伝えるのは性能よりも行動の変化





私の仕事の一部に「システム開発」なる業務があります。

当然ながら、開発したシステムにはユーザが居るわけで、そのユーザ部門に開発費用やらライセンスを購入するなどの負担をしてもらわないといけません。

小さなシステムだったりすると、担当者はひとりしかいないので、当然その担当者がユーザ部門に行って提案をし、費用を承認して貰う必要があるのですが、これがよくはね返されて返ってくる。




たとえば、システムの更新などで説明に行くと

 「新システムにすることで、××計算の速度が70%も高速化されます」
 「扱えるデータ量が4倍になります」

なんて説明をするわけ。間違っちゃぁいないけど…、それでユーザ部門が新たに●●万円負担してくださいにOKがもらえるわけがない。

 「今のシステムで使えているのに、何で更新が必要なわけ?」

と言われて、

 「いや、だから性能が向上するんですよ」

は答えになってない。




■相手の聞きたいことに


ユーザ部門は、システムが

 Excel であろうが、データベースであろうが
 それがクラウドにあろうが、隣のPCであろうが

興味はありません。「それを使ってどんな結果が出るのか」だけに興味があります。

いわゆる

 「人は自分の聞きたいことしか聞かない」
 「相手に話を聞かせるためには、相手の聞きたいことを答えなさい」

っていうやつ。

処理速度が、1Mips だろうが 100Mips だろうが興味はありません。そこに興味があるのはCPUの設計者だけ。ユーザは、Windowsがまともに動いてくれて、クリックしたら待ち時間が気にならない程度に反応してくれれば、それは十分な性能のPCなんです。

システムで計算に時間がかかっていたようなものも、ユーザの業務として月に1回、帰りがけにポチッとやって、朝出勤したときに完了した結果を取り出す、みたいな業務だったら、それが5時間かかろうが10分で終わろうが大した問題ではありません。
「その計算が10分になるために1000万を投資してくれ」といわれてももったいないだけ。

最近出版された本ですが、

 『伝えることから始めよう

にこんなエピソードが書いてありました。

◇――――――――――――――――――――――――――
一眼レフカメラを紹介する時に、「このカメラは画素数がこんなにすごいんですよ」と言っても結局あまり売れない。

 「お子さんが生まれたら、良いカメラを使って毎年1枚写真を撮って新聞の大きさに引き伸ばし、成人の日までに20枚の大きな写真が揃うから、それをお子さんにプレゼントするんです。
 最高の贈り物になると思いませんか?
 スマートフォンで撮っても誰もプリントしない。それでは感動は生み出せませんよ」

といった話を説明する。

※かなり要約しています。詳細は本書で。
――――――――――――――――――――――――――◇


そう、これだよこれ。

■なにがどう変わるのか、それによって}あなた}がどう嬉しいのか


結局、相手に伝えないといけないのは、

 }あなたが}どう変わるのか
 }あなたの評価}がどう上がるのか
 }あなたのメリット}は何なのか

を言わないと、相手は動いてくれません。

先述の「5時間の計算が10分になる」でも、

 この前、役員会で「月次で、結果的にできませんでしたでは意味がない!」と言われましたよね?
 この計算を毎日リアルタイムに見られるようになることで、日々の変化が発見できるようになって、進捗状況を細かく把握できるようになって、目標達成が結果だけではなく制御できるようになります

なら、ちょっと食指が動くのではないでしょうか。10分になることなんて言う必要がない。

設計者がシステムや製品の良さを伝えようとすると、数値にこだわりがちですが、ユーザが本当に欲しい情報は数値ではなく、行動の変化と結果を出しているイメージ(エピソード?)です。

説明は、相手の行動がどう変わるのか、それによって相手にどんなメリットがあるのかを伝えないと説得力は出ません。



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posted by 管理人 at 06:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 知的生産術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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