プロジェクトのリーダーをしていると、いろいろな意見が耳に入ってきます。
いわく、
「ここのスケジュールはもっと詰めることが出来るはず」
「もし、自分がプロジェクトリーダーだったら○○する」
「将来●●ってリスクがありそうだから、備えておいたほうがいい」
「◎◎のやり方は、メンバーのやる気を削ぐからやめるべき」
「このゴール設定は会社の目標からずれている」
まあ、結構好き勝手言ってくれます。
もちろん、相手が上司であったり、プロジェクトのオーナーだったりすれば無視はできませんが、私の場合たいていは無視して自分のやりたいように進めます。
■「岡目八目」のウソ
「岡目八目」という言葉がある通り、何かの渦中にある人と、それを外から冷静に見ている人では、冷静に見ている人のほうが課題や将来やるべきことがよく見えます。また、渦中の人の持っている制約や前提条件にとらわれない発想ができることも確かです。
だからといって、そういう人たちの意見を取り入れていたら、プロジェクトは大抵行き詰まります。経験的に。
プロジェクトリーダーとして、そのプロジェクトを完遂したいという意志はありますので、自分より経験値の高そうなひとからアドバイスされれば、「なるほど」とついそのアドバイスを取り入れたくなります。
でも、アドバイスを聞くという誘惑は断ち切るようにしています。
「岡目八目」の意見はいいところはついているかもしれませんが、必敗の意見だから。
■部外者のアドバイスは毒にしかならない
部外者は、そのプロジェクトの成否になんら関係がありません。ましてや、そのプロジェクトに参画する意思もないんです。
そういう人の意見が、曇りのない目で核心を突くことはありますが、その人自身は自分の意見に責任をもっていっているわけではないんです。
だから、もし、その意見を取り入れてやってみて、うまく行かなかった時、「あなたの意見を取り入れたんだから助けてください」と言ったとしても「今、忙しい」で終わり。
まして、プロジェクトリーダーとしてビジョンを持ってのぞんでいる以上、他人の方法論に惑わされたら、自分のビジョン自体が揺らいでしまい、取り入れた手法で発生した課題を自分のビジョンに照らし合わせられないので、最適な対応方法が考えられないんですよ。
所詮、借り物の方法論なので。
結果として、他人の意見を取り入れれば、自分のビジョンが揺らいで失敗する。
もちろん、ビジョンに一致しているとか、自分の中でそれに納得し、責任をもって行動できると判断できるときは別ですが。
将棋でも、棒銀で攻めようとしていたのに「そこは飛車を振って角筋を止めなきゃ」と言われたとしても、そのあとの手がなくて自分の玉が詰んだら意味が無いですよね。棒銀で攻めるなら、それを継続しなくちゃ。
■意見の振り分け方
だからといって、「岡目八目」が核心をついてないということはありませんので、私はアドバイスをくれた人に、ひとつ確認をすることにしています。
「今後、プロジェクトに参加してもらえますか?」
「それをあなたがやってくれますか?」
答えが YES なら、そのアドバイスは取り入れる価値があります。
ウチの会社では、よく「言い出しっぺがやれ」というセリフを聞きます。「責任をもって発言しなさい」と。
マーケティングでも、
まだ買ったことのないお客様の意見
買ってくれたお客様の意見
では、「買ってくれたお客様の意見」を重要視するのは当たり前ですね。
それにお金を払う意思と実績があるんですから。
お金を払う気がない人の意見を取り入れた商品を作っても、買ってくれるとは限らないけど、一度でもお金を払ってくれた人は、その意見が取り入れられれば、「買う」というのは高確率でありうるというわけですね。
意見やアドバイスをくれた人に「その意見に責任をもってくれますか?」と聞けば、その採否が判断できます。