「接種理論」という心理効果をご存知でしょうか?
事前に用意してあったことは、人に聞かれても慌てずに済みますが、思いもよらないことを聞かれるとあたふたしてしまって、言わなくていいことを言ってしまったり、言うべきことを言わなかったりします。これを避けられるやりかたを提供してくれるのが接種理論。
この方法を使うとプレゼンなどで失敗する確率が減ります。
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●ライバルを蹴落としてイエスと言わせる説得の技法「接種理論」
「接種理論」と呼ばれる心理学用語があります。
あらかじめ、マイナス要素を吹き込んでおくと、インフルエンザワクチンを接種されたように、ウィルスへの抵抗力が強まり、インフルエンザにかからなくなる原理です。
上司:きみに今度担当してもらう P 社は、強烈な値引きを要求してくるので気をつけろ
部下:わかりました。ガードを固めていくので、言いなりになるつもりはありません
上司:必ず持ち出してくるのが、他社製品との性能比較だ。だから事前に他社のデータを集めて分析しておくごとだ。そして、他社につけ込まれそうな、うちのウィークポイントはあらかじめ説明して、弱点にならないよう P 社を丸め込んでおくことだ
部下:了解しました。 P 社さんには、絶対に他社からの売り込みを許しません
上司がこう伝えておけば、守りも万全になります。
取引先で、ライバル製品との比較で、劣勢に立たされないよう手を打っておけば、ライバル製品を蹴落とせます。
P 社:正直迷ってますよ。おたくの製品にするか、 Q 社の製品にするかで…
当方:ご検討いただけて光栄です。うちの製品は、 Q 社さんと比べて価格が高いんですが、そのぶん、耐久性には自信をもっております
P 社:そうですか。しかし、それならなぜ耐久時間の目安を表示しないんです? Q 社さんは 3 年間保証付きで 10 万時間までの耐久性能を誕ってますよ
当方:はい、おっしゃる通り、うちは 1 年保証しか付けておりませんし、耐久時間も明示しておりません。ただ、うちはメンテナンスサービスに絶対の自信をもっておりますし、弊社のシリーズは 20 年の口ングセラーですが、 Q 社さんはまだ 3 年です
Q 社が攻撃してきそうな点を、あらかじめワクチン接種しておくことなのです。
神岡真司(著) 『思い通りに人をあやつる101の心理テクニック』
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本書の事例は営業で、上司から P 社が気にしそうなポイントをあらかじめ部下に提示しておく、というシチュエーションでしたが、あらゆる場面で使える方法です。
■プレゼンの質問に備える
たとえば、プレゼンをする場面で、「質問されそうなところは事前に考えておく」とその場で慌てずにすみます。よく言われることですが、たいていの場合は用意した回答は役に立たず、それ以外の質問や意見が飛んできて、頭真っ白ということになります。
私もご多分に漏れず、そのパターンが多かったです。
とくに経営者にプレゼンするときには、「あれも聞かれるかも」「これも用意したほうがいいかも」と大量の資料を用意しておきながら、ほとんど役に立つことがありませんでした。
用意したものというのは、余裕を持って応えられるのですが、何も用意していないと、つまらないところでミスを犯して、そのミスにまた突っ込まれて、あえなく撃沈、と。
なんで用意したことを聞いてくれないんだ!
