「演じる」を知る






筒井康隆の本に『48億の妄想』があります。

読んだことがない人のためにちょっとだけ概要を。




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平和な家庭の中心はテレビ。画面に映し出される東南アジアの戦争の捕虜が拷問されるのを見て、家族は平然と、いかにもっと効果的に拷問を見せるか、死ぬ瞬間も短く唐突でつまらないから投書しよう、などとと話す。

政治も、国会の乱闘だけにとどまらず、選挙の予想と勝敗が、競馬なみにスポーツ化され、党首会談はショー化された。裁判さえショー化された。

そしてすべての人は、他の人からウケるリアクションをしようと苦心しながら日常を過ごしている。ウケるリアクションをすれば、テレビで放映され、有名になれる。すべての日常は演技になってしまう。
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非常に面白いのですが、ちょっと怖い小説でもあります。




■テレビに映るのは演出


よくテレビなどで「やらせ」が問題になる時があります。

その放送で伝えたかったテーマをより強調するために、有りもしない事実をでっち上げたり、極端なことをさせたりします。

個人的には、どんなマスコミも大なり小なりこういうところがあると思っているのですが、これが問題になるのはどこまでなんでしょうね?
放送倫理委員会(?)みたいなのがあって、そこで管理しているそうなのですが、どういう基準でやっているのか、詳しく知りたいな〜と思う時があります。

■全ては演出なのかも


要は、「演出」と「やらせ」には線引がないのではないかと思っていて、同じものをちょっと言葉を変えただけ。

会社でもそういうのを感じたことはありませんか?

たとえば、オフィスに社長が来るってことで突然一斉清掃が始まったり、社長との座談会で、だれがどういう順番で社長に何を話すか全部シナリオが配布されたりしませんか?

たとえば、デザインレビューの場では、品質保証部の人は、「その製造方法で品質が担保できますか?」というのを聞かないといけないわけです。たとえ、その人が、「そんなもん、壊れたら取り替えればいいじゃん」と思っていても。

それをどんどん極端にしていくと、テレビで「○○のせいだ〜〜!!(涙)」なんてやるようになるわけです。

多くのサラリーマンは、その役職を演じているだけなのかもしれません。

■伝説のスピーチに感動した?


たとえば、スティーブ・ジョブズの卒業式のスピーチなど、「伝説のスピーチ」を見て、「感動した」とか「素晴らしい」とかいう評価がありますが、正直言っちゃうと何が感動なのかわかりません。

 バカには見えない布があるのか?

とも思うのですが、「ステマ」なんじゃね?とも思ったりします。

もちろん、その話術やプレゼンの仕方とかには「ここのやり方は××に書いてあったのと同じだ」「こうやるといいんだ!」とか思ったりはしますが、それは「感動」とは違いますよね。

■演出には目的がある


昔と比べると、こうした演出の技術は、専門家が誕生したことでますます高度化してきたような気がします。一般人にしても、そういう技術解説本がいっぱいあることで、基本的にうまく演じる能力が高くなっているように感じます。

しかし、そうした演出をするためには、知識やノウハウが必要ですし、それがなければ専門家を雇ってコンサルティングしてもらう必要があります。当然、それには相応のお金が必要です。

もちろん、純粋な気持ちも必要でしょうから、全てを否定する気はありませんが、そういう背景も考えないといけない、ということもあるとおもいます。

単純に言えば演じる目的があるということですね。

どういう目的でその人が、そのように演じているのかを知ることで、その行為や発言の意味を知ることができるようにになるかもしれません。




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posted by 管理人 at 07:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 知的生産術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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