システムシンキングのメリットについて、『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング』を引用しつつ、拙いながら、システムシンキングを学んできて感じたことをちょっと書いてみたいと思います。
本書『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング』では、システムシンキングのメリットとして、以下の6つを上げています。
1.経営上の課題を大局的に眺める習慣が身につく
2.複雑な要因間の因果関係を容易に把握できる
3.問題解決のための重要要因を見出す能力を養える
4.効果的なコミュニケーション.ツール
5.アイデアメソッド(収東技法)としての活用
6.ロジックツリーの併用による課題の体系的整理
引用が結構長くなってしまったので、複数回に分けてお送りします。
■問題発見力養成講座:システムシンキングの6つのメリット2
前回の記事でも書きましたが、世の中のことはたいていは独立して起こる事象はなくて、複数の「なにか」が影響して発生します。
たとえば、火山の爆発でも、地殻やマントルの影響があって初めて起こるわけですね。まあ極端な話、マントルがあって初めて山ができるくらいですから。
■複雑な要因間の因果関係を容易に把握できる
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2.複雑な要因間の因果関係を容易に把握できる
世の中の出来事は、多くの要素が関係し合って成立している。
SI べンダーにおける、営業と SE (システムエンジニア)の業務連携を例に考えてみよう。
まず、営業は顧客のニーズを把握し、最適なシステム構築案を提案し、受注して契約書を交わす。
一方、 SE は営業が受注したシステム案件の佳様書をもとに、契約で決められた期間内で作業をして納品する。
一般的に SI 業界における教育体系は、 SE 向けには手厚い教育が用意されている一方、営業担当者向けの研修は手薄な場合が多い。
なぜなら、ビジネスモデル上、「SE の人数 × 1 人当たりの単価 × 工期」によって受注金額が決まるので、優秀な SE が利益の源泉である、という SI 業界の通念があるからである。
優秀なプロジェクト・マネジャーの育成、 SE のスキル強化のための教育投資を行っているが、一向に利益率は改善しない。
一方、営業活動に関しては、従来とほとんど変化が見られない。既存顧客との親密なつき合いを維持しつつ、売上を確保しようとする。
しかし、近年では長年の得意先であった顧客も、システムを更改する場合には競合他社を交えた提案を要請するようになり、顧客との人問関係だけでは商談がまとまらなくなってきた。
さらには、顧客からの値引き要請がよりいっそう厳しくなり、利益率を圧迫する要因となっている。
SE に対して教育投資をしているが、工期の遅延は恒常化し、工期が延びた分のコストは SI べンダーが負担することになっている。
どうしたらこの悪循環サイクルを改善できるのだろうか?
図2-10 の「営業活動と SE の循環サイクル」を見てみよう。
:
:(中略)
:
−方、 SI べンダー側は、一括請負契約とは異なり、段階ごとに提案をし、受注しなければならないというデメリソトがある。
SE 側のループにだけ注目していては、収益改善は実現できないとなった場合、営業側のループの構成要素に目を向ける必要がある。
こうした SE と営業の各要索が複雑に関係し合っているとしたら、どのように全体を眺めればよいのだろうか?
これらの 1 つひとつの要因の因果関係が「見える化」できるならば、問題の構造をさらに容易に把握できるのではないだろうか。
高橋浩一(著) 『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング』
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SI業者と顧客の関係を整理した図が本書では書かれていますが、2重ループになってます。
この2重ループというのはシステムシンキングではかなり典型的なループ構造で、多くの場合、因果ループ図を何度も書き直してシンプルにしていくとこの形になります。
私が考えるに、システムシンキングの最大のメリットというのは、この「複雑な要因間の因果関係を容易に把握できる」ではないでしょうか。
■一枚の絵にするからこそ
「複数の事象の相関関係」というのは、言葉にするとすごく難しいです。
ところが絵にすると、かなり簡単に頭に入ってきます。右脳と左脳が同時に刺激されるからでしょうかね。
そして、記憶術のところでもでも書きましたが(記憶術:イメージ記憶法で絵にする)、忘れにくいという特徴もあります。
全体像が俯瞰しやすいので、議論するときも重要なポイントについて集中しやすくなります。
※注記:システムシンキング
※ 普段は、「システムシンキング」ではなく、「システム思考」と呼び習わしてます。意味的に違いはありません。
※ この記事では、本書『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング』に従って、「システムシンキング」と呼ぶことにします。
■参考図書 『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング』
立ち読み可 | 「着眼大局、着手小局」という言葉がある。「勝負を大局的に眺め、効果的な次の一手を打つ」という意味であるが、まさにビジネスパーソンに必須の姿勢である。本書ではとりわけ重要な「着眼大局」の手法であるシステム・シンキングを丁寧に解説し、真の問題を発見するスキルを養成する。 システムシンキングの6つのメリットは以下のものである。 1.経営上の課題を大局的に眺める習慣が身につく 2.複雑な要因間の因果関係を容易に把握できる 3.問題解決のための重要要因を見出す能力を養える 4.効果的なコミュニケーション.ツール 5.アイデアメソッド(収東技法)としての活用 6.ロジックツリーの併用による課題の体系的整理 |
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●このテーマの関連図書
システム・シンキング入門(日経文庫)
本質思考:MIT式課題設定&問題解決
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