管理職になると部下を評価して上司や人事に報告をしないといけなくなります。評価した結果に基づいて、部下を指導しないといけなくなります。
そのときに、役に立つ考え方がフレデリック・テイラーという人が考えた「科学的管理法」という方法です。
■科学的管理法
「科学的管理法」とは
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科学的管理法(かがくてきかんりほう;Scientific Management)とは、フレデリック・テイラーが20世紀初頭に提唱し、ガント、ギルブレスらによって発展した労働者管理の方法論。テイラー・システムとも呼ばれる。現代の経営学、経営管理論や生産管理論の基礎のひとつである。
出典:Wikipedia
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というものです。
イチ作業者であったテイラーは、仕事を分解し、測定可能にすることで、作業の効率を爆発的に高め、その理論を持って後世に名を残しました。
■徹底するということ
年間売上高20兆円を超えるトヨタでは、100円のボールペン1本買うのも稟議書がいるそうです。本来、経営活動とはそういうものですが、ここまで徹底できている企業はめったにありません。
よく、「トヨタ方式」とは、「当たり前のことを徹底するということ」と言われます。
たとえば、上記のボールペンの話でもそうですし、職場の 5S などについてもそうです。トヨタ生産方式を実践している工場に工場見学に行くことがありますが、本当に徹底していると感じます。「これくらいなら…」みたいな妥協が一切ありません。
では、「徹底する」ためにどうすればいいのでしょうか。
というか、そもそも「徹底する」とは、どういうことなのでしょう?
たとえば、部下に「もっと早くやれ」と指示したとします。
部下からこんな質問が帰ってきたらどうしますか?
「わかりました。では何分何秒でできるようになったら早くやれたと考えればいいですか?」
大抵の上司は答えられません。
トヨタ方式はそこに答えを持っています。
たとえば、ちょっとした作業のお助け治具を作るにしても、
5秒縮めるのに投下していいコストは1万円
ときっちりした基準があります。
※この数字は私が適当作ったもので、実際に使われているものではありません
つまり、部下に対しては、だれがみても同じ判断ができる基準が必要なんですね。
それを「早く」「正確に」みたいな人によって判断の違うものを持ち込んだ時点で、徹底はできないということです。
冒頭に書いた「科学的管理法」の「科学的」ということは、
誰がやっても同じになる
再現性がある
ということです。
今の製造業の現場のほとんどは、「標準時間」というものを持っていて、
ネジを取るには××秒
ネジを締めるには○○秒
みたいに非常に具体的に決まっています。つまり、7つのネジを締めるには、
(××秒+○○秒)*7
で計算できるようになっています。
だから徹底できるんですね。
■徹底するためには計測すること
こういうふうに、何かを徹底するためには、「標準」を持たないとできません。比較のしようがないですから。
そこに向けて、全ての妥協を排除して、しつこくやり続けることが必要なんですね。
そのためには、まず「標準」を決めること。
標準を決めるためには、測定することです。
要素に分解して単純作業にまで落とし、それを測定することによって良し悪しをチェックすることで、徹底ができるようになります。
後輩や部下を評価・指導するときに、「もっと○○に」と言っていませんか?
それは誰が見ても同じ結論になりますか?
数字になってますか?
仕事を雰囲気ではなく科学的にやるためには、計測しないといけないんですよ。