上司には上司がいる




当たり前ですが、上司が個人事業主か社長でもない限り、上司には上司がいます。つまり、ほぼ全ての管理職は、中間管理職です。

■上司への報告はどのように伝わるのか


あなたが報告した仕事の結果は、上司に伝わり、上司から上司の上司に伝わり、上司の上司に伝わったことは、上司の上司の上司に伝わり…、と最終的には社長(会長?)に伝わります。

要するに、あなた上司は、あなたと同様に、上司の上司から業務報告を求められているわけです。

だって、あなたの上司の上司は、あなたが何をしているかなんて知りません。

たとえば、あなたが職員、あなたの上司は課長、その上は部長だとすると、部長は課長に「××やっとけよ」って言うわけです。

そうすると課長は、職員のあなたに向かって、「××1をやっとけよ」、別の人に向かって「××2をやっとけよ」とひとりでこなせる業務量に分解して指示するわけですね。ときには、丸投げっていう場合もあるでしょうけど。

このとき、部長から見ると、課長に「××」という業務を出したことはわかっていても、その実態はだれがどのような仕事をしているかはわかりません。課長が(直接手を下していなくとも)その業務をやっていることになってます。

で、課長は部長に「さも自分がやっているかのような」報告をします。
これは、課長が部下の手柄を横取りしたいわけではなく、「一人称」で報告しないと、「なんで他人事なわけ?」と突っ込まれるからです。

部長の質問に対して、「それは○○が××なので、現時点このように判断してます」とあなたの判断結果を持ちだして報告するわけです。

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管理職や、さらに上層部が集まる会議があります。

担当者である部下から見れば、「何をしているのかわからない会議」というイメージがあるかもしれません。

このような会議で行なわれていることの多くは「報告」です。自分が担当するチームや、その集まりである組織の状況を報告しているのです。

私は変わった立場を経験してさたため、なぜか新人社員の頃から、このような会議に出席していました。

そこで見る光景は、それぞれの部署長のみなさんが、自分の剖織の現状や課題、そして展望を報告する姿でした。

新入社貝の頃は、「よく、そんなことまで把握しているなあしと感心したものです。

自分がやっていることを報告するならまだしも、自分がやってもいないこと、自分が見てさえいないことを報告する姿というのは、当時の私にはかなり奇異なものに映りました。

しかし、それを見ていると、ふだんの仕事で上司と呼ばれる方々が、いかに情報収集にエネルギーを割いているか、ということがわかってきました。

自分が、直接やっていない仕事の報告をしなくてはならないわけですから、当然情報を集めなければなりません。
その情報源はほとんど部下が持っているため、さまざまな情報を部下に求めることになります。

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ところが、上司の上司は昔はその業務の担当だったりすると、結構細かいところに突っ込んできます。
もし過去に担当したことがなくても、「なぜそういう行動・設計をしたのか?」「それにどんなメリットがあるのか?」「成果にどの程度影響があるのか?」をかなり詳しく突っ込んできます。

そうなると、上司は自分がやってもいないことを、上司の上司が納得するように話さないといけないわけです。

上司の上司にしても同じです。
上司の上司の上司に同じことを言わないといけないので、結構必死になって聞いています。

ややこしいので、役職名で書くと

 課長は部長に自分の部下がやっていることの説明責任がある
 部長は執行役員に課長がやっていることの説明責任がある
 執行役員は社長に部長がやっていることの説明責任がある

わけです。これがいわゆるレポートラインと言うやつです。

それぞれの説明のときに、論理矛盾していたり、聞く側(説明社の上司)が知っている事実と違ったり、ちゃんと説明できないと「調べなおして、後で説明に来い!」と怒られます。

なので、上司はあなたの仕事をなるべく詳しく知りたいのですよ。
ただし、上司の上司が突っ込んできそうなところだけ

■報告書を省略すると、要求が無限に拡大する


それに思い至ると、報告書の作り方に配慮ができるようになります。

この報告書は上司までのもの、この報告書は上司が、上司の上司に報告するものというように、誰が誰に報告するものなのかによって、当然記載内容を変えないといけない。

ところが、一般職のサラリーマンから見ると、「自分が上司に報告すること」に意識が行ってしまっているため、その配慮ができません。
たとえば、報告書の資料でいえば、

 ・全体のスケジュールの説明を省く
 ・昨日口頭で上司に説明したことを記載しない
 ・今回の報告のキーポイントになるところを書かない(雰囲気で読み取ってもらおうとする)
 ・結論や課題を書かない
 ・今後の見通しや今後必要になるであろうリソースに言及しない

みたいな資料になります。

もちろん、直接の上司は、なんとなくわかっていることも多いですが、上司の上司はわかっていないことも多いんですよ。

月に1回の報告と、毎日の報告では、話す内容が違いますよね。

報告も上に行くほど頻度が低くなります。
部長から役員への報告は月に1回とか週に1回程度です。

このため、前回の報告からどのように変わったのかが明示されないとわかりにくい報告にしかならないわけです。あなたとあなたの上司の暗黙の共有知識は通用しないわけです。

まあ、上司の方もいい加減で、「なんとなくわかったつもり」とかで話を済ませてしまって、上司の上司に突っ込まれまくる、なんてことに。こういう失敗をすると、上司はより詳細な資料を求めてきます。何を聞かれてもいいように資料を整えようとします。

こうして、報告資料は無限に増殖していく…、と。

■上司の上司に報告するつもりで作る


資料を作るときには、直接の読み手が誰なのかを意識することは当然ですが、その読み手がこれをどのように使おうと思っているのかをしっかり意識すると、いい資料ができます。

たとえば、報告書なら、特定のページを抜粋すれば、上司の上司に報告できるような資料になることです。

先に配慮のできてない報告書の事例を書きましたが、これがないように作るだけで、非常に使い勝手のいい報告書ができると思います。

前提として、

 ・上司の上司は現在の状況にあまり詳しくない
 ・一方で市場環境や技術等の一般知識は非常に多い
 ・会社のリソースの管理が主要な業務
 ・上司の上司の管轄する部門・組織の方針や目標を達成するのがミッション

だということに思い至れば、何を書かないといけないかはかなり自明になるはずです。

使い勝手がいい、すなわち自分の手間が減る資料を作ってくれる部下というのは、上司からみるとありがたい存在です。
部下から見ても、資料の作りなおしなどの部下としての手間も減ります

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そして何よりも、 上司が気にしている、その上の上司に対する対応をアシストすることになるため、あなたへの信頼は大きく増すことになり、さまざま思恵を受けることができる可能性が高くなるのです。

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たしかに、こういう上司としての手間を省いてくれるような部下というのは、上司としては「優秀なヤツ」「信用できる」と見なす場合が多いですね。
実際、優秀だから、上司の上司の視点まで入れられているんだろうし。




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