上司をやっていると部下から失敗やトラブルの報告を聞くことが増えます。
ただ、そういう失敗やトラブルは、過去に自分が通ってきた道。問題の対象は時代とともに変わりますが、仕事が大きく変わっていなければ、プロセス的には過去に上司も痛い思いをしたことがあるものがほとんどでしょう。
どんな上司だって、スーパーサラリーマンでも過去から現在まで完璧な人間だったわけではないでしょうし、仕事に馴れないうちはいろんな失敗をしたはずです。まあ、都合の悪いことは忘れてしまうというのも否定はしませんが…
なので、私個人としては、失敗をした事自体に腹が立つことはありません。
「おお、オマエもやっちゃったか。実はオレもな〜」
くらいに過去の武勇伝(笑い話?)でも話してやりたいくらい。
■上司が腹が立つ部下の行動
でも、たいていの上司は失敗した部下を叱ります。
上司同士で飲みに行ったりすると、そういう話をよく聞くのですが、なにに怒っているのかというと、失敗をしたこと自体ではなく、失敗をしたあとの行動です。
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こういう危機喫況の時ほど、部下の本当の力が見えてきます。
経験の浅い部下は、オロオロしたり、慌てたり、ミスしたことを引きずったりしますが、べテラン編集者は、「すみませんでした!」と頭を下げると、次の瞬間にはテキパキと関係部署に連絡し、ミスが起きた経緯などをわかりやすく書類にまとめます。
起きてしまったミスという事実は、いくら悔やんでも変わりません。変わらない過去にエネルギーを使わず、今後の対応という未来にパワーを集中させる人ほど、底力を発揮します。
}上司というのは、起きてしまったミス自体に怒ったりするよりも、実はミスの対処の仕方にイラついたりするものです}。
「上司から叱られたらどうしよう」などと身内に目を向けるのではなく、迷惑をかけてしまった相手のことを優先させるべきです。
また、べテランの部下ほど、叱られる理由を誰より本人が一番わかっている場合が多いものです。そんな時には、叱る言葉を必要としないこともあります。
かつてミスをした編集者と取材先にお詫びに同行した時に、一件落着のあと、帰りの電車の中で、「改めて、すみませんでした」と深々と頭を下げられたことがありましたが、本人が最も反省していることを感じたので、私は相手の目を見て、「以後気を付けること、以上」とだけ言いました。
上司の立場から考えると、本人が自覚さえすれば、クドクド言わなくてもいいのです。
田中和彦(著) 『できる人はやっている 上司を使い倒す50の極意』
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上司として、失敗をしたときの部下の行動を見て、「これじゃあダメだ」と思えるものがあります。たとえば、
・隠蔽しようとする
・問題を過小評価しようとする
・自分の少ない経験と知識だけで対処しようとする
こういったものです。
実は失敗そのものに怒る人は少ないのかもしれません。
もちろん、「ああ、いいよいいよ。気にすんな」とはいえないので、スタンドプレイで怒ってみせる、というのはあります。反省を促さないと行けないところもあります。
でも、「腹が立つ」という状態になることはありません。
だって、その人の知識範囲でやるべきことをやっていて起きてしまった問題なんですから。
逆に「やるべきでないことをやった」「やるべきことをやらなかった」についてはやっぱり上司としては怒らないといけないですし、「腹が立つ」という状態になります。
もちろん、「やるべき」という線は明確な線があるわけではなく、上司や組織によって違いますけどね。そこはちょっと難しいところ。
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●本書を引用した記事
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