上司と呼ばれる立場になると、部下に何らかの仕事を任せて、自分はオフィスで部可能報告を待つ、というスタイルがかつてありました。いまでもこういうスタイルで仕事をする上司は結構いますし、自分専用の部屋が与えられるような立場になれば、その傾向はますます加速します。
最近の研究では、リーダーシップ、マネジメントとしては好ましくないと言われていますね。
ところが、これを600年前に言った人がいるのですよ。
ニッコロ・マキャヴェッリ
そう、あの「君主論」に書いてあります。
■新しい領地を手に入れたら底に住むこと
★〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
もし、あなたが新しい領上を手に入れて、その地をマネジメントすることになったとしたら、決の二つの鉄則を思い出してほしい。
1.旧リーダーの家系を、完全に根絶してしまうこと
2.その土地の法律や税制は変えないこと
その上地の人々が、ずっと自由な生活を知らなかったのであれば、この二点を守るだけで、思うままにマ不ジメントできるだろう。
世襲のリーダーと、その家系の影響力を一掃しつつも、その土地の伝統やルールには手をつけず、維持しつづける。すると、文化・風習・社会制度に大きな違いがなければ、市民は何ごともなかったかのように安穏と生活していくものだ。
長い間、フランスに併合されてきた、ブルゴーニュ、ブルターニュ、ガスコーニュ、ノルマンディーといった地域がいい例だ。
言語語に多少の違いがあったとしても、文化・風習・社会制度が似てさえいれば、おたがいを簡単に認め合うことができる。
しかし問題なのは、言語はもちろん、文化・風習・社会制度までまったく異なる領土を手に入れた場合だ。
こうしたケースでは、政変、紛争など、あとになってさまざまな問題が生じてくることを、しっかり念頭に置いておく必要がある。
つまり、異文化の地をマネジメントしつづけるためには、とてつもなく大きな「運」と、想像を絶するほどの「実力」が必要になってくるのだ。
では具体的に、どんな策を講じればよいのだろうか?
実は、「最強のマネジメント法」が存在する。それは、領土を手に入れた支配者自ら現地へおもむき、実際にそこに住みこむことである。
そうすれば、まさにトルコがギリシャに対して行ったように、その支配は決定的、かつ半永久的なものとなる。現地で生活していればこそ、万が一混乱が生じたとしても、リーダー自らその場で状況を判断し、迅速な対応ができる。
現地にいなければ、混乱が大きく拡がってから、対応に走りまわることになるだろう。それではもう手遅れなのである。
つねに「現場」に身を置くこと。そうすれば、リーダーの地位を部下たちに奪いとられる心配もない。
市民というのは、リーダーが自分たちの要求に迅速に対応してくれれば、十分に満足してしまうものである。もともと体制に従順なメンタリティを持っている市民は、ますますリーダーを慕うようになる。そうなればちも、簡単には行動に出られなくなる。
リーダーが現地に住みこんでいれば、ありえないのである。、リーダーに抵抗しようとする者たその領上を失うとうことは、まずほとんとありえないのである。
ニッコロ・マキアヴェリ(渡部昇一(訳))(著) 『「君主論」55の教え』
―――――――――――――――――――――★
かつての人なので、「領土」「領主」などとちょっとアレな単語が出てきますが、たとえば、新任で新しい部門などに赴任するような場合を考えてみればわかりやすいかと思います。
■そこにリーダーがいることの重要性
あらゆる現場に担当者ではなく、ある決裁権限を持つ人がいることの重要性は言うまでもありません。
部下が5人いるとして、5人の部下のそれぞれにくっついて回ることはできませんが、課長席にず〜っと座ったままで、部下の報告を聞いて「よし!」「だめ」「やり直し」などと言っているだけでは、部下は上司を認めなくなります。本書に書いてあるような領主と領民の関係と同じです。
そこで、部下が主催する打ち合わせの案内には、全部自分に CC を入れさせます。
そして時間の許す限り、その打ち合わせに出席することです。
出席するだけで、何も発言する必要はありません。黙って頷いていればOKです。
これをするようになってから、部下の動きがよく見えるようになりました。
もちろん、面倒なときや自分の仕事をしないといけないこともあるので、全部に出席するわけではありません。
1時間の打ち合わせの10分間だけ、後ろの方で聞いている
だけでもいいですので、リーダーになったらなるべくメンバーの主催する打ち合わせには、ちょっとだけ顔を出すようにすると、
・メンバーの動きや関係者との力関係がわかる
・いまどんなことをやっているのか具体的にわかる
・進捗状態を把握する
・自分が決裁権限を持っていることを公にできる
などいろいろと役立ちます。
最強のマネジメント法は現場にいることというのは真理に近いかも。
■参考図書 『「君主論」55の教え』
立ち読み可 | ビジネスリーダー必携! 経営者から政治家まで、世界中のリーダーに愛読されてきた不朽の古典名著が、読みやすい「超訳」で甦る。 ニッコロ・マキアヴェリ(Niccolo Machiavelli) 1469年生まれ、1527年没。イタリア、ルネサンス期の政治思想家。 29歳で、フィレンツェ共和国の官僚となり、およそ15年もの間、外交交渉、軍事などの分野で活躍。 その豊かな経験をもとに、『君主論』を執筆した。 性悪説にもとづいた冷徹とも言える内容に、発表当時は賛否が分かれたが、 現実的な歴史把握と、卓越した人間認識によって、政治の鉄則を打ち立てた古典名著として再評価。 現代では世界中のビジネスリーダー、政治家らに、必読書として愛読されている。 目次 第1章 「頭のいいリーダー」が、いつも心がけていること 第2章 成功するリーダーは、こんな「資質」を持っている! 第3章 偉大な先人から、「マネジメントの極意」を学べ 第4章 もっとチームを強くする、「人を動かす」原理原則 第5章 プロフェッショナルなら知っておきたいこのスキル 第6章 「本物リーダー」へと、今まさに進化しているあなたへ |
◆アマゾンで見る◆ | ◆楽天で見る◆ | ◆DMMで見る◆ |
「君主論」55の教え 著者 :ニッコロ・マキアヴェリ(渡部昇一(訳)) | 楽天では見つかりませんでした | 「君主論」55の教え 検索 :商品検索する |
●本書を引用した記事
本気度を示す行動を考える
少し高いところを狙って弓を引く
部下が主催するミーティングに出席する
●このテーマの関連図書
マキアヴェッリ語録(新潮文庫)
社長のためのマキアヴェリ入門(中公文庫)
非情な人ほど成果を上げる―マキャベリ式最強の仕事術(日文PLUS)