と思いたくなっちゃいますが、外している自分が悪いのは明らかですね。
そこで、2つの準備をするようになりました。
プレゼンの意思決定権限を持っている人(以下権限者)について、
1.過去の発言を調べる
2.関係者で趣味・嗜好について話をする
の2つ。
■過去の発言を調べる
1.については、なるべく新しいその経営者が発言した議事録を探します。
今回プレゼンしようとしていることとは直接関係なくても、その権限者が発言したことというのは、その人自身の関心のありかを知るもっともいい方法です。
議事録で、発言そのものを読むのではなく、「どういう観点で見ているとこういう発言になるのか」を考えます。
たとえば、ある投資判断をする際に
「総投資金額は?」
と聞いた議事録が残っていれば、その権限者は今の必要性はもちろん、「将来に渡って全ての費用」を考えていると考えられます。
であれば、今のプロジェクトも、今後どのようなメリットの可能性があって、長期的にどのような費用がどういうタイミングで必要なのかを見積もっておいたほうがいい、と考えられます。
■関係者で趣味・嗜好について話をする
もちろん、プレゼンターであるあなた自身もその人については知っているでしょうし、どんなことに関心があるのかもわかっていると思います。
でも、人と話をしていると、別の観点で見ている人がいたり、思わぬところに気付かされたりします。ですので、関係者が集まって
「あの人(権限者)ならどんな質問をするだろうか?」
ということを話し合ってみると、結構いい気付きが得られます。
いろいろなコンサルタントとプロジェクトをすると、コンサルタントは「今度、打ち合わせ予定の××様はどんなことを気にされると思いますか」というたぐいの質問を良くしてきます。
もちろんこういう言い方だけでなく、仕事における嗜好やその人の職務権限の範囲なども非常に詳しく聞きたがります。
これは、上記のような意味があるんだろうな、と思いつつ、「こんな着眼をされる可能性があります」などと説明しておくと、次の打ち合わせには、それに対する答えらしき資料を追加してくるので、そういうトレーニングを受けているんだろうなぁ、と感心したりします。
■事前準備の効率を考える
事前準備というのは、漠然とするのではなく、的を絞って準備しないと効果の少ない仕事が増えるだけで、いい結果をもたらさないですね。
事例として、「接種効果」について考えてみましたが、事前準備というのは、漠然と心配をし始めるとキリがありません。
ポイントを絞って、もっとも効果のある準備をしないと、それこそ徹夜に続く徹夜をする羽目になります。
だからといって、準備が薄くてプロジェクトがコケても悲しいので、適切な想定をして重点的な準備をするのが効率的だと言えます。
■参考図書 『思い通りに人をあやつる101の心理テクニック』
![]() ![]() | ▼どうしたら思うように相手を動かすことができるのか? 本書に関心を寄せていただいた読者の方は おおむね次のような不満を抱えているのではないでしょうか? ――どうしたら、部下が自分の思うように仕事をしてくれるのか? ――どうしたら、苦手な上司や取引先をラクラク攻略できるのか? ――どうしたら、気になるあの人に振り向いてもらえるのか? ――どうしたら、営業のクロージングでNOをYESに変えられるのか? などなど・・・ 「いったいどうしたら、相手を動かすことができるのか! ?」 人を自由にあやつることができれば、 私やあなたの毎日は楽になることでしょう。 しかし、そう簡単にはいかないのが現実です。 人生の成功者たちは「コミュニケーションの巧拙」が 地位や年収に結びついていることを、体験的に知っています。 人間同士で構成されるのが人間社会です。 人間心理を制するものが人生を制するのです。 ▼即効性の高い実践心理テクニックを101本収録! 相手を「動かす」「あやつる」という行為は けっして相手を「だます」ということではありません。 自分も相手も、狙った方向に気持ちよく向かわせ、誘導する。 そんな魔法のような心理技術が、この世には存在するのです。 そこで本書は冒頭に掲げたような不満を解消する心理技術を 厳選して計101本取り上げました。 心理学で検証・確立された理論をベースにした きわめて実践的で即効性の高い心理テクニックです。 ※決して悪用しないようにしてください。 ぜひ、ご一読いただき、すぐにでも実践すれば その効果のほどをたちまち実感されることと、保証いたします。 この101のテクニックを駆使しさえすれば 思うようにならないさまざまな人間関係のイライラから解放されます! ↓特設Facebookページへお越しください http://www.facebook.com/shinri101 |
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サインに気をつける(話半分、観察半分)
ランチョン・テクニックで和やかに議論する
不意打ちでYESと言わせる方法
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部下の行動を改めさせる恫喝と一罰百戒
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