会話の階層構造を理解する


「会話」「対話」。まあ、同じ言語を喋ることができれば、大抵の人には可能な技術です。

しかし、一方で、それによって利を得られる人とそうでない人もいます。
※「そうでない」程度にしておきますが、もっと派手に失敗する人も…



■会話の階層構造


誰かと話をすること、会話は実はいくつかの階層に分かれています。

 階層1:音
 階層2:言語
 階層3:意味
 階層4:意思
 階層5:意図

高層ビルのように、階がはっきり別れていればいいのですが、これらの階層が渾然一体になっているので、明確にはしにくいですが、上記のような階層を意識してます。

ある人が何かを発言しようとすると、階層5から階層1に向かって情報が構築され、音となって外部に出されます。

それを聞いた人は、音から階層5に向かって再構築していき、相手の意思を汲み取るわけです。

本日紹介する『フェルドマン式知的生産術』では、この「階層3:意味」のところを更に3階層に分けています。




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●ム工話の底流をつかむ
会話は、見かけよりもずっと複雑なやりとりです。

一つの会話の中で、同時に三つのレべルでやりとりが行われています。

第一のレべルは、事実についてのやりとりです。これは、「何が起きたのか」についての確認の会話です。

一件単純なやりとりですが、それだけに「あなたはこう言った]「いや言ってない」といった対立が簡単に起こる可能性があります。

第二は、起きた事実に対する自分の思いと相手の思いです。

「こういうことがあった」という事実認識は同じでも、それが相手にとっては不愉快なことで、自分にとっては歓迎すべきことである場合もあります。

このような相反する思いが同じ事実に別の解釈を生じさせ、対立の原因になります。

第三は、品位や自分のアイデンティティに関わる問題です。相手の言葉で自分の存在価値を否定されたと感じたり、人格攻撃されたように慮じることで、感情的な行き違いが生まれます。

ロバート・アラン・フェルドマン(著) 『フェルドマン式知的生産術
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会話の失敗で、よく思い出すのは、

 「なんでそんなことをしたの?」

という質問。発した当人は原因を聞きたかっただけなのに、聞いた相手は自分の失敗をなじられているように感じるようなものです。途中の階層で別の変換が入っちゃってるんですね。

おそらく、音のレベルであれば誤解はありません。
しかしそこから上位のレベルに行くと、聞いた人の中で変換作業がされているために、発した本人の変換作業とはことなる変換がされる場合があります。

その誤変換を避けるためにも、「言い方を変える」「より詳しく説明をする」などの追加作業を発した側がしないと、相手には正確には伝わらないんですね。

音を届けるだけならそれほど難しくありませんが、意思を伝えるためには、音から意思への変換作業を補助してあげるパーツを、もういとど音のレベルにまで展開して届けないといけないわけですね。

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このようににひとつの会話の中には何段階ものレべルがあり、その複雑なやりとりの中で望むような結果を出すのは、簡単なことではありません。

事実について話している最中に、次第に雰囲気がおかしくなって、感情的に対立し、話が噛み合わなくなっていくのは、この三つのレべルが混同されてしまうからです。

会話を行う際は、そうした現象を理解したうえで不要な対立を避けなければいけません。

ロバート・アラン・フェルドマン(著) 『フェルドマン式知的生産術
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そんな、アナリストのスキルが、いま、どんな仕事にも必要とされています。
WBSコメンテイター、モルガン・スタンレーMUFG証券チーフ・エコノミストによる、思考法 仕事術の教科書。
ロングセラー『一流アナリストの「7つ道具」』をケースススタディを中心に大幅増補し、新たに「結合力」の章を加えました。





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