「ハイダーの認知的バランス理論」ってご存知でしょうか?
Wikipediaでは以下のように説明しています。
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バランス理論は、P-O-Xモデルを用いて説明される。
認知の主体である人を「P」、「P」と関係のある他者を「O」、認知の対象である事物を「X」と置く。「P」の「O」に対する認識、「P」の「X」に対する認識、そして「O」の「X」に対する認識の中で、好意的な物を「+」、否定的な物を「−」で表す。
「P」→「O」、「P」→「X」、「O」→「X」の3つの認識が全て良好である(全て「+」)場合や、3つの認識の中で好意的なもの(「+」)が1つのみであり、残り2つは否定的な(「−」)場合といった、3つの認識の符号の積が正である時、認知体系は均衡がとれているとする。一方で、3つの認識が全て「−」で表せる場合や、3つの認識の中で好意的なもの(「+」)が2つ、残り1つは否定的な(「−」)場合といった、3つの認識の符号の積が負である時、認知体系は不均衡であるとする。
認知の主体である「P」は、認知体系が不均衡である時、不快感を覚える。そのため、「P」は認知体系の不均衡を解消するために、「O」に対する認識、「X」に対する認識、「O」の「X」に対する認識のいずれかを変更しようとする。例えば、「P」→「O」と「P」→「X」が好意的、「O」→「X」が否定的である時、「P」は、他者「O」または事物「X」に否定的な認識を持つようになったり、「O」の「X」に対する認識を改めさせるよう働きかけたりする。どの方策が採用されるかについては、少ないコストで変化させやすいものが選ばれることが多い。
Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E7%90%86%E8%AB%96
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理屈で言われるとわかりにくいですね〜。
でもこれすごく簡単なことですし、実際に経験したことはあると思います。
■バランス理論
まず三角形を考えます。
1つの頂点を「私」。もうひとつの頂点を「相手」だと思ってください。
で、私と相手で話すときに、なにか共通の話題やテーマがありますよね。それが残りの頂点です。
「私」から「話題」を見た時、好悪の感情をプラス・マイナスの符号で表します。
同じく、「相手」から「話題」を見た時にもプラス・マイナスの符号で表します。
この2つの符号が同じであるとき、「私」と「相手」の関係はいいものになります。
逆に符号が異なると、「私」と「相手」の関係はあまり良くなりません。
これがバランス理論です。
たとえば、野球を話題にした時に、「私」は「巨人が好き(+)」、「相手」は「巨人が嫌い(−)」だとしたときには、話題を巨人の話にしてしまうと、話題のそれぞれの符号が逆なので、「私」と「相手」の関係は悪く(−)なります。
逆にふたりとも巨人が好きなら、きっと話は盛り上がるでしょう。お互いに「好き(+)」な感情で結ばれることになります。
ね。経験したことあるでしょう?
※ちなみに、私は巨人ファンではありません(キッパリ!)
■共通の話題を探して、その符号を一致させる
だれかと話をして、打ち解けたいのであれば、まずは共通の話題探さないといけません。
注意すべきは、その共通の話題について、相手がどのような感情を抱いているのかを探ることです。
それがわかるまでは絶対に自分の感情を表明してはいけません。
あくまでも中立で。
「昨日、巨人勝ちましたよね〜」なんて振ると、相手はその対戦チームのファンだったりしたら、その時点でもう2人の関係性はマイナススタートになります。その後でプラスに持っていくのは難しい。
話題の対象を相手が「嫌い」だったら、自分も「嫌い」として発言すれば、2人の関係性はプラスになります。
いつも反目しあっている人同士でも、黒船がくれば協力して撃退しようとしますよね。
よく、政権が不安定な国で指導者が、隣国との関係を悪くして、国民統合を訴えます。これはよく使われる手ですし、それだけ効果があるということです。
これもバランス理論。
■バランス理論で関係を良くする
★P82〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●話の切り口は共通の話題から
営業で売り込みに回る場合や契約内容の交渉の場で、いきなり本題に入るのも無粋だということで、まずは雑談から入るというのが常套手段です。雑談には場の空気を和らげ、心の防御態勢を解除させる効果があります。
いきなり売り込んでも、心の防御態勢が解除されていなければ、素っ気なく拒否きれる確率が高いでしょう。
雑談によって心の防御態勢が解除されると、相手の営業トークに少しは耳を傾けてみうという気になります。また、場の空気が友好的なものになると、その空気を壊すのもためらわれるため、あまり気持ちがそそられない話でも、素っ気なく断ることもしにくい感じになります。
そうした効果が見込まれるため、ビジネスパーソンはだれでも雑談力を磨こうと必死になるわけです。
さらに、雑談には別の意味でも説得カを高める効果があります。お互いの共通性が発見されるとき、雑談の説得効果は飛躍的に増大します。
たとえば、野球やゴルフ、囲碁や将棋など、趣味が一致したときは、雑談が大いに盛り上がり、その後の商談に好影響を与えることが期待されます。
●好意的な雰囲気を醸し出す効果
趣味が一致する営業マンの方が、趣味が違う営業マンよりも、人柄が良いとか、信用できるとか、持ち込む話にメリットがあるとかいうことはまったくありません。
そんなことは、だれでもわかります。
それなのに、趣味が一致すると、その営業マンに対して好意的な気持ちが湧き話を聞いてみようとしhつ気になるのだから不思議です。
これはハイダーの認知的バランス理論で説明することができます。
榎本博明(著) 『仕事で使える心理学』
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まず、相手がある一定の感情を持っている共通の対象を探します。可能なら「好き」と認識しているもののほうが話題にしやすいです。
そして、それについて自分も同様の好悪の感情を持っていることを表明すると、相手との関係が良くなります。
とくに、営業を長年やってきた人はこういう嗅覚が鋭いですね。
初対面でも結構盛り上がる雑談を仕掛けられます。
話題を見つけるためには、いろいろ訓練が必要ですが、そこに相手と話題の関係性を見て話さないと、話がしぼんでしまったり、本題に入りにくくなります。
■参考図書 『仕事で使える心理学』
ビジネスの世界は人間心理で動く!
営業、交渉、会議、部下指導、心の健康対策など、仕事のあらゆる場面で役に立つ心理学知識を解説します。
「交渉は先にキレたほうが勝つ??」
例えば、ビジネス交渉にはさまざまな心理テクニックがあります。最初に過大な要求を相手にぶつけて自分の要求を通しやすくしたり、契約のサイン寸前になってわざと新たな条件を持ち出し相手にのませるなど、注意すべき技法を紹介します。
「みんなで決めるとリスクは高まる」
物事を独断で決めずにみんなで話し合ったほうが、いろいろな知恵が結集できると思われ がちですが、集団での意思決定には意外な落とし穴があります。みんなで決めると気が大きくなり、責任も分散されることから、リスクの高い選択をしがちだということです。
「折れない心をつくる」
また、ストレスに強い「レジリエンス」(復元力)という言葉が注目されています。ストレスのメカニズムや、ストレスを緩和・克服する心の習慣づくりを解説します。
本書は、経営や営業の現場で日々、打ち合わせや交渉をしている方や、部下の指導方法に悩んでいる方など、心理学を役立てたい人に最適の入門書です。
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