ときどきお店でトイレを使ったりすると、「流すときはココ!」みたいな張り紙がついていることがありますよね。
綺麗なトイレなのですが、そこだけ手書きのメモ用紙みたいなのが貼り付けてあって違和感バリバリ。
こういう張り紙を見ると、昔「タイムボカンシリーズ」みたいな子供向けのアニメによく出てきた「自爆ボタン」を思い出します。
何かというと、自爆ボタンはでかくて目立つところにあって、ドクロマークがついてます。
で悪役が何かの拍子にこれを押しちゃいます。
なにが起きるかは、子供でも想像ができるので、それをワクワクしながら見てると、思い通りに大爆発、子供は大喜び、と。
違いは何かというと、「ぱっ見てわかるもの」「存在自体に気が付かない重要なもの」です。
■機能すればいいってもんじゃない
最近は実際に設計をすることは部下に任せるようになりましたが、部下の設計書や実際の制作物をみて、まず突っ込むのは
「××がやりたいときに、その機能にどうやってたどり着くの?」
です。Webやアプリケーションの画面で、「この画面は××をするものです」と説明しておきながら、それを実行するためには
「ALTキーを押して、×キーを押して…」
って、ユーザーインターフェースになってないじゃん…。って突っ込むわけです。
その機能は確かに動作するように作ってあるけど、ユーザがマニュアルと首っ引きで格闘しないと使えないのであれば、機能するとは言い難い。
私を含め、マウスではなく、ALT キーや CTRL キーを多用するユーザにとっては使いいいかもしれません。
しかしながらユーザは設計者ほどその製品や類似の商品に詳しいわけではありません。というか、仕様も知らないはず。
そのユーザに、表面に出ていない機能を探し当てて使えとは設計者の発言ではないですね。
■とにかく、まずなにがしてほしいのか
もちろん、一昔に比べれば、今のアプリは、ずいぶん直感的になってますし、使いやすくなりました。
何かをするにもウイザードが走って、「◎◎はこれでよろしいですか?」「次は◎◎の設定ですよ」と、まぁ、ご親切にガイダンスしてくれます。
多くのOSではそれが標準でサポートされているので、設計者としてはそこに与える情報リストだけを作れば、あとはOSが標準インターフェイスでユーザをガイドしてくれます。
でも、そこにどんな文章を、どんな画像を表示させるのかは、設計者が決めることです。
先日あったのは、テキストやWebページのキーワードと類似語、出現頻度抽出してくれるソフトなのですが、起動するといきなり何もない真っ白け画面がど〜んと表示されてなにも起きませんでした。
設計者に聞いてみると、別途Webを開いて、そこで CTRL+A して画面全体を選択した上で、そのソフトにドラッグ・アンド・ドロップすれば、解析がスタートするというしろもの。
確かに使い慣れれば簡単ですし、相手が Web だろうが、Excel だろうが汎用的に対応可能です。ユーザーインターフェースにかける工数も最小になります。ただ、
「そんなもん、わかるか〜っっ!!」
って言いましたけどね。
■他人がぱっと見てなにをすればいいのかがわかるように書いてますか
同じようなことはプレゼン資料、レポートなどにも当てはまります。
たとえば、依頼すべきことがあって、プレゼン資料を作ったのに、ひたすら現状報告がかいてあるだけ、という資料を見かけます。
その現状の課題に対して、読み手にやってほしいことがあるのに、「察してください」状態。
たとえば、追加予算が欲しくて相手部門の上司への資料に
・××の要求で工数が増えている
・工数の増加は今後○○だけ見込まれる
・その要求はプロジェクト全体としては必要なものだと判断される
的なことが書いてあるのに、肝心なことが書いてない。
よく読めば、
工数が増加してしまって、現状予算ではやれない⇒追加予算が欲しい
はわかるのですが、相手が一生懸命読むことが前提な文章は絶対に伝わりません。
もちろん、ストレートに「銭(ゼニ)が足らんぞ!」というだけが正解とはいえませんが、伝わらないメッセージは「ない」のと同じ。
メッセージは伝わってこそ意味を持つものです。機能なら使ってもらえて初めて作った意味があります。
まず、キーとなるメッセージ(機能や目的・主張)が伝わるように書く(作る)ことです。