問題発見力養成講座:階層を意識してレバレッジポイントを見つける2




過去記事

 ものの見方の10パターン01:ものの見方の10パターン

で書いたように、同じものを見ていても、その見る人によって異なるものが見えるわけです。

さらに、これらの10パターンに深さ方向の概念を持つと、課題解決に結びつきます。




■ものの見方の4階層


深さ方向は、これと言って切れ目があるわけではありませんが、便宜的に名前がついてます。

 ・パターン
 ・構造
 ・メンタルモデル

の3つでした(詳細は前回記事参照)。

■深さ方向がある


たとえば、以前紹介した「システム思考」で「因果ループ図」を書いたとします。

その要素のひとつに「ノウハウの伝承量」という要因をだしたとすると、その要因には、現象として現れる「伝承量」に対して、パターン→構造→メンタルモデルの深みがあるということです。

現時点、2次元で表された因果ループ図などのような図解技術には、その要素単位ごとにある時間的・空間的・精神的な深さや広がりがあることを表現する方法は、私が知る限りでは存在しません

ただ、何らかのキーワードや事象、事実には深さ方向の次元が存在するということは意識しないと、それをある切り口で切り取った2次元の図がみんなで作り上げられたとしても、相互に理解が異なっているという状況に気づけなくなります。




■レバレッジポイントは深さにある


システム思考で、問題を発生させている根本原因や対策を考える場合、その要素の深さ方向を意識しないと答えには行き着きません。というか、答えは深さ方向にしかありません

★P74〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

●変数の階層レべルを意識する
システム・シンキングは、普段は目に見えない構造レべルを視覚化するのに非常に役立つ。

企業文化を例に考えよう。どの企業も創業時からの独自の企業文化を持っている。

企業文化には、必ず長所と短所があるものだ。企業改革を実施する場合、長所は温存しながら短所を改善するか、あるいはすべて失くす必要がある。

その会社の社員ならば自社の企業文化を何となく感じて理解しているが、外部の人間にはわかりにくい。なぜなら企業文化は普段、目に見えないからである

だが、企業文化は「目に見えないから存在しない」ということではない。目に見えないが、確実に存在する。

企業文化を改革するには、目に見えないものを視覚化し、抜本的な手直しをする必要がある。

それらを因果関係ループで表現し、レバレソジ・ポイントを発見することは可能である。

システム・シンキングによって、企業文化という目に見えないものを構造レべルで認識することができるのである。

システム・シンキングでは、内部要因、外部要因とともに、事象レべル、パターンレべルの要素を扱う。ただし、構造レべルの要素も忘れてはならない。

レノべレッジ・ポイントは、多くの場合、構造レペルに潜んでいる

水面下にあるので、普段は目に見えず、見落としてしまいがちである。だが、レバレソジ・ポィントを発見できなければ、抜本的な解決策を講じることができないのだ。

このように氷山の図はシンプルであるが、示唆に富んでいる。

ビジネスではあらゆる情報が氾濫している。だが、これら数多くの情報を、事象レべル、パターンレペル、構造レべルの 3 つの階層に分類する眼を持ち、レノぐレッジ・ポイントを発見する習慣を身につけることができれば「目利き」になれるのだ

目に見えない構造レべルを「見える化」するのが、システム・シンキングなのである。

高橋浩一(著) 『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング
―――――――――――――――――――――★


■メンタルモデルが根本解決策


最終的にはメンタルモデルが最終的な対策になりますが、これは一筋縄ではいかないです。

直接的に影響させることができるのは、パターンや構造です。

メンタルモデルは人間や組織の意識レベルの問題なので、一朝一夕には変化しません。
いや、パターンや構造も十分難しいんですけどね。

たとえば、TOC思考プロセスに「雲(クラウド;対立解消図)」というものがあります。

事例で言うと、「儲からなくなり始めた事業を続けるか否か」という議論のときに2派に分かれて議論しますよね。
一方は「無駄な投資を継続するべきではない」。他方は「今はまだ儲かっているんだから、投資を絞って継続するべきだ」。

この2つは同じ事業を見ていても、意見は異なるわけです。これは上記で説明したパターン・構造の問題でもありますが、メンタルモデルの影響が大きい例ですね。

逆に言えば、ここに解決策を持ってこれたときには非常に強力な解決策になるということです。
このレベルで問題を発見・対策できる人というのは、確かにデキる人とみなされることが多いですね。

ただ、ここの鍛え方というのはあまり知りません。
システム思考やロジカルシンキング、TOC思考プロセスが助けになることは確かだと考えます。

どれかひとつではなく、どれも勉強するのがオススメ。





■参考図書 『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング





立ち読みできます立ち読み可
「着眼大局、着手小局」という言葉がある。「勝負を大局的に眺め、効果的な次の一手を打つ」という意味であるが、まさにビジネスパーソンに必須の姿勢である。本書ではとりわけ重要な「着眼大局」の手法であるシステム・シンキングを丁寧に解説し、真の問題を発見するスキルを養成する。

