「ハイプ・サイクル」という言葉をご存知でしょうか?
もともとはガードナー社が作り出した言葉らしいのですが、世の中の流行り言葉やバズワードは、一時期わ〜っと使われるが、しばらくすると使われなくなり、やがて完全に廃れるか、徐々に当たり前の言葉になっていくときの様子を描いた曲線です。
詳しくは以下の Wikipedia の解説ページをご覧ください。
ハイプ・サイクル―Wikipedia
■提案が受け入れられる時と無視される時
仕事をしていて課題に気がついたとします。
それをすぐに上司に「こんな課題(提案)があります」と提案を持っていっても、「そうだね」と言われるときと「そんなことより、この前言ったことやったのか」と言われることがあると思います。
もちろん、提案に行く人自身の説得力や影響力も関係しますが、提案に行くタイミングも問題があります。
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●できる人は「タイミング」をはずさない
仕事で重要なことに「タイミング」を図ることがあります。
寿司でも壊石料理でも、フレンチ、イタリアン、中華にしても、一流の料理人に「料理で大切ことは何か?」と質問すると、多くの人が「タイミングです」と答えます。
そう、お客に出すべきタイミングを間違えると、料理が台無しになってしまうことがあるからです。
「旬」という言葉があります。句とは「奔(はし)り」のことで、いまいちばん美味しい素材、という意味です。
いまいちばん美味しいのですから、季節感があります。
日本は四季の国ですから、どの料理屋でも主役に据えるのです。
逆に、旬が過ぎた、季節外れの料理はいきなり陳腐になってしまうのです。
だから一流の料理人はつねに「タイミング」を図っています。料理だけでなく、飾り花も器のデザインも季節を読み込んでいます。
お客に提供するタイミングも段取りを計算しています。
仕事でも重要なのはこの「タイミング」なのです。
「やるべきことを、やるべき人(チーム)が、やるべきとき(夕イミング)に、きっちりとやる」のが鉄則です。
とくに最も大切なことはやるべき「タイミング」です。
タイミングがずれてしまえば、他の要素がどんなにパワフルであろうとうまくはいかないでしょう。それほどタイミングは大切なのです。
中島孝志(著) 『仕事ができる人の「しないこと」リスト』
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これは2つの視点があります。ひとつは短期視点での「上司の都合」。
要は、上司が何か一生懸命仕事をしていたり、会議から会議で忙しいときに、上司の関心のないことを言っても、良くて聞き流されるだけ、悪ければ「おまえ、暇なのか?」といらぬツッコミを受けることになります。
もうひとつは長期視点で「組織や上司がおかれている環境」。
組織は、課や部門、会社の場合もありますし、地域、国などの場合もあります。とにかく提案に行こうとするときに、どのようなご時世かということです。
たとえば、今の時代に「磁気ディスクの研究をしましょう」と言いに行っても、多分聞いてもらえません。それよりも「ビッグデータ解析を産学協同研究したいです」と言いに行ったほうが乗ってもらえる確率は高いでしょう。
組織として、部門費削減がテーマとして挙げられているタイミングで、でかい研究テーマを持っていっても多分聞いてもらえない(費用が出せない)ですが、イケイケドンドンのときには、話くらいは聞いてもらえるでしょう。
この2つをちゃんと見極めて、相手が聞く耳持っている状態のときに提案をするのが本書で言う「旬」の使い方。
よくドラマなどで主人公が「これをやろう」と師匠やボスに言いに行っても、「まだ早い」とムゲに断られるような場面がありますが、ボスにはそれが「まだ時期(旬)ではない」と思えているわけですね。
■時期を見極める
このハイプ・サイクル、わ〜っと上がっているときには、いろんな組織が飛びつこうとするのですが、それが下がり始めると、もう時代遅れみたいな感覚で見られてしまいます。
自分がやりたいことができる資源が欲しければ、このハイプ・サイクルがピークのときに話にいかないといけないわけです。
ただし、ピークかどうかは、下がり始めてみないとわかりません。つまり、わかったときには手遅れということになります。
上司が情報感度が低く、自分のほうが相対的に高ければ、このギャップを使って結構美味しい思いをすることができますが、その逆だと、「手遅れの提案しかできないやつ」みたいに見られてちゃいます。
今、旬の時期なのか、まだまだ黎明期なのか、はたまた幻滅期なのかは上司の言動や世の中の動向を見て判断するしかないのですが、この感覚があると「今言うべきことと、今は黙っているべきこと」の区別がつくようになるようです。
どうすればそれがわかるようになるのかというと、私の知識では「経験」としか言いようがないですが、そのためには、仕事に使えそうな分野に常にアンテナを張っていないといけない、ということだけはわかります。
言いたいことを言うのではなく、言うべきことを言うべきタイミングで言うようにしたいですね。
裏を返せば「言うべきタイミングが来るまで待つ」ことが必要なわけです。
時期を見る力があったとしても、それまで我慢できなければなんの効果もありません。逆に時期を逃したり、誰かが先に提案を出してしまえば、先行者利益は得られなくなります。
この「待つ」というのも結構神経を使ったりします。
■参考図書 『仕事ができる人の「しないこと」リスト』
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●本書を引用した記事
わかりやすく書くコツ
遊びの時間を作る
予定を決めたら簡単には動かしてはいけない
後輩を優秀にする
不平不満は聞く耳持たぬ
同僚の成功をよろこぶ
言うべきことは言うべきタイミングまで待つ
しないことリストがあなたの生きる武器となる
人を呪わば穴二つ
嫌いな人がいる職場
●このテーマの関連図書
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