過去記事で、「一貫性の原理」や「認知的不協和」を利用した説得術などをご紹介しましたが、これはわかっていても引っかかる場合があります。
人と何かを議論しているときに、「ちょっと前に××って言ったよな〜」と瞬間的に頭のなかで考えてしまって、自分のポジショニングや次の発言を決めている場合があるんですね。
■自分の主張を変えてもいい
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●ときには自分の持論や主張を変える勇気も必要
そのほか、自分の意見や態度をコロコロと変えるということは信頼できない人の条件としてよく指摘されます。
私たちは他人から信頼されるようないい人でありたいと思うために、自分の発言と行動を一致させようとします。
このような心理を心理学用語では「一貫性の原理」というのですが、自分の発言と行動が一致しない場合、人は不快な感情(認知的不協和)を覚えます。
ですから、人はこのような不快な心情になることを避けるために、無理やりに発言と行動を一致させようとする場合があります。
例えば、日ごろから周りの部下に対して「経費削減」を徹底させている上司は、事情が変わって経費を使いたいと思ったときも、部下に「経費削減」を徹底させてきた手前、本当は使ってもいい経費だとしても、なかなか使えないという心理になるわけです。
しかし、そのような「一貫性の原理」にもとづいた心理行動が強すぎる人は、実は「編されやすい」ということがいえるのです。
例えば、悪質な宗教団体などは、このような「一貫性の原理」を利用して「自分で一度決めたことを途中で変えることは、心や意志が弱い証拠だ」と非難して脅しをかけて、「最後まで信念を貫いて一緒に頑張ろう」と励まして、あなたを編そうとするわけです。
確かに自分の意見がコロコロ変わる人は信用がないかもしれません。しかし、明確な理由があって自分の考えが変わったり、途中で方針を変えるような場合には、そのことをしっかりと周りの人たちに説明して理解を得る努カをすることが大切です。
「いい人だと思われたい」「みんなに尊敬されたい」という気持ちが強すぎると、このような自分の主張をしっかり伝えることができずに、「一貫性の原理」を利用されて操られたり、編されたりする場合があるので注意しましよう。
マルコ社(編集)(著) 『他人を支配する黒すぎる心理術』
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その場その場の都合によって自分の主張を変えるというのは、あまりいいものではないかもしれません。
それは本書の言うとおり、社会的に信頼を失う危険があるというのを、たぶん、子供の頃から学習しているからなのかも。
だからこそ、「一貫性を持たない」と意識すると、ちょうどバランスが取れるくらいになるかと考えてます。
■}今は}そう考えてる
つまるところ、「今、こう言うと過去に行ったことと矛盾する」と思っても、今は○○だと考えているのであれば、それをそのまま言ってしまえばいい、ということです。もちろん、その発言が何かの目的にかなうのであれば、という条件付きですが。
ある目的を達成するために、過去に発言したことと矛盾していることを言う必要があると考えたのであれば、過去の発言は忘れたふりをして、「○○だ」と発言してしまえばいいです。
それで、「過去の発言とは違う」と突っ込まれても、「それはそれ、これはこれ」が大人の議論の仕方というもの。
※「大人の議論」
※これは以前見たアニメ(「ふしぎの海のナディア 」)でのセリフで、とっても印象に残ってます。
本書では「きちんと理由を説明できる」と書かれてますが、個人的にはその説明自体も不要で、「今は、そう考えるんだから、そう言ってます」でもいいと思います。
もちろん、追求する側になったときには、その程度では怯みませんが。
■一貫性の原理には引っかかる
「一貫性の原理」というのは、人間なら誰しも持っているようです。だからこそ、これを利用した説得術が多用されるわけです。
そういう無意識のバイアスがあることを理解すれば、そのバイアスを取り除くためには、その逆をやるとちょうどバランスが取れると考えてます。
ただし、相手の信頼関係を保ちたいときには、多少バイアスがかかっていたくらいがちょうどいいので、必要最小限に抑えるほうがいいです。したがって、過去の自分の発言を否定することによって、自分の得たい結果が得られると考えられる場合に限って、「あっさり一貫性を無視する」ということをやったほうがいいです。
相手と一過性のお付き合いなら信頼関係なんて気にする必要はありません。
「さっきはこう言った」と突っ込まれても、「さっきはさっき、今は今」とシレッと言っちゃいましょう。
■参考図書 『他人を支配する黒すぎる心理術』
立ち読み可 | 「人を操る」とは「良好な人間関係を築くこと」につながるのです。 人間関係の悩みを解決して、円滑なコミュニケーションを行なう方法のひとつに、心理学をベースにしたコミュニケーション法が存在します。 心理学的見地から、相手の表情やしぐさ、行動を分析して心理状態を把握し、コミュニケーションに役立てる心理術のなかでも、相手を「支配する」(=操る)心理術にフォーカスしたのが本書です。 コミュニケーションとは言い換えれば「操り合い」のこと。心理学をベースにした心理誘導に役に立つ考え方や具体的なテクニックを学ぶことで、コミュニケーションスキルは大きく向上することでしょう。そう、「人を操る」とは「相手との良好な人間関係を築くこと」につながるのです。 本書では人を操るための心理学や心理テクニックを紹介するために、「心理学」「心理術」の専門家への取材を敢行。心理学の基本や相手の心を透視(見抜く)技術について紹介するとともに、メインコンテンツでは相手の行動や心理を自分の意図した方向に誘導する心理術を紹介しています。 |
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●本書を引用した記事
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説得術:無言で相手を誘導する方法
●このテーマの関連図書
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思い通りに人をあやつる101の心理テクニック(フォレスト2545新書)
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