システムシンキングの6つのメリットは以下のものである。
 1.経営上の課題を大局的に眺める習慣が身につく
 2.複雑な要因間の因果関係を容易に把握できる
 3.問題解決のための重要要因を見出す能力を養える
 4.効果的なコミュニケーション.ツール
 5.アイデアメソッド(収東技法)としての活用
 6.ロジックツリーの併用による課題の体系的整理






◆アマゾンで見る◆◆楽天で見る◆◆DMMで見る◆

レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング
著者 :高橋浩一
楽天では見つかりませんでした
レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング
検索 :商品検索する



●本書を引用した記事
 ストレッチ―少ないリソースで思わぬ成果を出す方法
 マインドマップソフトでループ図を作成する方法
 会議におけるファシリテーターの役割とは
 読書のアウトプットの増やし方
 マルチPC環境はVNCとTeamViewer
 会議が失敗する理由
 ワークショップを理解する
 人を動かす:相手の話を聞くときには手を止めなさい
 プレゼン資料作成技術:色を使い分ける
 上司の言うことは全部やる


●関連図書
 最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か
 システム・シンキング―問題解決と意思決定を図解で行う論理的思考技術
 なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方
●このテーマの関連図書


システム・シンキング入門(日経文庫)

本質思考:MIT式課題設定&問題解決

世界はシステムで動く――いま起きていることの本質をつかむ考え方





■関連する記事

ストレッチ―少ないリソースで思わぬ成果を出す方法

先日家の倉庫の整理をしました。まあ、猫の額なみの庭の片隅ににおかれた倉庫なので小さなものですが、でてくるわでてくるわ。よくこんなに詰め込んだものだってくらい。最近買った散水用ホースとか(なんだ、買わなくても良かったじゃん!)、壊れて動かなくなった扇風機だとか。庭中に全部広げて、「これはいる」「これはいらない」って振り分けたらとっても倉庫の半分以上は空きました。捨てに行くのがこれまた人仕事で……。こんなもの後生大事に抱..

マインドマップソフトでループ図を作成する方法

システム思考のツールとしてループ図という図解方法があります。「ループ図」とは、ある原因となる事象があって、それが別の事象に影響を及ぼし、それが巡り巡ってもとの事象の原因になるようにな現象を説明したものです。たとえば、お金に困る→ギャンブルに手を出す→儲からない↑↓++みたいな…。ループ図を書くツール考える上で図にして考えるというのは、すごく効果があります。ただ、これをノートに書くと、一度..

会議におけるファシリテーターの役割とは

会議において議長となるひと(会議を主導する人)は当然必須なのですが、ここ10年くらい重要視されるようになったのが、「ファシリテーター」という立場の人。この人がいるといないのとでは、会議の進み具合がかなり違うということで、どこの会社も「ファシリテーション」などという教育プロセスを持つようになったみたいです。ファシリテーターがファシリテーションするのに必要な3つの視点をご紹介します。ファシリテーターの3つの視点本書『レ..

読書のアウトプットの増やし方

「インプットをしたらアウトプットしないといけない」過去記事でもこういうことを書いていますし、多くのビジネス書にも書いてあります。おそらく何かに習熟するためには普遍的に必用なことかと思いますが、ビジネス書などに取り上げられているのは、たとえば、「本を読んだら読書感想文を書きなさい」とか「人に教えなさい」とか、結構ハードルが高いことが書かれてます。私も本を読んだら、殆どの場合は読書記録(感想文ではない!)を書いてますし、本ブログに自分のコメントを付けて公開したりしてます。..

マルチPC環境はVNCとTeamViewer

過去記事で何度か書いてますが、私は自宅で4台、会社で3台のPCで運用してます。まあ、それぞれに役割はあるのですが、基本メインマシンは自宅用1台、会社用1台。あとは、バックアップマシンだったり、一定時間ごとに何かの処理をするか、ネット上のファイルをやり取りするためのマシンです。ただ、この状況で全部にモニタを付けるわけにも行きません。そんなに机は広くないですし、モニタの電源も必要になりますので。そうなると、モニタを繋がずに、その PC が操作できないと困るわけですが、そこ..

会議が失敗する理由

会議の一つの形態である「ワークショップ」と言うものがあります。日本では「体験型講座」みたいに理解されてますが、本来はプロジェクトにおける関係者の合意とコミットメントのための仕組みです。本書『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング』では、ワークショップについて、「ワークショップが失敗する理由」が書かれてますが、ここで言う「ワークショップ」は後者の意味です。会議が失..



■同じテーマの記事

次の一手を考える

新年度になってもうすぐ二ヶ月ですね。六分の1が過ぎたことになります。会社でのことにしろ、会社外のことにしろ、今年の目標の進捗具合はいかがでしょうか?ちょうどキリがいいので、そろそろ進捗状況を整理してみてはいかがでしょうか?私は毎月第一土曜日は、今年やりたかったことの進捗状況をチェックして、次の一ヶ月のアクションを決める日にしてます。家にいるとつい、他のいらないことを考えてしまうので、朝から図書館の自習室に行ったり、出勤する人が少ない時には、会社に行ったりしてます。今週..




posted by 管理人 at 05:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 思考技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。