今こそ目標を決めなければならない。
明日ではなく、ましてや来週ではなく、今すぐ決めるのだ。
はっきりとした目標を決めずに踏み出した一歩一歩は、すべて無駄足である。キャリアの目標を決めずに、ランダムに人生を歩んでいってはならない。
ジョン・ソンメズ(著) 『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル』
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■今の一歩一歩を大切に
もちろん、目標がひとつである必要性はないと考えます。
※というかひとつしか目標がない人ってちょっと恐いかも。
たとえば、自分の人生の目標、自分のサラリーマンとしての目標、そしてプロジェクトの目標、今のタスクの目標。いろんな目標がいまやっている「キーボードをひっぱたくこと」につながっているんですよ。すべてのために、いまキーボードをひっぱたいているわけです。
さらに、その目標は、次の瞬間別のものにすり替わってしまってもいいと思っています。
とにかく、たくさんの「なりたい自分」のために、「いま××をするんだ」という認識があると、「それをどのように活かそうか」という意識が生まれます。
そのうちのひとつが「キャリアの目標」であれば、より効率的に自分のキャリアを積めるのかもしれません。
将来、自分がどうなりたいのかが言葉にならないと、それは意識することは難しいです。
一度決めたことに拘泥する必要はありませんが、決めることにはちょっとだけ拘泥したほうが、しないよりは良い結果をもたらすのではないかと思ったりします。
とくに、社会人としてある程度の経験を積んだのであれば、無理矢理にでも作って、それに対して今の活動がどのように影響するのかを考えてみたらいいのではないでしょうか。
■参考図書 『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル』
立ち読み可 | 「より良い人生」を送るためのノウハウ・スキルを網羅した、生き方バイブル本です。 ソフト開発者向けに書いてありますが、そこで言われていることはあらゆるビジネスパーソンに通じることばかり。 良い人生を送るためには、技術習得法やキャリア構築法といったノウハウに加え、対人的な交渉・指導・意思疎通などをうまく行える能力や知恵、すなわち「ソフトスキル」が不可欠です! 本書では、キャリアの築き方、自分の売り込み方、技術習得法、生産性の高め方といった仕事で成功する方法だけでなく、財産の築き方、心身の鍛え方、恋愛で成功する方法など、「人生全般をより良く生きる方法」を具体的に説明します。 ●「解説」から抜粋 本書はソフトウェア技術者向けの書籍ではありますが、いわゆるテクノロジーのことはほとんど書いてありません。しかし、「成功者」になるために必要なそれ以外の多くのことが書いてあります。(中略)今こそ私たちがもっと成功に貪欲になれるチャンスなのではないでしょうか。 ●「訳者あとがき」から抜粋 全体を読み通して感じたのは、人の弱さを十分に意識して書かれていること、率直であること、上からではなく同じ高さから話しかけてくることでした。 (中略)校正のために読み返してみると、株や栄養や腹筋のことなど、「何かで読んだんだけどさあ」という枕で出てくるような話の多くを本書で覚えたことに気づきました。無意識のうちにいろいろな影響を受けているようです。この本、ただものではないですよ。 ●目次 第1部 キャリアを築こう 第2部 自分を売り込め! 第3部 学ぶことを学ぼう 第4部 生産性を高めよう 第5部 お金に強くなろう 第6部 やっぱり、体が大事 第7部 負けない心を鍛えよう 付録A コードを書けるなら金融は理解できる 付録B 株式市場の仕組み 付録C 食事と栄養の基礎:ガラクタを入れればガラクタが出てくる 付録D 健康な食事の方法:ピザは食品群ではない |
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