人を動かす:人を説得する原則3:自分の誤りをただちにこころよく認める




巨人たちのお言葉シリーズをお送りします。

・本日の巨人 : デール・カーネギー
・本日のお言葉: 自分の誤りをただちにこころよく認める
・お言葉の出典: 『人動かす』

失敗は誰にでもあります。
失敗したことを、大きな損失であると捉えるか否かは、その失敗と対策を判断する人の感情に任されています。

ということは、失敗をしたら、相手の感情を別の所に誘導してやれば、「失敗から信頼がうまれる」みたいなことが起きるわけです。

こういうストーリーでよくあるのが、「失敗を見事な方法で挽回する」とかいうやつですが、それは「見事な方法が考えつけばのこと」です。それよりも凡庸なやり方で、失敗に対応する方法が、『人を動かす』に書かれています。




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●誤りを認める
ある日、園内で騎馬警官に出あった。この警官は、自分の権威を見せびらかしたくてむずむずしていたらしい。

 「口輪もつけずに、犬を放すとは何ごとだ。法律に違反していることを知らんのか」

と瞥官に叱られると、わたしは、おだやかに答えた。

 「はい、よく知っています。しかし、あの犬は人に危害を加えるような犬ではないから大丈夫だと思いましたので」。
 「思った!思ったとは何ごとだ!君がなんと思おうと、それで法律が変ったりはしないのだ。君の犬は、りすや子供にかみつくかも知れないではないか。今日のところは見のがすが、つぎにこういうことがあると、裁判所へ行ってもらわなくちゃならん」。

わたしは、以後気をつけますと、すなおに約東した。

わたしは約束を守った。しかし数日後には、犬が口輪をいやがるし、わたしもしいてはめたくもないので、見つかったら見つかったときのことと覚悟を決めた。しばらくは、それでうまく行った。ところが、ある日、とうとう来るべきものがきた。わたしとレックスが坂道をかけのぼって行くと、いきなり行く手にいかめしい法の守護者が栗毛の馬にまたがってあらわれた。

わたしはあわてたが、レックスは何も知らず、まっすぐ警官の方へ走って行く。

いよいよ事はめんどうになってきた。わたしは観念して、警官の発言を待たずに先手を打った。

 「とうとう、現行犯でおさえられましたね。わたしが悪いのです。何もいうことはありません。―先週、あなたから、二度とこういうことがあれば罰金だと注意されたばかりですから」。

 「うん、だが、まあ、あたりに人がいないときには、こんな小さな犬のことだし、つい放してみたくなるのも人情だろう」。

警官の声はおだやかだった。

 「まったくそのとおりです。だが、法律は法律です」。
 「しかし、まあ、こんな小さい犬は、だれにも危害は加えないだろう」。

瞥官は、そういって逆に異議をとなえる。

 「それは君、考えすぎだよ。それでは、こういうことにしたら、どうだ――坂の向こうへ連れて行って、放してやるんだよ。そうすれば、わたしの目も届かないからね。それで万事解決ということにしよう」。

警官も人間だ。やはり、自己の重要感がほしかったのである。
わたしが自分の罪を認めたとき、彼の自負心を満足さける唯一の方法は、わたしを許して太っ腹なところを見せることだったのだ。

だが、もしわたしがいいのがれをしたとすれば――警官と議論をすれば、どんなことになるか、読者も承知のはずだ。

警官と渡りあうかわりに、わたしは、先方が絶対に正しく、自分が絶対に悪いと認めた。即座に、いさぎよく、誠意をこめて、認めた。

すると、互いにゆずりあいがはじまり、わたしは相手の身に、相手はわたしの身になって話しあい、事件はめでたく解決したのである。

デール・カーネギー(著) 『人を動かす
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この事例は、最後のこの一文に集約されています。




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どんなばかでも過ちのいいのがれぐらいはできる。事実、}ばかはたいていこれをやる}
 :
 :(中略)
 :
自分が正しいときには、相手をやさしく巧妙に説得しようではないか。また、自分がまちがっているとき――よく考えてみると、自分のまちがっている場合はおどろくほど多いものだ――そういうときには、すみやかに自分の誤りをこころよく認めることにしよう。

この方法には予期以上の効果がある。そのうえ、苦しいいいわけをするよりも、このほうが、よほど愉快な気持になれる。ことわざにも「負けるが勝ち」という。

人を動かす人を説得する原則3:自分の誤りをただちにこころよく認める

デール・カーネギー(著) 『人を動かす
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別の記事でも書きましたが、言い訳するのを聞くと、(多分、日本人には多いような気がしていますが)「いさぎよくない」と感じてしまう時があります。
その結果、「本当に反省しているのか」「責任転嫁をしているのか」みたいに、その人に対する信頼度が下がり、さらに失敗を責めたり、過度な反省を要求したりする、ということになります。

もちろん、相手次第というところもあります。攻撃することを目標にしている人が失敗したなら、いくら自己批判をしたとしても、「格好の攻撃材料が見つかった」としか思わないでしょう。そういう人を相手に誤りを認めるのは得にはなりません。

相手をよく見て判断したほうがいいかも。




■参考図書 『人を動かす




これを読まざるしてヒューマンコミュニケーションを語るなかれ!
デール・力ーネギーによる自己啓発の源流とでもいうべき不滅の名著。原版(How to Wln Friends and Inffuence Peaple)は、世界各国で 1500 万部以上、日本語版も 400 万部を超える大口ングセラー。
この脅威の部数は、本書が「人間心理の本質」を正面から扱った最初の一冊であることを示している。多くのヒューマンコミュニケーションに関する本は本書の焼き直しと行っても過言ではない。これらの本を読む前に、まずは本書を読んでから語ってほしいもの。






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●関連 Web
 悪用厳禁!心理学で人を動かす7つの秘法 - ライフハックブログ
 人を動かす-Wikipedia
 人ひとを動うごかす―デール・参考カーネギーによる人間関係の古典―:日本語文学ガイド
 転職を繰り返したD.カーネギー――世界最大の自己啓発本「人を動かす」を作った男
 説得コミュニケーションの原則―Diamond Online
 悪用厳禁!心理学で人を動かす7つの秘法 - ライフハックブログ

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