問題発見力養成講座:階層を意識してレバレッジポイントを見つける1




たとえば、現場を社長が見回るといろいろな現場の人間では気づかなかった指摘点がでる、ということがあります。

過去記事

 ものの見方の10パターン01:ものの見方の10パターン

で書いたように、同じものを見ていても、その見る人によって異なるものが見えるわけです。

もちろん、人間の「見るための神経系」には違いはありませんから、物理的には違いがありません。見えたものからなにを読み取るかが違うわけです。




■ものの見方の4階層


このものの見方の10パターン01:ものの見方の10パターンで書いたように、見るものの角度を変えてみる事によって、同じ物体を見たとしても、ことなるものを発見することができます。

前回の記事では複雑になるので書かなかったのですが、これらの10パターンには、それぞれ深さ方向の次元があります。

これをシステムシンキング(システム思考)では3つの層に分けて説明しています。上から順に

 ・パターン
 ・構造
 ・メンタルモデル

の3つです。




★P73〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

●目に見えない世界を構造レべルでとらえる
我々は通常、直線的なものの見方をしている。

それは、本や新聞・雑誌に目を通す時、目が文章を追いながら同時に脳も働かしている、つまり「目が字面を追いつつ、思考している」状態を指す。直線的なものの見方が悪いわけではない。

だが、その見方だけでは、物事の本質をとらえ切れない場合もある、ということだ。

海に浮かんでいる氷山を思い浮かべてほしい。

水面に出ている部分と、水面下の部分がある。

水面に出ている部分は、「目に見える」ことの比喩であり、水面下の部分は、「目に見えない」ことの比喩である。

水面に出ているのは、上から「事象レべル」「パターンレべル」であり、水面下は、「構造レべル」である(図3-4)。

この氷山のモデルは何を意昧しているのか?

我々は通常、目に見える出来事を見て判断しているのである。

1 回性の出来事は、事象レべルと呼べる。例えば、マスメディアによる様々な事件の報道は、事象レべルといっていい。

しかし、もしその出来事が繰り返し起きるのであれば、それはパターンレべルである。

つまり、その出来事が繰り返されることで、パターンを認識できるようになる。

例えば、毎月何回も納期遅延の発生が認められる場合、パターンレべルと考えるのである。

さきほどの「直線的なものの見方」で杷握できるのは、事象レペル、またはパターンレべルである。

次に、この繰り返し発生する納期遅延は、企業の運営上、何か構造的な問顕があるのではないかと考えるのが、構造レべルである。

本社側の需要予測と工場側の生産能力との需給ギャップによって、累積した受注残かもしれない。

あるいは、工場から 2 次基地への配送と 2 次基地から代理店への配送、代理店から顧客への配送のどこかのポイントで商品の滞留が生じ、慢性的な納期遅延を引き起こしているのかもしれない。

高橋浩一(著) 『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング
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引用で図3-4は本書を見ていただきたいですが、一般に氷山モデルと言われるものです。
※「氷山モデル」で検索すると Web でも見られます。
※本書『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング』では、「メンタルモデル」が書かれてませんが、他の多くの資料では出てきますので、そのWebページを参照してください。

長くなってしまったので次回に続く。




■参考図書 『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング





立ち読みできます立ち読み可
「着眼大局、着手小局」という言葉がある。「勝負を大局的に眺め、効果的な次の一手を打つ」という意味であるが、まさにビジネスパーソンに必須の姿勢である。本書ではとりわけ重要な「着眼大局」の手法であるシステム・シンキングを丁寧に解説し、真の問題を発見するスキルを養成する。

システムシンキングの6つのメリットは以下のものである。
 1.経営上の課題を大局的に眺める習慣が身につく
 2.複雑な要因間の因果関係を容易に把握できる
 3.問題解決のための重要要因を見出す能力を養える
 4.効果的なコミュニケーション.ツール
 5.アイデアメソッド(収東技法)としての活用
 6.ロジックツリーの併用による課題の体系的整理






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レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング
著者 :高橋浩一
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●本書を引用した記事
 反対せずに異論を言う方法
 ワークショップを理解する
 ストレッチ―少ないリソースで思わぬ成果を出す方法
 マインドマップソフトでループ図を作成する方法
 会議におけるファシリテーターの役割とは
 読書のアウトプットの増やし方
 マルチPC環境はVNCとTeamViewer
 会議が失敗する理由
 人を動かす:相手の話を聞くときには手を止めなさい
 上司の言うことは全部やる


●関連図書
 最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か
 システム・シンキング―問題解決と意思決定を図解で行う論理的思考技術
 なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方
●このテーマの関連図書


システム・シンキング入門(日経文庫)

本質思考:MIT式課題設定&問題解決

世界はシステムで動く――いま起きていることの本質をつかむ考え方





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