ドラッカーは『新訳:新しい現実 政治、経済、ビジネス、社会、世界観はどう変わるか (ドラッカー選書)』という著書の中で、次のように述べています。
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政府、大学、ビジネス、労組、教会のリーダーたる者が意思決定の前提とすべきものが、「すでに起こった未来」である。
「すでに起こった未来」を知るには、今日当然としているものに反し、したがって新しい現実をもたらしつつあるものは何かを知らなければならない。
学者や知識人は、はじめに理論があり、政治、社会、経済、心理の現実はそれに従って形成されると考える。そういうこともある。だが滅多にない。
理論が実践に先行することはない。
理論の役割は、すでに有効性を確認された実体を体系化することにある。
個を一般化し、教え学ぶことのできるもの、一般に適用できるものにすることにある。
P.F.ドラッカー(著) 『新訳:新しい現実 政治、経済、ビジネス、社会、世界観はどう変わるか (ドラッカー選書)』
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「すでに起こった未来」というのはすごくかっこいいですが、私レベルの解釈で、
ピクニックに行く
で書いたように、達成したい未来が「今現実に起こっているかのように空想する」ことではないかと思っています(あくまでも私の解釈なので信じないように!)。
■ゴール志向とステップ志向
いろいろな呼び方がありますが、ここでは、「ゴール志向」と「ステップ志向」と呼んでみたいと思います。
これは何かというと、
ゴール志向とは、ゴールを先に考え、それを実現するために必要なものを小さなゴールとし、さらにそれを分解して、次の行動を決める方法
ステップ志向とは、いま現実にやれていることを改善し、改善を積み重ねてより高いところに行こうとする方法。
と定義しておきます。
だいたい、人の上昇志向というのは、この2つの考え方のパターンがありそうです。
※現状維持志向、徐々に劣化志向などは除いて…
ドラッカーが勧めているのは、この「ゴール志向」のことではないかと。
■意思決定の前提条件
意思決定の前提とすべきものがすでに起こった未来、なのであれば、未来は現実です。
それを達成するために、過去になにをやってきたかを考えれば、タイムスリップして、今の時点に戻ったときに、「あとはやるだけ」という状態になっているはずだ、ということ。
感覚的にですが、日本人は、ステップ志向の人が多いように感じます。
私としては、ドラッカーのように「ゴールを見て」と言い切れないところがあります。
ドラッカー大先生を否定できるほどの知見や所見があるわけではないですが、今をコツコツ改善し続けたら、世界中でも高く評価される会社もできちゃってますよね。
まあ、組織としては、どっちも必要なんじゃないかと。
それが上手くバランスが取れるようになっているといいのでしょうが、往々にしてどっちかに偏っているところが困りものでもあります。
あなたはどっちの志向でしょうか。
私としては、「良い」「悪い」ではなく、どっちも必要だけど、ないものねだりしてはいけない(要は、「ゴール志向」の人が「ステップ志向」を目指したり、その逆)ように思います。
それは、単なるスタイルの違いにすぎないから。
■参考図書 『新訳:新しい現実 政治、経済、ビジネス、社会、世界観はどう変わるか (ドラッカー選書)』
今日、明らかに日本は、経済、技術、政治組織、そしておそらく教育についても、世界の最先端に位置しており、したがって自ら革新を行なわなければならない状況におかれている。世紀の転換をまえにいま時代のトレンドが見えてきた。15年前のドラッカーの予測が、いまや世界の流れになった!意思決定のヒントを与える洞察の書。
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