よくあるミスをさける質問のチェックリスト




あるプロジェクトなどの活動をしていると、だんだん状況が変わってきて、どんどん変な方向に行っちゃう時があります。

私の専門で言うと、システム開発をしているときに、「このデータがあれば○○もできるじゃん」とユーザに言われて、「じゃあちょっとだけなら」と機能を追加したら、それに対して更に要望が来て、それを追加していくと、本来やりたかったシステムとは別のものができちゃうような場合。

この根本的な原因は、最初に「まぁちょっとした変更だし、ユーザがそれで新システムを受け入れやすくなるんなら…」と実装を決断したことに原因があって、その決断を一度してしまったがために、「ちょっとだけなら○○も…」と言われるとだんだん断れなくなるんですよ。




■交渉の一般的ミスのチェックポイント


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●チェック・ポイント:交渉での一般的なミスを避けるために

あらゆるバイアスの影響を小さくするためには、自分の意思決定のプロセスを慎重に分析し審査しなければならない。

そのために、以下の七つの質問を自問していただきたい。

・初期の決定を正当化するためだけに自分の交渉方針を追っていないか?
・自分にとって良いことは相手にとっては必ず悪いことのはずだ、あるいはその逆だと決めつけていないか?
・最初の提示価格にこだわって非合理的な影響を被っていないか?
・交渉に違った視点を与えてくれるような別の枠組みは存在しないか?
・すぐに手に入る情報に影響されていないか、そして他の正しい、しかし手の届きにくいデータを無視していないか?
・相手側の決定について十二分に考えたか?
・誤りが起こりうる自分の判断に過剰な自信を抱いていないか?

マックス H・ベイザーマン(著) 『マネージャーのための交渉の認知心理学―戦略的思考の処方箋
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本書『マネージャーのための交渉の認知心理学―戦略的思考の処方箋』では、交渉について書かれていますが、私はあらゆる活動において、この判断のチェックリストを使うようにしています。




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・過去の決断に引きずられて決断していないか?
・本来の活動の目標と今の決断は一致しているか?
・誰にとってそれは利益になることか? 誰にとって不利益になることか?
・第一者、第二者、第三者のそれぞれの視点でその決断は正当か?
・新しい情報はトレンドか、一時的な現象か?
・リスクは何か、リスクの影響は何か?
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まだ他にも色々ありますが、本書にあるチェックリストに対応する部分だけを抜き出してみました。

■人間にはバイアスがかかる


あらゆる人は、判断するときに、過去の経験や学習によって判断します。それは必要なことなのですが、経験や学習が偏っていると、判断の結果は望ましいものにはなりません。

ですので、間違った道に入りかけたときに、それを正すためには、常に原点に立ち返る、視点を変えるなどの}バイアス外し}が必要になります

とくに、長期にわたる複雑な交渉などにおいてはその影響が顕著になりますが、それだけでなく普段のひとつひとつの決断(たとえば、「○○さんに△△を言おう」とかいう細かいものまで)も影響を受けています。

車も人生もプロジェクトも、突然直角に曲がったり、逆走することはなく、少しづつカーブを描きながら進んで、気がついたら最初に向かっていた方向とは全く逆の方向に向かうわけです。なのでその都度、逆ハンをあてる(ちょっとだけ軌道修正する)と、紆余曲折をしながらでもゴールに向かっていきます。





■参考図書 『マネージャーのための交渉の認知心理学―戦略的思考の処方箋




優れた交渉力はビジネスの成功には必須のスキルである。
認知心理学は交渉におけるネゴシエーションの基本となる学問であり、その現実への応用方法を紹介する。
例:1.アンカーリング(係留効果)
  2.Foot in the door
  3.Door in the face
  4.フレーミング
  5.トレードオフ戦略
  6.勝者の呪縛
本書では交渉におけるシチュエーションとして、1対1の交渉だけでなく、現実に起こりうる多数の利害が絡む交渉についても、認知心理学に基づいた戦略を提示する。





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マネージャーのための交渉の認知心理学―戦略的思考の処方箋
著者 :マックス H・ベイザーマン
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●本書を引用した記事
 複数の仕事を並行して進めるための必須作業
 交渉の認知心理学:交渉の一般的なミスを避ける自問
 部下はストーリー分析で育成する
 献立とレシピ
 自分をマーケティングする
 バカに見えてもいいから取り組んでみる
 新しい技術、プロセスについて試してみる
 交渉の認知心理学:社会的ジレンマ
 交渉における認知バイアスを避ける
 合理的に交渉する仕組みを作るためのチェックリスト

●このテーマの関連図書


「話し合い」の技術―交渉と紛争解決のデザイン

ハーバード×MIT流世界最強の交渉術---信頼関係を壊さずに最大の成果を得…

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posted by 管理人 at 16:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 知的生産術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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