影響力の武器:冷静さを失わせることで自分の意見を通す方法




どうも自分に分がないような流れのときに、一発逆転をする方法として、相手に冷静さを失わせることで、自分に有利な結論を持っていくという方法があります。

まあ、こんなテクニックは使わずに、みんなで冷静に考えて、あるいは積極的に合意が取れるのが一番なのですが、知らないより知っていたほうがいい、ということでご紹介します。




■感情的になったときに判断をすると間違う


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この仮説を検証する実験では、まず、参加者たちの一方のグループには敢えて感情的に、もう一方のグループには冷静に、ある事柄について短時間考えてもらいました。

そのすぐあとで、参加者に自分の知り合いが歌手のマドンナの CD のセットを売りたがっていると想定してもらい、半数の人には CD 五枚で一セット、残りの半数には十枚で一セットであると伝え、一セットに最高いくらまでなら払ってもよいと思うかを尋ねました。

その結果、事前に冷静に考える練習をしたグループでは、五枚組みの CD の値段よりもレ枚組みの CD の値段のほうが高くなりました。これは理に適った評価と言えるでしよう。

しかし興味深いことに、感情的な考え方を練習したグループは、 CD の枚数の違いにあまり注意を払わず、両方のセットににほぼ同じ値段を付けたのです。

この研究結果から、人は感情的になる経験をすると意思決定に悪影響を受けて、不利な提案を受け人れてしまいかねないことが分かります。

たとえば、納人業者と原料の買い入れについて交渉をしている場合、あなたの提示した金額が相手の希望より一万ポンド(約150万円)少なく、その金額で相手が提示している納入数量はあなたの希望より少ないとします。

相手はあなたの提示金額に対して現在の数量以下の原料を納入することは避けたいと考え、代わりにあなたが喜びそうな別の新製品を50組提供すると申し出ました。

もしこのとき、一万ポンドに相当する対価が 50 組ではなく 100 組の新製晶だったとしても、研究で示されたように、こうした感情絡みの提案をされると、あなたは 50 組の価値を過人評価して、はやまって採算に合わない決断をしてしまうかもしれません。

ロバート・B・チャルディーニ(著) 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
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本書で書かれている例2つ、「マドンナのCD」と「要求する量よりも少なく、別の製品を余分に提供する」という話って、結局どっちが損なのか得なのかよくわかりませんね。

何度か読み返してみたのですが、もし自分が当事者だったらどう判断するか、冷静に考えてもわかりませんでした。残念ながら。

実は筆者のこの記事自体も読者のご判断を誘う実験かも…、というのは私が平均より下の脳みそしか持っていないからだろうか…?




■相手の判断力を鈍らせる方法


ただ理解できたことは、この節の最後に書いてあるこの一文。

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どうすれば、こうした要因から影響を受けるのを避けられるでしようか。

実験の結果によれば、数に注意を向ける練習を交渉の前にするといった簡単なことでも、数の違いを認識する能力を取り尺すのに役立ちます。

注意力を曇らせるような感情を排除すれば、事実に基づいた適切な情報を用いて交渉を進め、最善の決断を下すことができるはずです

ロバート・B・チャルディーニ(著) 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
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注意力が下がっているときに下す判断は相手にコントロールされやすい、ということですね。

■相手の注意力を削ぐと自分に都合の良い結論が誘導できる


逆に言えば、相手の注意力がさがるような設問の出し方をしてやれば、自分の希望する(相手にとって不利な)結果を出しやすいことになります。

たとえば、自分の専門領域と相手の専門領域が違うときに、議論の土俵を自分の専門領域に持ってきちゃうことで、自分に都合いい論理展開が可能になります。自分の専門領域なので、どのような論理でも相手にとってはわかりにくい。

もうひとつは、結論にいたるところに複雑な数式を示すこと。

いずれの方法も、相手の思考停止を誘導することができます。

もちろん、どちらを選ぶべきかは別の方法で誘導しないといけません。たとえば、3択にして真ん中を自分の有利なものにする(松竹梅法)とか、選んでほしいものをゆっくり言うなどいろいろな方法があります。

ストレートにやるなら、相手を怒らせたり、感情を揺さぶるような発言・動作をするという方法もありますが、こちらは長期的な関係を崩してしまいかねないので、よっぽどの場合しか使わないほうが良さそうです。
※選択肢としては持っておいたほうがいいですが、ぶっつけ本番は難しいです。

他にもいろいろな方法があります。たとえば、

 ・顔を近づけて圧迫する
 ・コツコツ、ドンドンと机をたたきながら話す
 ・難しい数式や理論、ややこしい言い回しをする
 ・権威を持ち出す
 ・不意打ちする
 ・相手が忙しいときに要求を出す
 ・夕方に提案する(黄昏効果) 
 
みたいな方法です。

これらの方法は具体的な方法はサラヒン〜サラリーマンの仕事のヒントで書きましたのでご参考にしてください。

要は、相手を思考停止に追い込んじゃえば、勝ちになる可能性が高いということです。
ただし、あまり多用すると人間関係を壊しますので程々に。




■参考図書 『影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣




人が「イエス」という仕組みを心理学を使って科学的に分析し、実際に応用可能なレベルにまで高めた本。
社会心理学者の口バート・ B ・チャルディーニ氏は、宗教や悪質なセールス、募金の勧誘、広告主などありとあらゆる「承諾誘導」の専門家の手口を研究し、彼らの手口は基本的に 6 つの力テゴリーに分類できることをつきとめた。心理学の専門書であるが、ビジネスからプライべートまでその応用範囲は極めて広い。
現在の心理学を応用した仕事術、交渉術、会話術などの本のほとんどすべてがこの本に書かれている。





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影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
著者 :ロバート・B・チャルディーニ
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影響力の武器実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣
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●関連 Web
 影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか』の[第三版] - マインドマップ的読書感想文
 影響力の使い方講座 - ダイレクト出版
 影響力の武器とは?説得するときにはこれ - DCC用語集
 影響力の法則 影響力の武器 - YouTube
 影響力の武器:マネジャーとしての影響力は、どうすれば発揮できるのか?-Bizトレンド

●本書を引用した記事
 多面的交渉術をトレーニングする「ピラミッド交渉力」
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 仕事で使える心理学4:ポイント抜粋―ストレスに対応する
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 「なぜなら」を口癖にする

●このテーマの関連図書


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予想どおりに不合理行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」増補版

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

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