あなたは人事部の部員だとします。部長から
「これから我が社もグローバル化に対応していかなければならない。そのためにグローバル人材を増やしていく。グローバル人材の育成施策を検討しなさい」
と指示されました。
あなたならどうしますか?
■抽象語に要注意
「グローバル化」
「グローバル人材」
「教育施策」
「検討」
これらは非常に曖昧・抽象的な言葉です。つまり、人やシチュエーションによって意味が変わる単語です。
大企業の社長が使うのならまだしも、部下20〜30人の部長が部下に指示するにはあまりも不適切です。
これですごい研修プログラムができたとしたら、才能が会社の要求を超えてますよ。他の会社に移ったほうがいいかも。
私なら、「はあ? 意味わかんねーし」って……直接は言いません……。
まあ、ここまで極端ではなくとも、おそらく似たような経験をしたことはあるのではないでしょうか。
■具体化する質問
もしこういうことを部長に言われたとしたら、
「グローバル化」って具体的に何をするのですか?
「グローバル人材」とは何でしょうか?
「教育施策」って、どのレベルの人がどのようなレベルを目指すのでしょうか?
「検討」とは、何をすることでしょうか?
を聞いてみてください。答えられませんから…(笑
たとえば、「グローバル化」というのは、
・製造現場を国外に移すことなのか
・販売先を国外に広げるのか
・社員の採用枠を外国人にまで広げるのか
などなどいろいろなパターンがあります。
それぞれについて考えなければならない課題は違うでしょう。
同じく、「グローバル人材」「教育施策」でも同じです。
具体的に、何を・いくらで・いつまでに……といったことにしていく必要があります。
■抽象的な言葉は具体的な言葉に置き換えてみる
こういうお題目的なものにごまかされないコツは
具体的な言葉に置き換えてみる
ことです。「グローバル化」って言われた時に、
ああ、オレが海外出張に行くことね
ってなれば、出張先は、出張目的は…などと考えようもあります。現地語がわかるような勉強なり通訳の手配方法なりを考えないといけないでしょう。
どのような行動をすればいいのか
が具体的に言えるところまで展開して初めて、意味がわかるものです。
それがわかるまでは、部長に「いいから早くやれ!」と言われても、「わかりません」と言い続けないと、後になって「提案書なんて出せなんて言ってないだろうが」と言われるのがオチです。
部長の「検討せよ」は「なにか言われた時にかっこいいキーワードを用意しておけ」程度かもしれません。