分割するロジカルシンキング、統合するシステムシンキング




私がよく使うモノゴトを考える上でのツールは3つあります。

 ・ロジカルシンキング
 ・システムシンキング
 ・TOC 思考プロセス

他にも考えるためのツールはいろいろありますが、ツールとして体系化されているのは TOC 思考プロセスだと思っています。




一方で、ロジカルシンキングやシステムシンキングは、とても簡単なやり方さえ覚えてしまえば、すぐに使い始められます。もちろん、それぞれには細かなコツや適用方法があって、実際に使ってみて、うまく適応できなかったところをもう一度学び直して…、と繰り返し勉強しないといけないのですが、基本的には使うツールはひとつだけ。

■ロジックツリー


ロジカルシンキングで登場するツールは、このロジックツリーを使えれば、ロジカルシンキングは実用可能なレベルになったといえると思います。

MECEや三段論法、SoWhat-WhySo、ピラミッドストラクチャなど、学ばないといけないことはいろいろありますが、基本はロジックツリーです。




■システム図(因果ループ図)


ロジカルシンキングにおけるロジックツリーと同じような対極にあるのが、システムシンキングにおけるシステム図(因果ループ図と呼ぶそうです)です。

例はシステムシンキング - HUMAN VALUEあたりが参考になるかと。


■ロジカルシンキングとシステムシンキングの違い


私のイメージするこの2つの考え方の違いをもっともよく説明しているのがこちら。

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●システム・シンキングと口ジックツリーの違い
システム・シンキングとロジックツリーの違いについて説明する時、筆者は「着眼大局、着手小局」という言葉を使うことにしている。

それは木来、将棋の世界でプロの棋十が使う言葉だそうである。

「着眼大局]とは、「物事を夫局的に眺めること」である。

「着手小局」とは、[(大局的に眺めたあと)小局(重要課題)に着手すること」である。

システム・シンキングとロジソクツリーをビジネスで活用する場合、システム・シンキングは「着眼大局」の手法であり、口ジックツリーは「着手小局」のッールなのである

あらゆる業務において、全休像を把握した上で、課題を発見し、解決策を考え、実行するのだ。

「着手小局」の「小局」とは、システム・シンキングにおけるレバレッジ・ボイントのことである。

詳しくは第 2 章で説明するが、レバレッジ・ポィントとは、意訳すると最重要課題であり、選択と集中によってテーマ全休に大きな変化をもたらす要索を指す。

システム・シンキングは、あるビジネステーマに関して、全体像を眺めて、レバレンジ・ポィントを発見するためのツールであるといえる。

−方、ロジックツリーは、レバレッジ・ポィント発見後、複数の解決策(施策)を漏れなく、重複せずに要素分解するためのツールである。

課題を発見したあとに、複数の施策に要素分解するツールと理解すればロジソクツリーは実践において有用であることが理解できよう。
 :
 :(中略)
 :
●「着眼大局、着手小局」で仕事をスムーズにこなす
「仕事の全体が見えない」とこぽしていた A さんの OB・OG は、もしかしたらロジックツリーを社内研修で学んで知っていたかもしれない。

だが、それは、「着手小局」のツールであって、全体を眺めるツールではないので、仕事の全体像は見えなかったのだ。

もし、 A さんのOB・OG に、システム・シンキングを知る機会があれば、「着眼大局、着手小局」の貫した理解を身につけることで、「仕事の全体が見えるようになる」はずである。

高橋浩一(著) 『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング
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つまり、システムシンキングは大雑把に大局を捉えることに機能するツールであり、ロジカルシンキングは正確に課題を小局に分析していくツールです。

さらに本書に、TOC思考プロセスも加えると、TOC思考プロセスは、現象と少ない情報からレバレッジポイントを発見し、その改善効果の検証を行えるツールと考えてます。

なので、これらは、使う場面が異なります。

なにを使うかはわりとカンみたいなものもありますが、これを説明するのは難しい…。だいたいイメージで言うとこんな感じで適用してます。

問題が特定されていて、それに集中するときにはロジカルシンキング。なかなか解決しないいろんな問題が影響してそうなものにはシステムシンキング。多くの似たような問題現象にまとめて対応するときには、TOC思考プロセス。と言った感じ。

■使えるようにするには、練習、練習、また練習


経験から言っても、さまざまな書籍に書いてあるとおり、それぞれのツールは、考える事をガイダンスルするためのものでしかなく、その理論理屈を勉強したからと言って、すぐにレベルの高い分析ができるようにはなっていません。

たとえば、システム図における要素(変数、矢印の両端)は、本などを読むと簡単に出ているようですが、自分でひねり出そうとすると、あまりにも抽象的になてしまうか、細かすぎて他の要素とのバランスが取りにくくなります。

セミナーなどでも教えてくれますが、経験的に言うと、それを使っている他の人(いわゆる先達)を見つけて、相談・議論しながら作っていくほうが上達し易いみたいですね。

もし、先達が見つからなければ、会社の上司や先輩が当てになります。
システム図のことはわからなくても、視座が高いので、システム図の要素やそれぞれの相関関係については、理解できてますから、アドバイスがもらいやすいです。

 「いまのウチの問題ってこんなループになってそうな気がしますが、どう思われます?」
 「××プロジェクトの業務を分解してみましたが、お気づきの点はないですか?」

と聞いてみましょう。

まあ、面倒くさくて答えてくれない人や、そこまで考えてないひともいることは否定しませんが…。

※注記:システムシンキング
※ 普段は、「システムシンキング」ではなく、「システム思考」と呼び習わしてます。意味的に違いはありません。
※ この記事では、本書『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング』に従って、「システムシンキング」と呼ぶことにします。





■参考図書 『レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング





立ち読みできます立ち読み可
「着眼大局、着手小局」という言葉がある。「勝負を大局的に眺め、効果的な次の一手を打つ」という意味であるが、まさにビジネスパーソンに必須の姿勢である。本書ではとりわけ重要な「着眼大局」の手法であるシステム・シンキングを丁寧に解説し、真の問題を発見するスキルを養成する。

システムシンキングの6つのメリットは以下のものである。
 1.経営上の課題を大局的に眺める習慣が身につく
 2.複雑な要因間の因果関係を容易に把握できる
 3.問題解決のための重要要因を見出す能力を養える
 4.効果的なコミュニケーション.ツール
 5.アイデアメソッド(収東技法)としての活用
 6.ロジックツリーの併用による課題の体系的整理






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レバレッジ・ポイントを見つけ出せ! 問題発見力養成講座 “木を見て森も見る”システム・シンキング
著者 :高橋浩一
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●本書を引用した記事
 次の一手を考える
 反対せずに異論を言う方法
 徹底的に丁寧にやる
 ゼロ秒思考3
 会議におけるファシリテーターの役割とは
 思い出アルバム
 時間日誌の効用
 自分を変える教室3
 催促されない
 考えるときにはペンを持つ


●関連図書
 最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か
 システム・シンキング―問題解決と意思決定を図解で行う論理的思考技術
 なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方
●このテーマの関連図書


システム・シンキング入門(日経文庫)

本質思考:MIT式課題設定&問題解決

世界はシステムで動く――いま起きていることの本質をつかむ考え方





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